雀の手箱

折々の記録と墨彩画

第五十回 北九州芸術祭 能楽大会

2012年04月28日 | 雀の足跡

 節目の50回というので今年はどの分野も盛大なようです。
 能楽も事前にいただいた番組表を見ても、朝9時過ぎに「翁」から始まり、弱法師、二人静など多彩な素謡が八番、その合間に仕舞(22番)や舞囃子(2番)、連吟、独吟、太鼓の連調、狂言と賑やかです。

 市内で活発な活動をなさっている観世、梅若の流派と喜多流が中心ですが、それでも北九州市5区の流派からの出演ですから大変な数です。全部を拝見する体力はないので、友人たちの出演に合わせて出かけました。
 会場は先日狂言の会があったレディース八幡の能舞台です。会場でお会いした古馴染みも、みなさんそれぞれに年を重ねておいででした。
 かつての日、私の舞台で太鼓を務めてくださったZ先生のお嬢さんが今回の舞囃子では太鼓を打たれていて、感慨無量のものがありました。



北九州市芸術祭 能楽大会

試み

2012年04月24日 | すずめの百踊り
 今日は先日の花いっぱいの画像と同じ試みを普通のインクジェットのマット紙で試して遊んでみました。画仙紙に描くのと違って線が固くなることがわかりました。
 庭に咲く苧環をモデルに初めて描く花です。墨の遊びも時々です。これは色に頼れない分まとめるのが難しいのですが、モノクロは何を素材にしても、「想い」がストレートに表現できます。これらの試みはまだ整理されていませんので、後日差し替えるつもりです。













庭に咲く花

2012年04月20日 | 日々好日
 白や黄の蝶が陽気な舞を見せるようになりました。春たけなわの今朝の庭では、岩八つ手も丹頂の赤い芯をみせ、花を開き始めたサツキの紅とおめでたい対をみせています。
 群立ちの十二単も年々繫みが深くなりますが、楓の大木の下でこう生い茂ると一種まがまがしく感じてしまいます。今が満開の門脇の八重桜は親株の枯れたところから生え出たひこばえが10年の歳月をかけて門の屋根にかぶさるほどに成長したものです。

 縁がなかった紫の苧環もどうやら定着してくれたようで、格好の画題になっています。
 蕗や三つ葉も食べきれないほどで、老二人を案じて訪ねてくださるご近所に配っています。















「狩野派の巨匠たち」

2012年04月16日 | 雀の足跡



 誘われて、門司の出光美術館で開催中の「狩野派の巨匠たち」展に出かけました。桜は葉桜に変わろうとしています。

 いつもながら小さな規模の展覧会で疲れることもなく、日曜日というのに、ゆっくりと会場を回ることができました。
 最初に出迎えてくれたのが、伝松栄(桃山時代)の四曲一隻の花鳥図です。野萱草や海棠の咲く中に立つ鶴が描かれ、、温雅な画風の中で松の枝の線描は力があって絵を引き締めています。確か狩野永徳の父だったと思います。

 次が伝永徳の兎を文字通り鷲攫みしたスケールの大きな鷲の屏風、次が扇面の貼り混ぜ屏風。大和絵の技法も取り込んだ細密な描画で、半開きの扇面も交えて構図の変化がモダンでした。
 松に鶴図は、国宝の大徳寺聚光院の襖絵と同じ趣向で、省略が利いた大胆なまでの余白が美しくきまっていました。
銹釉染付双鷺図小皿、乾山の橘と水鶏(四月)、卯の花に時鳥(五月)の定家詠十二月の角皿2枚にもお目にかかれました。
 江戸狩野派が中心で、探幽,尚信、安信三兄弟の水墨画が並んでいました。軽妙で、墨のぼかしが美しいものが多かったようです。

 特に探幽の叭々鳥の余白は大胆で軽やか。これぞ江戸狩野派といった瀟洒なものでした。
 江戸後期の古九谷のきらびやかな大皿が、京狩野派の装飾性の強い屏風と同じコーナーに展示されていました。

 お定まりの本日の私の一点は尚信の「叭々鳥・猿猴図」屏風です。小猿が水に映る月を捉えようとして、親猿の伸ばす手に次々ぶら下がる4匹が描かれています。これも大きな余白をとって、墨を中心に簡潔に描かれています。機知に富んだ画風は兄探幽と異なり自在です。柏の木にぶら下がる姿は、等伯の枯木猿猴図や、猿猴捉月図に通うものです。
1時間余の狩野派を楽しんで、都市高速で30分を走っての帰宅でした。




興味がおありでしたら、次のURL出光美術館のホームページで、「最新の展覧会」で、出品リストや、見どころの解説、画像などご覧ください。

例会

2012年04月11日 | すずめの百踊り
 桜に酔う日々が今年は気温のせいで例年よりも長かったようです。プールに通うコースが金山川に沿っているので、蕾がほころぶころから、一番好きな落花の花吹雪までを堪能しました。昨日からの花の雨で、明日はどんな姿になっていることでしょう。川面が「桜川」となって流れる花筏を期待しています。

金山川の桜




 今日の例会で、Tさんが提出された春を謳歌する明るい「両手に春」の作品に触発されて私風に遊んでみました。繊細でモダンな作風の彼女とは全く違った「両手に春がいっぱい」になりました。初めての趣向が面白くて、この遊び、当分やめられそうにありません。

 私の提出作品は以下の3点でした。

 
















北九州芸術祭

2012年04月08日 | 雀の足跡
 今月は北九州芸術祭のスケジュールが詰まっています。回を重ねて今年は50回だそうです。
 友人が出演する能楽や狂言。コンサート、三曲、書、絵画や彫刻、陶芸、茶会、短歌や俳句など、24部門が来月27日まで次々に開催されます。
 一般の人が日ごろ精進の技を発表する場として公共の立派な施設が提供されるのは、ありがたいことです。感想を求められていますので、拝見のための外出が続くことになります。
 私の見学の第一陣は表装展から始まりました。意外なものも表装してあり、発想の面白さに驚かされたことでした。会場は北九州市立美術館で、陶芸の公募展も開催されていました。(4/1~ 4/8)


表装作品展


 今日は狂言(大蔵流)の会に行ってきました。こちらはレディス八幡の能舞台が会場です。
 若い日に琴古流の尺八を稽古していた連れ合いは戸畑の市民会館ホールに三曲合奏の演奏会に行くというので途中で分かれての別行動です。

 広く市民参加の芸術祭といっても、各部門それぞれに教室を持って教えている方たちが中心ですからかなりレベルの高いものが多いのです。
 昔は「婦人の家」と呼ばれていた施設の2階、何度か出演した懐かしい能舞台で、終演まで4時間狂言を楽しみました。
 仕舞を挟んでの八演目は小学生、高校生も出演していて、なかでもG・キングスリーさんは、プログラムを見て初めて外国の方と分かる達者でした。手話を交えての熱演も見事なものでした。最後の演目「佐渡狐」は、亡き大蔵流狂言方茂山忠三郎師の長男・良暢氏が演じられました。茂

 いつもは辛口の批評の多いあるじが、珍しく「もっと聞いていたかった。澄んだ音色はさすがプロのもの」と絶賛していました。
 こちらは入場料1000円です。

 桜は花吹雪となって舞い散るなかを、余韻を楽しみながら国際通りの桜並木の間を通るコースをとって車を走らせました。


狂言を楽しむ

春は絵具をもってやってくる

2012年04月02日 | 日々好日
 春は絵具を持って



 連翹の黄色、花蘇枋の鮮やか、桜に似た山桜桃梅(ユスラウメ)の可憐、そして蔓桔梗や十二一重の紫、気の早い著莪も花を開きはじめています。小鳥のさえずりの賑やかさにうながされて出た庭はとりどりの絵具で彩られて気持ちもうきうきと浮き立ちます。

 今日は、午後から隣の中間市までスティーブン・ スピルバーグ監督作品の「戦火の馬」を見に行くというあるじを送って、そのまま、7分ほど直進して、桜便りの届く垣生公園まで一人でお花見です。

 連れに気兼ねなく、いつも気になっていた公園内の古墳の探検ができました。
 
 古墳の中に、線刻の舟2艘を見つけて大満足です。他にもさまざまな線が刻まれていますが形は判然としません。沿道の短い割には玄室は広々としていて天井も高く(3メートルくらい)、壁龕(ヘキガン)もはっきりと見ることができました。

 ソメイヨシノは八分咲きといったところですがここには私の好きな山桜が多く植えられていて、特に埴生神社への参道には山桜が多いようです。山桜のほうは満開で迎えてくれました。仲哀天皇 神功皇后 應神天皇を祭神とする埴生神社までは三つに分かれた高い石段を上るのは無理と判断して、朱の太鼓橋からの遥拝です。

 展望台から、太古、この辺りまで湾曲して入海だったといわれる遠賀川の流れを遠望しながら、先ほどの横穴墳や、舟の装飾を持つ古墳に眠る人への古代の夢を霞の中にさぐって、しばし現実を忘れていました。
 

垣生公園にて