ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

メンデルスゾーン/エリヤ

2015-05-21 22:13:26 | クラシック(声楽)
本日のエントリーは私にとっても初挑戦のオラトリオを取り上げてみたいと思います。オラトリオは主に聖書のエピソードを題材にしたストーリー仕立ての宗教音楽で、舞台演出こそないものの、大規模なオーケストラ付き声楽曲という点ではオペラと似ています。ただ、オペラは色恋や歴史ドラマが題材で娯楽要素が強いのに対し、オラトリオの方は物語形式とは言えあくまで神を讃美する内容。それゆえかキリスト教のバックグラウンドのない日本のクラシックファンの間では敬遠されがちです。このメンデルスゾーンの「エリヤ」もヨーロッパでは“3大オラトリオ”の一つと言われ、親しまれているそうですが(あと2つはヘンデルの「メサイア」とハイドンの「天地創造」らしい)、日本ではお世辞にもメジャーとは言えませんよね。ただ、先日私が読んだとある名盤紹介によると、メンデルスゾーンの最高傑作はかの有名なヴァイオリン協奏曲でも「真夏の夜の夢」でもなく、この「エリヤ」だそうな。そこまで言うなら聴いてみようじゃないのと言うわけで、CDを買ってみた次第です。



CDはヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮ライプツィヒ・ゲバントハウス管弦楽団のものです。2枚組2時間を超えるボリュームに聴く前はそれなりの覚悟が必要ですが、メンデルスゾーンなので特に難解な旋律もなく、何度か聴いていくうちに耳に馴染んできます。物語の舞台は古代イスラエルで、異教の神を信じるアハブという王様に対し、預言者エリヤが立ち向かうという話です。CDのブックレットに歌詞も全て載っているので、読みながら聴くと話の理解がより進むかもしれませんが、私は一度試しただけでやめました。あらすじだけざっくり押さえて後は純粋に音楽を楽しむというスタンスでいいと思います。全42曲、アリアなど歌手陣による独唱パートも充実していますが、何と言っても胸を打つのは美しい合唱の数々でしょう。特にお薦めは第5曲「しかし主は見たまわず」、第10曲「わたしの仕える」、第20曲「神に感謝を」、第22曲「主なる神は言いたもう」、第34曲「見よ、主なる神は過ぎゆきたまい」、第41曲「だが主は北からひとりのものを目覚めさせ」などでしょうか。第33曲あたりからはどの曲も名旋律のオンパレードで、フィナーレへ向けて感動を盛り上げていきます。初挑戦のオラトリオなので多少身構えてはいたのですが、美しいコーラスの数々にすっかり魅了されてしまいました。メンデルスゾーンにはもう一つ「聖パウロ」というオラトリオもあるので、機会があればそれにも挑戦してみたいと思います。
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ルロイ・アンダーソン/作品集

2015-05-12 13:02:39 | クラシック(管弦楽作品)
本ブログでは主に古典派・ロマン派の正統派クラシックを取り上げていますが、今日はやや趣向を変えてアメリカの作曲家ルロイ・アンダーソンをご紹介します。アンダーソンは1940年代から60年代にかけて活躍した作曲家で、「シンコペイテッド・クロック」やクリスマスソングの「そり滑り」などはお茶の間でも親しまれているため、皆どこかで耳にしているのではないでしょうか?しかしながら、曲調もポップス風、演奏時間もほとんどが2~3分ということもあって、ジャンル的にはいわゆるライト・クラシックに位置づけられ、クラシックファンの正当な評価を得ているとはいえません。かく言う私も名前は知っているものの完全無視状態でしたが、とあるコンピレーションで「トランペット吹きの子守歌」を耳にしてその旋律に魅せられ、他の曲も聴いてみようと思った次第です。買ってみたらこれが大正解。上述の曲以外も魅力的な曲ばかりで文句なしに楽しめること間違いなしです。



アンダーソンの面白いところは特定の楽器をフィーチャーしたり(トランペットの「トランペット吹きの休日」、フルートの「ペニー・ウィッスル・ソング」、クラリネットの「クラリネット・キャンディ」等)、または日用品を楽器として使用したり(紙やすりの「サンドペーパー・バレエ」、そのものずばりの「タイプライター」等)と楽曲に遊び心を加えているところ。また、ピチカート奏法がお気に入りで、「プリンク、プレンク、プランク」「ジャズ・ピチカート」「フィドル・ファドル」とピチカートを多用した曲を何曲も作っています。ただ、どの曲も基本となるメロディがしっかりしているので、決して単なるおふざけでは終わらず、十分鑑賞に堪えうる楽曲に仕上がっています。CDはアンダーソン自身が指揮したものなど数種類出回っていますが、私が買ったのはレナード・スラットキン指揮セントルイス交響楽団のものです。アンダーソンの曲はポップスオーケストラで演奏されることが多いですが、こちらはフルオケの演奏。全25曲のボリュームですが、上述のとおり2~3分の小品ばかりなので、さらっと楽しめます。BGMとして聞き流すもよし、じっくり楽しむもよしの掘り出しモノの1枚です。
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