ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

バルトーク/管弦楽のための協奏曲&弦楽、打楽器とチェレスタのための音楽

2019-11-25 23:20:17 | クラシック(管弦楽作品)
前回のショスタコーヴィチに続き、同じく20世紀を代表する作曲家と言うことで今日はバルトークを紹介しましょう。ただ、バルトークもショスタコーヴィチと同じかそれ以上に取っ付きにくいですよね。中にはほぼ無調に近い前衛色の強い曲もあり、これまでは正直ほぼスルーしてきました。そんな中で今日ご紹介する「管弦楽のための協奏曲」と「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」(長いので略して「弦チェレ」と呼ばれます)はバルトークの代表作として広く親しまれているだけあって比較的聴きやすいです。「弦チェレ」はバルトーク55歳、「管弦楽のための協奏曲」は62歳の時に書かれた作品で、この頃になるとバルトークも年齢のせいかやや表現にも角が取れ、前衛色は薄まっています。

とは言えそこはバルトークだけあって、いわゆるベタなメロディはほとんどありません。強いて言うなら「管弦楽のための協奏曲」の第4楽章にメランコリックな主題や舞曲風の旋律が顔をのぞかせますが、全体を通じて聴かれるのは不安げな弦の響きに微妙に音階の外れた管楽器と言ったバルトークならではの独特の音世界。ただ、決して無調ではありませんし、起承転結もきちんとあるので聴き込むうちに段々魅力がわかってきます。最終第5楽章のフィナーレの盛り上がりはなかなかのものです。



「弦チェレ」ではさらに打楽器も加わり、より一層複雑かつ色彩豊かな音の世界を作り出しています。チェレスタとは鉄琴に似た音を出す鍵盤楽器ですが、正直活躍する場面は少なく、どちらかと言うとピアノの打楽器的な使い方が目立ちます。第2楽章の激しいピアノの連打とシャープな弦楽合奏の響きがかっこいいです。CDはバルトークと同じハンガリー出身のサー・ゲオルク・ショルティがシカゴ交響楽団を指揮したものです。
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ショスタコーヴィチ/交響曲第10番

2019-11-19 23:24:23 | クラシック(交響曲)
本日はショスタコーヴィチの交響曲第10番を取り上げます。ショスタコーヴィチについては本ブログで取り上げるのは初めてですね。20世紀で最も偉大な作曲家と呼ばれ、交響曲を15曲、ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための協奏曲を2曲ずつ、その他に室内楽、オペラ、映画音楽にいたるまで多くの作品を残したショスタコーヴィチですが、私のコレクションにはほとんどありません。過去にヴァイオリン協奏曲やチェロ協奏曲を聴きましたが前衛的で難解ですし、有名な交響曲第5番や第7番も全体的に重苦しくて親しみが持てませんでした。ただ、今日取り上げる第10番に関しては比較的すんなりと耳に馴染みました。それは私自身がいろんな作曲家の音楽を聴いて間口が広がったのもあるでしょうし、この作品自体がショスタコーヴィチの全交響曲の中で最も演奏機会が多く広く親しまれている作品ということもあるでしょう。今回購入したのはヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニーのCDですが、実はカラヤンにとってこれが唯一録音したショスタコーヴィチ作品だそうです。レパートリーの広いカラヤンにしては意外ですが、カラヤンにとってショスタコーヴィチは同世代の作曲家(カラヤンが2歳下)ですのであまりにリアルタイム過ぎたのかもしれません。



肝心の曲の内容ですが、いくらショスタコーヴィチの中では聴きやすいと言っても甘美な旋律などは一切なく、暗く重苦しい旋律が全体を支配しています。第1楽章は22分にも及ぶ長大な楽章でこれだけで全体の半分くらいあります。基本的に同じような旋律の繰り返しですが、暗く物憂げな冒頭部分から徐々に盛り上がって行き、中間部で最高潮に達します。その後は暗い曲調に戻り再び静かに幕を閉じます。続く第2楽章は一転して4分ほどの短さのエネルギッシュな楽章で、後半への「つなぎ」のような役割を果たしています。第3楽章は終始不安げな旋律。第4楽章で爆発する前の「タメ」の部分と言って良いでしょう。第4楽章は文句なしに本曲のハイライトで、特に5分過ぎからフィナーレまでの怒濤の展開はそれまでの暗く陰鬱な展開を振り払うようなカタルシスを得られます。ショスタコーヴィチの交響曲と言えば第5番のフィナーレも有名ですが、同じ旋律の繰り返しがややくどい第5番よりこちらの方がすっきりした終わり方と思います。これまで苦手でしたがショスタコーヴィチの他の交響曲も聴いてみようかと思わせる1枚でした。
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