本日取り上げるのはレスピーギの古楽編曲作品を集めたCDでネヴィル・マリナー指揮アカデミー・オヴ・セントマーティン・イン・ザ・フィールズのものです。まず最初が「リュートのための古風な舞曲とアリア」。リュートはギターが普及する以前に使われていた弦楽器で形は日本の琵琶に似ています。本作はバロック時代に書かれたリュートのための曲をレスピーギが編曲したもので、実際にリュートが演奏に使われているわけではありません。全部で3つの組曲がありますが、CDに収録されているのは第3組曲。この中の「シチリアーナ」がコマーシャルに使われたりしたそうです。哀調を帯びたはかなげな旋律が印象的です。他には「宮廷のアリア」も古式ゆかしい感じの佳曲です。
ついでは「鳥」。こちらは全5曲からなる組曲で、バロック時代の作曲家であるベルナルド・パスクイーニ、ドメニコ・ガロ、ジャン=フィリップ・ラモーの楽曲をレスピーギが編曲したものです。それぞれの曲には鳥の名前が付けられており、とりわけ木管楽器が美しい旋律を奏でる「夜うぐいす(ナイチンゲール)」、そしてフルートがカッコウの鳴き声を模す「カッコウ」が素晴らしいです。
最後がバレエ音楽の「風変わりな店」。こちらは古楽とはちょっと違いますが、19世紀の偉大な作曲家であるロッシーニが晩年に書いた「老いの過ち」と言う未発表の小品集を甦らせたもの。全8曲、平均して2~3分程度の短い曲ばかりで、「タランテラ」「マズルカ」「コサックの踊り」「カンカン」「ギャロップ」等各国の踊りの名前が付いています。1曲だけスローテンポの「ノクターン」があり、なかなかムードのある佳曲です。以上、3作とも水準以上の出来ですが、個人的には「鳥」が一番のお薦めです。