雀の手箱

折々の記録と墨彩画

画題の花

2012年07月31日 | 日々好日
 オリンピックの映像に時間を忘れて見とれる日々です。開会式の演出に世界の祭典としての華やぎと、人間のたどり着いた科学の力を思いました。戦う選手たちもみんないい顔をしています。ことにメタルの期待のかかる選手たちのプレッシャーは、いかばかりかと胸が詰まるおもいです。








 新聞の集金の方からいただいた“おまけ”の朝顔の種を、あまり期待もしないで画題になるかと撒いておきました。その朝顔が毎朝水やりの度に目を楽しませてくれています。粋な“団十郎“色が咲いてくれました。団扇にも描きとめた色です。
 朝顔は深い紺色に限ると思い込んでいましたが、先日の朝顔市の映像で”団十郎”と呼ばれていた、このくすんだ淡い小豆色もいいものです。朝顔は日本の盛夏を代表する花と思うのですが、俳句の世界では秋の季語です。咲く時期が七夕の頃で、牽牛子ケンゴシと呼ばれたことからでしょうか。







朝がほや一輪深き淵の色    与謝蕪村


あさ顔の濃き藍の花のひとつより流れて空の色となりぬらし    太田水穂


 あるじの丹精する瓢箪もそれとわかる形をとりはじめて目に見えて大きくなってきました。毎年これがゴーヤだったらと内心思って見ているのですが、現金なもので、実が下がり始めると形の変化が楽しみなものです。


今年の瓢箪

例会の準備

2012年07月27日 | すずめの百踊り
 来月の例会は第1週に予定されています。盆正月というように1年のなかでの区切りとしての盆の行事は、地方に生活する身には何かと多忙ですから、今月中に提出する作品を仕上げておかねばなりません。身辺の素材で3枚を用意しました。

 早暁の谷から上がってくる澄んだ空気と風を部屋いっぱいに入れて、早起きの蝉たちもまだ眠りの中なので、何一つ邪魔されることのない自分だけの時間を、ゆったりとした気分で机に向かうのは至福の時です。
 今回は珍しく納得のいく仕上がりになりました。











今年の団扇

2012年07月23日 | すずめの百踊り
 やっと九州も梅雨明け宣言が出ました。でも、まだ県南部には大雨警報や土砂災害注意報が時どき出ていて気が抜けない状況です。
 降り続いた大雨の後は夏を取り戻すとばかりに照りつける蒸し暑さに適応が出来かねています。

 出かけることもなくなった祇園囃子の音が、風にのって小さく聞こえて来るのを聞きながら描いた団扇です。夏のご挨拶に添えるものです。気がついて手元に残っているものをUPしました。



 











遅咲きの紫陽花

2012年07月18日 | 日々好日
 名前がわかったのもネットのおかげです。その名は「常山常盤紫陽花」。
 好きで植えている紫陽花の中で、我が家では一番遅く咲きます。対生ながら、葉の形も普通の紫陽花よりはやや細長で、鋸歯も小さく、花の咲きようもひと味違っています。
 庭に仲間入りしたとき、贈り主も中国系の品種とだけで、その名前は定かでないけれどと言っていました。耐寒性の常緑です。葉の色も暗紫色となり、変化が面白いので楽しめます。
 ヤマアジサイに始まり、ガクアジサイの様々が終了するころも、蕾の状態が長く続き、7月も中旬からぽつぽつと花が開き始めます。
 4年目でやっと70センチほどの背丈となり、花の着きも多くなったので、検索が可能となりました。

 ジョウザンは学名をDichroa febrifuga Lourと言い いわゆるアジサイの、Hydrangea属とは一線を画すようです。
漢方薬の原料になるのだとかで、マラリアの治療薬として中国では有名のようです。

















追い山

2012年07月15日 | できごと
 昨日は、福岡県南部を襲った大雨で、柳川の沖端川や八女の矢部川の決壊、日田の花月川の仮復旧していた堤防が再決壊して、死者も出る被害が出ました。JRも高速自動車道も止まり、近くの遠賀川も危険水位が脅かされ、不安な思いで、たたきつける雨足を一日中眺めていました。



 今朝は一転しての晴天です。
 今月に入って、一カ月にわたる博多の総鎮守、櫛田神社の祇園祭の、その祭事の最後を飾るのが、今朝の追い山でした。東日本の復興を願う想いをこめてでしょう、今年の山飾りは伊達正宗公や南総里見八犬伝といった所縁のものがみられ、災厄を祓う行事としての起源を持つ祭りに、もうこれ以上の災厄がないことを願って眺めていました。
 今年は追い山が日曜日と重なったので、例年よりも多くの人出のようでした。
 博多の街の早暁を駆け抜ける勇壮な男衆の祭りには、出かけていく元気も既になくなって、今年は4時半から、テレビの前の特等席で見ていました。
 贔屓の東流れが櫛田入りの精道廻りで、30秒が出た時には一緒に歓声を上げました。奉納神事ではあっても、早いに越したことはなく、どうしても熱くなります。
 払暁の闇に近い空が次第に明けてゆく中で展開する追い山は、どんなに見やすく、素晴らしい視点からであっても、勢い水のしぶきに打たれながら見物する祭りとは異なります。
 想い出のために、テレビの映像を残しました。



夏の色

2012年07月13日 | できごと


ノウゼンカズラ



ヤブカンゾウ







コエビソウ


 夏の色は、好みとは別にやはり「朱夏」の言葉通り朱色でしょう。庭にはびこる藪萱草や姫檜扇水仙、小海老草や凌霄花の鮮やかな朱色を見ると、ああ今年も夏本番を迎えたと思います。
 圧倒される主張の強い花々は、繁殖力も旺盛で、虫たちを誘って賑やかです。「白秋」の訪れが待ち遠しい中で、先日来の大雨で被災された人たちに、お見舞いの言葉を述べるくらいしかできないのをもどかしく思っています。まだまだ気を許せない雨が降り続いていますが、どうか元気を出してください。






例会

2012年07月10日 | すずめの百踊り

 例会も、それぞれの家庭の事情や、自身の健康上の理由もあって、不規則になっています。今回は長雨の続いたせいで外出が減った分、作品がどなたも多かったようです。
 提出の作品の中から4点を選びました。殻が破れなくて迷い道はいよいよ深くなるばかりです。
 もう、この方向と、侘びの世界で悟りの線が引けてもいいはずなのですが、まだどこかに上手く描こうという色気が残っているようです。
 俳画や、守一、栖鳳などの枯淡な作風をみていると、技術的なことは論外に置いたとしても、その境地にたどり着くのは後どれほど齢を重ねなくてはならないのかと、遥かな距離をかみしめています。
 同好の友はありがたいもので、手が不自由になって気負いが消え、いい方に変わったと慰めてくれます。絵が若いとも。自分ではこんなはずではなかったと、もどかしいのですが。
 今回は朝顔が好評でした。






















蓮の池

2012年07月08日 | 日々好日
 長雨に籠りがちでしたが、やっと覗いた晴れ間、運動不足の解消を兼ねて裏山を越えた谷にある“梔子池公園”に、行ってみました。

 蓮が見ごろではないかという思いからでした。2,3年前までは、よく散歩に出かけていましたが、池の周りに草が丈高く茂って道に覆いかぶさり、見通しも悪くなり、不用心になっていたので、散歩も敬遠していました。今は周遊の道路も舗装され、早朝の歩きを楽しむ人も増えてきたようです。久しぶりの散策でした。
 この池の蓮は白蓮華ばかりです。以前は岸に茂っていた紫式部は小さく刈り込まれて一株だけになって、今は米粒ほどの淡い紅紫の花をつけていました。濃紫の露の玉を眺めては才媛を思ったものでしたが。
 蓮華はすでに盛りを過ぎていて、緑の花托に実を見せていました。池の主のサギが餌を狙ってか置きもののように動かず、中洲では亀が甲羅干しをていました。
 帰りかけているところへ、思いがけず同窓のHさんが散歩に見え、話も弾んで、友人たちの消息も齎されました。蓮が連想を誘うわけでもありませんが、この年になると訃報ばかりです。
一蓮托生、但し蓮のうてなには悪行を重ねた身はとても乗せてもらえそうもありますんが。




庭の貴婦人

2012年07月04日 | 日々好日







 この浜木綿だけが咲き残っています。地元芦屋町、夏井ケ浜の県天然記念物に指定されているのと同じ浜木綿が、夏井ヶ浜の私の所有地にも自生していたのを移し、増えたので人にも分けてあげていましたが、いつの間にかわが家からは姿を消し、園芸種と思われるこのインドハマユウだけが残っています。
 草むらの中ですっくと頭をもたげる立ち姿も凛として、純白の花をつけています。今年は例年より花が早いようです。桔梗もやがて最盛期になりそうです。梅雨の晴れ間にはホオズキの白い花に蝶が戯れ、蜂も出入りしています。
 大雨の降り続いた県内南部の筑後では大きな被害も出ています。昨夜は満月に近い月が明るく庭を照らしていましたが、今日も雨の予報です。貴婦人も頭を垂れて今朝は寂しげです。










 こちらは姫檜扇水仙。元は園芸種だったと思われます、今ではモントプレチアの名前のほうが流通しているようです。ほとんど野生化して山裾のあちこちで絵になる形の朱赤の花をつけて賑やかです。優雅な名に似合わずこの姫はなかなか逞しい力持ちで、岡虎の尾なども踏んづけて、見る影もなく駆逐する勢いです。二つ折りの揚羽が盛んに恋文を届けにやってきます。鮮やかな色は、「花の番地を探す」までもなく目立っています。