石勝線 夕張駅 (北海道夕張市)
10時34分に千歳を発車した気動車(ディーゼルカー)は南千歳に停車した。ここは昔の千歳空港駅。現在はここから新千歳空港へ新線が伸びている。以前、3月にスキーに来た時に、このホームで列車を待っていて寒い思いをした事がある。新千歳空港駅は地下駅で空調もあるので、今は寒い中で列車を待つ事はないだろう。
南千歳で線路は三方へ分れる。ひとつは千歳線の沼ノ端方で苫小牧、室蘭、函館そして本州方面へと通じている。もうひとつは千歳線の新千歳空港方である。さらにひとつは、この列車が入っていく石勝線である。道東の帯広、釧路、根室へは根室本線が通じているが、起点は滝川で富良野を経由している。これの短絡線として建設されたのが石勝線で、札幌から滝川、富良野を経ることなく、千歳から追分、新夕張を経て新得の手前で根室本線に合流する。石勝線の方が40キロ以上短いだけでなく、昭和56年(1981)開業という新しい路線で、列車は高速運転できる。しかし高速運転しているのは特急だけのようで、この普通列車は立派な線路の上をゆっくりと走る。
乗客の高校生たちが田舎だと騒いでいる。北海道の高校生が北海道の風景を見て田舎だというのはおかしな感じだが、彼らは日本でも有数の大都市札幌かその近郊に住んでいるのだろう。開けた窓から牛の糞の臭いが入ってきて、更に騒がしくなった。
追分で高校生らは降りた。車内は空いてきて鉄分(鉄道ファンの割合)が濃くなった。飲んだ風邪薬が効いてきてウトウトする。居眠りをしている場合ではない。列車に乗りに来たのだ。しかし列車の中での居眠りは気持ちが良い。夢心地で新夕張に11時53分着。これからは寝られない。北海道のJR線では初めて乗る区間であり、ここに乗れば現在営業している北海道のJR線には全て乗車した事になる、石勝線の新夕張-夕張間が待っている。今回の北海道旅行の目的といっても良い。昨年の北海道旅行(「エスカロップ紀行」参照)で乗れなかったところである。11時56分新夕張発、北海道最後の未踏(未乗)のJR線を走り出した。
昨年、並行する国道をレンタカーで走っている。それでも道路と鉄道では趣きが違う。上り坂となっている。蒸気機関車は苦労して走ったろう。石炭を満載した貨物列車は下り坂になるのだが。かつては栄えていたが、炭鉱の閉山で寂れてしまった山峡を列車は走る。広い構内、そして剥がされたレール。かつての繁栄を思わせる途中駅。初代の夕張駅もそうであったが、スキー場のホテルの前に移された味気のない現在の夕張駅に12時22分到着した。もう北海道に乗っていないJR線は無くなった。 (つづく)
北海道旅客鉄道(JR北海道) http://www.jrhokkaido.co.jp/
10時34分に千歳を発車した気動車(ディーゼルカー)は南千歳に停車した。ここは昔の千歳空港駅。現在はここから新千歳空港へ新線が伸びている。以前、3月にスキーに来た時に、このホームで列車を待っていて寒い思いをした事がある。新千歳空港駅は地下駅で空調もあるので、今は寒い中で列車を待つ事はないだろう。
南千歳で線路は三方へ分れる。ひとつは千歳線の沼ノ端方で苫小牧、室蘭、函館そして本州方面へと通じている。もうひとつは千歳線の新千歳空港方である。さらにひとつは、この列車が入っていく石勝線である。道東の帯広、釧路、根室へは根室本線が通じているが、起点は滝川で富良野を経由している。これの短絡線として建設されたのが石勝線で、札幌から滝川、富良野を経ることなく、千歳から追分、新夕張を経て新得の手前で根室本線に合流する。石勝線の方が40キロ以上短いだけでなく、昭和56年(1981)開業という新しい路線で、列車は高速運転できる。しかし高速運転しているのは特急だけのようで、この普通列車は立派な線路の上をゆっくりと走る。
乗客の高校生たちが田舎だと騒いでいる。北海道の高校生が北海道の風景を見て田舎だというのはおかしな感じだが、彼らは日本でも有数の大都市札幌かその近郊に住んでいるのだろう。開けた窓から牛の糞の臭いが入ってきて、更に騒がしくなった。
追分で高校生らは降りた。車内は空いてきて鉄分(鉄道ファンの割合)が濃くなった。飲んだ風邪薬が効いてきてウトウトする。居眠りをしている場合ではない。列車に乗りに来たのだ。しかし列車の中での居眠りは気持ちが良い。夢心地で新夕張に11時53分着。これからは寝られない。北海道のJR線では初めて乗る区間であり、ここに乗れば現在営業している北海道のJR線には全て乗車した事になる、石勝線の新夕張-夕張間が待っている。今回の北海道旅行の目的といっても良い。昨年の北海道旅行(「エスカロップ紀行」参照)で乗れなかったところである。11時56分新夕張発、北海道最後の未踏(未乗)のJR線を走り出した。
昨年、並行する国道をレンタカーで走っている。それでも道路と鉄道では趣きが違う。上り坂となっている。蒸気機関車は苦労して走ったろう。石炭を満載した貨物列車は下り坂になるのだが。かつては栄えていたが、炭鉱の閉山で寂れてしまった山峡を列車は走る。広い構内、そして剥がされたレール。かつての繁栄を思わせる途中駅。初代の夕張駅もそうであったが、スキー場のホテルの前に移された味気のない現在の夕張駅に12時22分到着した。もう北海道に乗っていないJR線は無くなった。 (つづく)
北海道旅客鉄道(JR北海道) http://www.jrhokkaido.co.jp/