本日は再びジャズヴォーカルで「Verve 60th レア盤コレクション」からトニ・ハーパーの作品をご紹介します。ただ、正直彼女の名前を知っているジャズファンは多くないでしょう。私も知りませんでしたし。解説によると1937年生まれで子供の時から歌がうまく、天才少女としてテレビ等にも出演したとか。本作「トニ」は1955年、彼女が18歳の時に発売されたプロデビュー作ですが、人気絶頂のオスカー・ピーターソン・トリオがバックを務めるなど、ヴァーヴが彼女に並々ならぬ期待をかけていたことがうかがえます。ただ、そんな彼女ですがその後2枚のアルバムを残しただけで、1960年代には引退してしまいます。これでは知名度が低いのも仕方ないですね。とは言え、本作はジャズヴォーカルの隠れ名盤として一聴の価値ありです。
前回のエラ・フィッツジェラルドのエントリーでも述べましたが、ヴォーカル名盤の条件は①歌の上手さ、②伴奏の良さ、③選曲の良さですが、本作で強調すべきは何と言っても②でしょう。上述のようにオスカー・ピーターソン・トリオ、すなわちピーターソン(ピアノ)、レイ・ブラウン(ベース)、ハーブ・エリス(ギター)の3人にアルヴィン・ストーラー(ドラム)が加わったカルテットが彼女をサポートしています。歌伴なのでピアノやギターが前面に出てくる場面は多くありませんが、それでも随所でキラリと光るソロを披露してくれます。次に①の歌の上手さですが、トニは黒人ながらいわゆるパンチの利いたボーカルではなく、ハスキーがかった声でしっとり歌う系です。バラードも多く、全体的に落ち着いた大人の雰囲気ですね。とても18歳の歌手とは思えません。あえてケチをつけるなら③の選曲。全て有名スタンダード中心で意外性がないので、やや物足りなさが残ります。とは言え、しっとりバラードで歌った“Can't We Be Friends”“Bewitched, Bothered And Bewildered”“Little Girl Blue”、ピーターソンのピアノがドラマチックに盛り上げる“Love For Sale”等は聴き応えたっぷりです。
前回のエラ・フィッツジェラルドのエントリーでも述べましたが、ヴォーカル名盤の条件は①歌の上手さ、②伴奏の良さ、③選曲の良さですが、本作で強調すべきは何と言っても②でしょう。上述のようにオスカー・ピーターソン・トリオ、すなわちピーターソン(ピアノ)、レイ・ブラウン(ベース)、ハーブ・エリス(ギター)の3人にアルヴィン・ストーラー(ドラム)が加わったカルテットが彼女をサポートしています。歌伴なのでピアノやギターが前面に出てくる場面は多くありませんが、それでも随所でキラリと光るソロを披露してくれます。次に①の歌の上手さですが、トニは黒人ながらいわゆるパンチの利いたボーカルではなく、ハスキーがかった声でしっとり歌う系です。バラードも多く、全体的に落ち着いた大人の雰囲気ですね。とても18歳の歌手とは思えません。あえてケチをつけるなら③の選曲。全て有名スタンダード中心で意外性がないので、やや物足りなさが残ります。とは言え、しっとりバラードで歌った“Can't We Be Friends”“Bewitched, Bothered And Bewildered”“Little Girl Blue”、ピーターソンのピアノがドラマチックに盛り上げる“Love For Sale”等は聴き応えたっぷりです。