旅にしあれば

人生の長い旅、お気に入りの歌でも口ずさみながら、
気ままに歩くとしましょうか…

今回の旅で読んだ本~花園の悪魔

2023-04-25 19:05:30 | 図書館はどこですか



今回、東北への旅の途中で読んだ本は、「花園の悪魔/横溝正史著」でした。
この本は、私が中学生当時に買ったもので、解説によると、それまでに刊行された
横溝本、中でも金田一作品がすでにブームとなり、もっと金田一ものを読みたいとの
読者の声にこたえ、未収録作品を寄せ集め編まれた、当時のシリーズでは新しめの
文庫本であることが伺えます。ただその割には、収録された中短編四作品は、
いずれもなかなかレベルの高い本格推理作ではあります。

この本は、近年も金田一耕助ファイルシリーズとして刊行が続けらたようですが、
表題はなぜか同時収録作の『首』に変更されました。その経緯はよくわかりません。
本のタイトルのインパクトさでは、『花園の悪魔』のほうに軍配が上がるにも
かかわらずです。

収録四作品中、首のみが岡山県を舞台に磯川警部とコンビを組み、東京近郊で
事件の起こる他の三作とはかなり異質で、八つ墓村などの流れをくむ、おどろ
おどろしいムードを醸し出しており、代表作、表題作とするに相応しいとの判断
だったのでしょうか? 事件そのものは陰惨であるものの、金田一は真犯人の
ひとりをある理由からわざと見逃し、磯川もそれに目をつぶることで、一握りの
光明、ある種さわやかな読後感を残す秀作であることは確かでしょう。

首とは出来としては大差ない花園~が、杉本一文氏が描く艶めかしい表紙絵共々
忘れ去られるのは惜しい気もします。イラストでは百花繚乱に囲まれているアケミ
ですが、作品中ではチューリップ畑に裸で横たわる展開となっています。今回の
旅行中、訪れたチューリップ畑にアケミがいたならば、私はもっと一心不乱に
写しまくったのではないですかね。この先、チューリップ畑でお戯れ予定の
見目麗しいご婦人がおられたらご一報ください、撮影に馳せ参じます。

コメント
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