本日はモーツァルトの中期の交響曲を4曲取り上げたいと思います。生涯で41曲の交響曲を書き残したモーツァルトですが傑作は第35番以降に集中しており、それ以前で有名なのは第25番と第29番くらいであとはマイナーな作品ばかりです。今日取り上げる4曲もあえて言うなら第31番「パリ」はそれなりに知られていますが、第30番、第32番、第34番は演奏される機会もほとんどなく、よほどのモーツァルト・マニアでなければまず知らないでしょう。ただ、そこは天才モーツァルトだけあって聴き込めばそれなりに魅力がある曲ばかりです。今回はモーツァルトの一大権威であるカール・ベームがベルリン・フィルハーモニーを指揮した演奏をもとにこれらの曲を紹介しましょう。
まずは第30番から。モーツァルトが18歳の時に書いた曲で宮廷音楽的な華やかさの感じられる曲です。特に第1楽章が素晴らしく、冒頭から華やかで気品のある旋律が次々と現れます。第4楽章の軽快なプレストもなかなか良いですね。ただ、第2楽章アンダンティーノと第3楽章メヌエットは正直単調で、まだ成熟しきってない感じです。
続く第31番「パリ」はその4年後に書かれた3楽章形式の交響曲です。この時期モーツァルトはわずか半年ですがパリに滞在しており、その時に書かれた曲です。結局パリでのモーツァルトの演奏活動は成功とは言えず、すぐに故郷のザルツブルクに帰ることになるのですが、数少ない成果と言って良いのがこの曲です。特に第1楽章はスケールも大きく、後期の交響曲群と比較してもひけを取らない名曲と言って過言ではないでしょう。ただ、第2楽章は宮廷音楽風のアンダンテでやや平板かな。終楽章である第3楽章は再び力強いアレグロで締めくくります。
次いで第32番ですが、こちらは交響曲と題しながら全部で8分しかありません。なんでそんなに短いと思うかもしれませんが、交響曲の語源のシンフォニアはもともとオペラの序曲のことを指し、バロック時代はこのくらいの規模だったようです。ただ、18世紀も後半になると4楽章形式で20分以上の交響曲が主流になっていますので、なぜこの曲だけ古いシンフォニア形式にしたのかはよくわかりません。もともとオペラの序曲として書かれた説が有力ですが、それを交響曲として発表したことの説明にはなっていませんしね。とは言え、経緯はともかく曲自体はいかにもモーツァルトらしいめくるめく旋律で、8分あまりの中で急→緩→急の展開でうまくまとまっています。
最後は第34番。このCDではなぜか第33番が収録されていませんが、それはまた別の機会で聴くことにしましょう。この次の第35番「ハフナー」から続く後期の傑作群の前触れとでも言うべき作品です。第1楽章は勇ましい冒頭部で幕を開ける堂々とした曲。第2楽章は美しいアンダンテ。中期の交響曲は緩徐楽章が弱い傾向にありますがこの曲は素晴らしいですね。第3楽章のメヌエットはもともとなく、ベームがわざわざ別の曲を引っ張ってきたものだそうですがはっきり言って蛇足。ない方が良いですね。最終楽章はきびきびした弦楽アンサンブルが印象的で、フィナーレをビシッと締めくくります。以上、マイナーな交響曲ばかりですが、モーツァルトに駄曲なしをあらためて実感させてくれる1枚と言えます。
まずは第30番から。モーツァルトが18歳の時に書いた曲で宮廷音楽的な華やかさの感じられる曲です。特に第1楽章が素晴らしく、冒頭から華やかで気品のある旋律が次々と現れます。第4楽章の軽快なプレストもなかなか良いですね。ただ、第2楽章アンダンティーノと第3楽章メヌエットは正直単調で、まだ成熟しきってない感じです。
続く第31番「パリ」はその4年後に書かれた3楽章形式の交響曲です。この時期モーツァルトはわずか半年ですがパリに滞在しており、その時に書かれた曲です。結局パリでのモーツァルトの演奏活動は成功とは言えず、すぐに故郷のザルツブルクに帰ることになるのですが、数少ない成果と言って良いのがこの曲です。特に第1楽章はスケールも大きく、後期の交響曲群と比較してもひけを取らない名曲と言って過言ではないでしょう。ただ、第2楽章は宮廷音楽風のアンダンテでやや平板かな。終楽章である第3楽章は再び力強いアレグロで締めくくります。
次いで第32番ですが、こちらは交響曲と題しながら全部で8分しかありません。なんでそんなに短いと思うかもしれませんが、交響曲の語源のシンフォニアはもともとオペラの序曲のことを指し、バロック時代はこのくらいの規模だったようです。ただ、18世紀も後半になると4楽章形式で20分以上の交響曲が主流になっていますので、なぜこの曲だけ古いシンフォニア形式にしたのかはよくわかりません。もともとオペラの序曲として書かれた説が有力ですが、それを交響曲として発表したことの説明にはなっていませんしね。とは言え、経緯はともかく曲自体はいかにもモーツァルトらしいめくるめく旋律で、8分あまりの中で急→緩→急の展開でうまくまとまっています。
最後は第34番。このCDではなぜか第33番が収録されていませんが、それはまた別の機会で聴くことにしましょう。この次の第35番「ハフナー」から続く後期の傑作群の前触れとでも言うべき作品です。第1楽章は勇ましい冒頭部で幕を開ける堂々とした曲。第2楽章は美しいアンダンテ。中期の交響曲は緩徐楽章が弱い傾向にありますがこの曲は素晴らしいですね。第3楽章のメヌエットはもともとなく、ベームがわざわざ別の曲を引っ張ってきたものだそうですがはっきり言って蛇足。ない方が良いですね。最終楽章はきびきびした弦楽アンサンブルが印象的で、フィナーレをビシッと締めくくります。以上、マイナーな交響曲ばかりですが、モーツァルトに駄曲なしをあらためて実感させてくれる1枚と言えます。