ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

モーツァルト&ウェーバー/クラリネット協奏曲

2014-10-30 10:37:44 | クラシック(協奏曲)
最近、室内楽や声楽曲が続きましたが、今日は久しぶりにコンチェルトのCDをご紹介します。ピアノやヴァイオリンの有名曲は一通り聴きましたので、少し変わったところでクラリネット協奏曲を取り上げてみましょう。と言っても、ピアノ協奏曲やヴァイオリン協奏曲と違って作品数が極端に少なく、市場に出回っているのはモーツァルトとウェーバーの作品ぐらいですね。うちモーツァルトの作品は1791年、彼が35歳の若さで病死する1か月ほど前に書かれた作品です。晩年のモーツァルトはよく知られているように経済的にも健康面でもかなり悲惨な状況に追い込まれていたようですが、作品自体はそんなことを微塵も感じさせない天国的な明るさに満ちあふれています。特に第1楽章はモーツァルトのあらゆる名曲の中でも上位にランクされる名旋律ではないでしょうか?



一方のウェーバーの作品はそこから少し時代の下った1811年の作曲です。ウェーバーはクラリネットを主楽器とした通常の協奏曲を2曲、小協奏曲を1曲の計3曲作曲していますが、今日取り上げるのは最も有名な協奏曲第1番です。ウェーバーはモーツァルトより一世代下、メンデルスゾーンやシューマンより一世代上の作曲家ということもあり、作風には古典派の要素と後のドイツ・ロマン派の要素を併せ持っています。第1楽章はいかにもドイツ・ロマン派っぽい重厚な出だしですが、第2楽章アダージョと第3楽章ロンドはモーツァルトを思わせる天国的な旋律です。個人的には浮き立つような第3楽章が好みですね。CDはカール・ライスターのクラリネット、ラファエル・クーベリック指揮ベルリン・フィルのものを買いました。実はモーツァルトとウェーバーの作品がセットになっているものは意外と少ないので、2大クラリネット協奏曲が1枚で味わえるお得なCDです。
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プーランク/グローリア&スターバト・マーテル

2014-10-25 11:20:05 | クラシック(声楽)
クラシック音楽の歴史において宗教音楽というのは重要な位置を占めていますが、どことなく取っつきにくさを感じている人は私に限らず日本のクラシックファンには多いのではないでしょうか?やはりキリスト教の世界観というものに馴染みがないため、どうしても身構えてしまうんですよね。恥ずかしながら私はモンデヴェルディもバッハもヘンデルも、それどころかモーツァルトの「レクイエム」さえきちんと聴いたことありません。そんな宗教音楽初心者の私ですが、今日ご紹介するプーランクの宗教曲2曲はとても気に入りました。プーランクは1899年生まれですので時代的には完全に現代の作曲家ですが、20世紀前半に主流だった前衛的な音楽とは一線を画し、モーツァルトら古典派の影響を感じさせる曲を多く残しました。(以前、当ブログでも「牝鹿」を紹介しました。)この「グローリア」「スターバト・マーテル」もバロック風の伝統的な様式に則りながらも、管弦楽の使い方に随所に20世紀的な要素も感じさせ、荘厳であると同時にエンターテイメント性も高い作品となっています。



まず、「グロリア」ですが、神の栄光を讃える歌ということもあり、まずは「天においては、神に栄えあれ」「われら主をほめ」のパワフルな合唱で始まります。中盤の「主なる神よ」「主なる神、神の子羊」は一転して敬虔な雰囲気に満ちあふれた美しい旋律。何より素晴らしいのが最終第6曲「父の右に座したもう主よ」で、ソプラノ独唱と合唱とオーケストラサウンドが三位一体で奏でる美しい旋律に思わず恍惚としてしまいます。もう1曲の「スターバト・マーテル」は、我が子イエスを失った聖母マリアの嘆きを歌にしたもの(以前UPしたドヴォルザーク「スターバト・マーテル」を参照)で、「グローリア」に比べるとやや重苦しい印象です。それでも美しい合唱とダイナミックなオーケストラが生み出す世界観はこちらも負けず劣らず素晴らしいものがあります。2曲とも作曲年代は1950年代と完全に現代なのですが、そんなことを感じさせないぐらい普遍的な魅力を持った名曲だと思います。CDはジョルジュ・プレートル指揮フランス国立管弦楽団&フランス国立放送合唱団のものを買いました。独唱はオペラでも名高い世界的ソプラノ、バーバラ・ヘンドリックスで美しいオーケストラ&合唱とともに彼女の独唱も聴きモノです。
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メンデルスゾーン/ピアノ三重奏曲第1番

2014-10-19 11:35:56 | クラシック(室内楽)
最近これまであまり聴いてこなかった室内楽作品をちょこちょこ聴くようにしていますが、やはり根本的にオーケストラ作品の方が好きなのかグッと来る作品にはなかなかめぐり合わないですね。音のダイナミックさにどうしても欠ける分、よほどメロディがしっかりしてないと引き込まれないです。その点、今日ご紹介するメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲は親しみやすいメロディの宝庫で、室内楽が苦手な人にも取っつきやすいのではないでしょうか?第1楽章は冒頭こそ哀愁に満ちた旋律で始まりますが、続いて夢見るような美しい主題が現れます。第2楽章も優しく穏やかなアンダンテ。第3楽章は浮き立つようなスケルツォで弦楽器とピアノの掛け合いが絶妙です。第4楽章は一転して激しめの演奏で情熱的なフィナーレを迎えます。



CDはアンドレ・プレヴィン(ピアノ)、チョン・キョンファ(ヴァイオリン)、ポール・トルトリエ(チェロ)によるトリオのものを買いました。トルトリエのことは恥ずかしながらあまり知りませんでしたが、指揮者でも活躍するプレヴィンと世界的ソリストのチョンの組み合わせは豪華そのものですね。1978年の録音ということで、2人とも若い!なお、本CDにはカップリングでシューマンのピアノ三重奏曲第1番も収録されています。こちらもロマン派を代表するピアノ三重奏曲とのことですが、メンデルスゾーンの作品に比べるとかなり落ちる気がします。特に第2楽章、第3楽章は全体的に不安げな旋律で取っつきにくいです。最終楽章だけは華やかな雰囲気で救われます。
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ベートーヴェン/七重奏曲&六重奏曲

2014-10-16 10:00:37 | クラシック(室内楽)
交響曲・協奏曲はじめオーケストラ作品に圧倒的な名作が多いベートーヴェンですが、本人は室内楽やピアノ曲にも等しく情熱を傾けていたようで、膨大な数の作品を残しています。ただ、私自身がオーケストラ作品偏重ということもあり、室内楽はヴァイオリン・ソナタ「春」「クロイツェル」とチェロ・ソナタ、ピアノ三重奏曲「大公」しか持っていませんでした。評論家的には弦楽四重奏曲も傑作揃いとのことですが、作品数が多いこともあり、何となく手が伸びてません。今日ご紹介するのは「七重奏曲」と「六重奏曲」。どちらも室内楽にしては規模が大きめの編成です。前者はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、クラリネット、ホルン、ファゴットで弦楽器4+管楽器3という編成です。後者はヴァイオリン×2、ヴィオラ、チェロという通常の弦楽四重奏にホルンが2本加わった編成です。



作曲されたのは「六重奏曲」が1796年、「七重奏曲」が1799年といわれ、どちらもベートーヴェンがまだ20代の頃の作品です。交響曲はじめ多くの傑作を発表するのが30代になってからですので、初期の作品と言えます。ただ、楽曲のクオリティについてはこの時点で文句のつけようがないですね。後期のような重厚さはありませんが、ひたすら天国的で明るい旋律に満ちあふれています。実際に「七重奏曲」は作曲当時は大変な人気で、ベートーヴェンと言えば“あの七重奏曲を書いた人”扱いだったそうです。もちろん、現代ではその後に書いた交響曲や協奏曲の方がはるかに有名で、むしろ陰に隠れた存在となってしまいましたが、作品自体が魅力的なことには変わりありません。個人的に特にお気に入りなのは「七重奏曲」の第1楽章と第6楽章、「六重奏曲」の第3楽章です。CDはウィーン室内合奏団のものを買いました。天下のウィーン・フィルのメンバーが室内楽用に編成したもので、リーダーのゲルハルト・ヘッツェルはコンマスも務める名手だったそうです。もちろん演奏は折り紙付です。
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