雀の手箱

折々の記録と墨彩画

今日の模索

2011年09月28日 | すずめの百踊り
 秋の七草のうち、今日は葛で遊んでみました。その逞しさにかけては、クズなどとは言っておれない生命力です。
どこまでも延びる蔓はまわりの草木に這まつわって覆いかぶさります。いわば、迷惑な厄介者でもありますが、花は万葉人にも愛された濃い赤紫で、気品さえ感じます。
 道に落ちているのをつい踏みしだいては、「この山道を行きし人あり」とつぶやきながら、その季節が来ていると見上げて花を発見します。

 下は順に描いた10枚のなかから、6枚を選んで記録にとどめます。
 途中で気分転換に今、盛りを過ぎようとする忠実な時間守りの彼岸花と、収穫の稲をイメージで描いてみました。









































足どり

2011年09月24日 | できごと
 水中ウオーキングの効果でしようか、膝の痛みが軽減して、自分でも驚くほど動きが楽になってきました。
 彼岸詣りに出かけた実家で、弟にも、「足どりがよくなったね」といわれました。こうなると弾みがついて、何とか時間を作って講習が終わった後も続けようかという気になります。
 インストラクターは、運動の目的とする部位の説明と、そのための効果的な動きを説明して、徐々に速度を上げていきますし、日を追って要求される動きもハードになってきました。手抜き、?でゆるめにやっていると、上からは水中の動きがよく見えると見えて、膝を上げて! 手を強く、動きを早く!と声がかかります。それぞれの姿勢をうまく真似ては笑わせながらリードしていきます。
 水の中でもしっかり汗をかいているのがわかります。正味1時間の運動は、気持ちのいい疲労感を伴って、水から上がると体を重く感じます。それぞれに気の合う仲間もできて、更衣室の会話も賑やかになってきました。








敬老の日の贈り物

2011年09月17日 | 日々好日


 ゆうパックで届けられたのは敬老の日の贈り物でした。私にはルクエのシリコンスチームケースでした。ワインカラーの包装の上の淡いピンクのリボンをとると、スペイン語で表記された小さなレシピ集の下に、食欲をそそる鮮やかなオレンジ色をしてそれは鎮座していました。
 今年の山笠見物の折、博多駅に開業した東急ハンズで、手に取って見たものの高価なので「使いこなせるかどうか」と負け惜しみを言って棚に戻したのを見ていて、年寄り二人の調理には手ごろで便利と判断しての選択だったのでしょう。
 早速、日本語のレシピ集を買ってきて挑戦です。少ない量の野菜を蒸すのは1~2分で完了です。調理器にしては柔らかく、いささか心もとない感じなのに、スパゲッティも半分に折ってそのまま調理できるのだそうで、蒸す、煮る、焼くと、当分、めづらしがってレシピ本相手に挑戦が続くとおもいます。片付けも食洗機が使用できるので助かります。



   今年は例年よりも5日も早く彼岸花が咲いています。



月夜見の変若水

2011年09月12日 | 塵界茫々

酒井抱一の夏秋草図屏風(1821年)光琳の風神雷神図屏風の裏に表装として描かれたもの。

 今宵は中秋の名月、この地では十三夜も昨晩も曇りなく晴れて、天高くわたる月を眺めることができました。今朝は早くに薄を切りとり、水瓶に挿して今夜の準備に心弾ませています。

 昨日は東日本震災から半年、追悼の行事に各自の悲しみを新たにされたことと思います。今も、震災の記憶は被災された人々の心身に深い傷跡を残したまま続いています。
 9・11のニュヨークでも十年の歳月が経っても、悲しみの癒えないご遺族や多数の人々の涙がありました。
 月読の持つという変若水オチミズは、心にこそ沁みこませて元気を取り戻してほしいものです。欠けていく月も必ず満ちてくる再生の日があるように。
 朝夕のしのぎやすさはともかく、日中の気温33度では、秋冷とは程遠いこの頃です。

秋は琳派。


左図 渡辺始興 簾に秋月図   右図 中村芳中 月に萩鹿図

 天橋の長くもがも 高山も高くもがも 月夜見の持てるをち水 い取り来て
 君に奉りてをち得てしかも  万葉集巻13 3245

厄年

2011年09月06日 | できごと
 今年、この国は自然災害では厄年に当たるとみえます。2月初めの新燃岳の噴火にはじまり、3月には東日本に未曾有のM9の大地震と大津波が押し寄せ、それに起因する原発の事故によって放射能汚染と続き、今度は暦に忠実に台風12号が想定外の豪雨をもってきました。
 紀伊半島を中心に多数の死者が出ています。古くから、立春から数えて二百十日目ごろは、野分の警戒日とされてきましたが、自転車並みの速度で大雨を運ばれたのでは被害も大きくなります。日をおって大きなものになる被害を、その状況を突きつける映像を悲しく傷ましい思いで見ています。

 弟夫婦は8月27日に熊野古道を訪ねる南紀の旅に出かけましたが、台風接近を警戒し予定を1日短縮して帰宅したようです。
 進みの遅い台風は、まだ北海道も窺っているようです。
 熊野本宮でもかつて社のあった大斎原が水没したとか。那智大社も裏山からの土砂の崩落で被害が出ているようですし、那智の滝に張られたしめ縄も切れていました。(写真)

 60代の初めのまだ元気だったころ、佐藤春夫の詩集を鞄に「あさもよし紀の国」の5月の穏やかな風景を楽しんだ遠い日を思い出しています。 
 有吉佐和子の「有田川」も大洪水が発端だったと記憶します。思いがけない悲劇に遭遇した方々に哀悼の想いを捧げるのみです。







画像はYou Tubeよりお借りしました。

本日の模索

2011年09月01日 | すずめの百踊り
 「勢いを以て線を描くこと」を自分への課題にして集中しての練習です。魚を描くときは泳ぐようにと言われてきた意味がまだつかみきれませんが、魚は格好の素材です。

 魚を細身にしなければ漫画風になって、うまくいかないこと。仕上がりの予測を持って下塗りの段階から勢いと速度をもつこと。いったん墨を下ろしたらどうなろうと迷わず、手の動くままに任せるのがよいなどを、失敗しながら一つずつ会得して、何枚も描いてみました。できたと納得する線にはまだまだ程遠いものがありますが、続けていけば何とかなるかもしれないと大それた夢を描いています。

 口直しの最後の一枚、この「ほおずき」は、私の技法で描いてくださった師の作品中、最も気に入っているものです。年齢的には親子ほどの隔たりがありますが、線も色づかいも、私には描けない渋い味わいがあります。プロですから上手いのは当然として、いつも、絵をみるかぎりどちらが高齢者の絵かと思ってしまいます。

 今日からもう九月、夏休みも終り、蝉や蝶を追う子供たちの賑わいも遠いものになろうとしています。