本日もJAZZ MASTERS COLLECTIONシリーズからメイナード・ファーガソンのアルバムをご紹介します。メイナードはカナダ出身で1950年代から活躍する白人トランぺッターですが、一般的な音楽ファンにはジャズ作品よりも1970年代に入ってからのフュージョン作品の方がなじみがあるかもしれません。特に映画「スター・トレック」のテーマ曲のカバー・バージョンは、日本で「アメリカ横断ウルトラクイズ」のテーマ曲に使われ、私のようなアラフォー世代で知らない人はいないでしょう。この曲でもそうですが、メイナードの特徴は超高音域(ハイノート)を持続して演奏することで、ジャズ界随一のハイノートヒッターとして有名です。エリントン楽団のキャット・アンダーソン等もハイノートで有名ですが、曲のクライマックスの部分でハイノートを鳴らす彼らと違い、メイナードの場合は最初から最後までハイノート。その肺活量の凄さには驚嘆するばかりですが、一方で音楽的な側面からするとやや単調なのは否めない。本ブログでも過去にエマーシー盤「ジャム・セッション」を取り上げましたが、目の覚めるようなアドリブを次々と繰り出すクリフォード・ブラウンの横でひたすらハイノートを連発するメイナードはどうしても一本調子に聞こえてしまいます。
そんなメイナードですが、1950年代の後半から60年代半ばまで自身がリーダーとなったビッグバンド、その名もバードランド・ドリーム・バンドを結成していました。ここでもメイナードはソロではお得意のハイノートを存分に披露しますが、単に自分が目立つだけでなく、サックス、トロンボーン、リズムセクションも一体となったサウンドを追求しており、なかなか質の高いビッグバンドジャズを聴かせてくれます。メンバーの中に後に自らもビッグバンドを結成するスライド・ハンプトン、後に名アレンジャーとして名を馳せるドン・セベスキーらを擁していたのもこのバンドの強みかもしれません。本作「ア・メッセージ・フロム・ニューポート」は1958年にルーレット・レーベルから発売された作品で、そんなメイナード・ファーガソン楽団の代表作です。メンバーは総勢13名。トランペットがリーダーのメイナードに加え、ビル・チェイス、クライド・リージンガー、トム・スレイニー、トロンボーンがスライド・ハンプトン、ドン・セベスキー、サックスがウィリー・メイデン&カーメン・レッギオ(テナー)、ジミー・フォード(アルト)、ジェイ・キャメロン(バリトン)、リズムセクションがジョン・バンチ(ピアノ)、ジミー・ラウザー(ベース)、ジェイク・ハナ(ドラム)です。ハンプトン、セベスキー、メイデンの3名は交代でアレンジャーも務め、作曲・編曲もしています。
全9曲、いわゆるスタンダード曲は一つもなく、全てオリジナル曲です。どの曲も標準以上の出来ですが、特に4曲目以降が全て名曲揃いです。まず、4曲目の“Tag Team”はサックスのウィリー・メイデンの書いた曲で、ドライブ感あふれる快適なナンバー。ハンプトン、メイデン、メイナードの順でソロを取りますが、ここでのメイナードはお得意のハイノートではなく、ヴァルヴトロンボーンを吹いています。続く“And We Listened”はアレンジャーのボブ・フリードマン作曲でベイシー楽団を思い起こさせるようなスローなグルーヴの名曲です。ここではジミー・フォードのアルトとメイナードのハイノートがソロでフィーチャーされます。6曲目“Slide's Derangement”は「スライドの発狂」と言う意味で、題名通りスライド・ハンプトンが作曲・編曲していますが、彼自身はソロを取らず、もっぱらアレンジに徹しています。「発狂」というだけあって、爆発するような強力なホーンアンサンブルをバックに、メイデン→フォード→レッギオのサックス陣、続いてメイナードが脳天を突き刺すようなハイノートを聴かせます。最後のジェイク・ハナのドラムソロも圧巻ですね。7曲目“Frame For The Blues”もハンプトンのペンによるものですが、こちらは一転して美しいバラード。静かに燃え上がるアンサンブルをバックに、レッギオ→メイナード→セベスキーが情熱的なソロを取ります。このあたりの「動」から「静」への切り替わりも見事ですね。8曲目“Humbug”はドン・セベスキー作編曲の急速調のナンバー。バンド全体が前のめりにスイングする中、メイナードが最初はトロンボーン、続いてハイノートでパワフルなソロを取ります。メイデン、フォードのサックス陣も短いながら切れ味鋭いソロを聴かせます。ラストの“Three Little Foxes”はトロンボーン3人の競演で、メイナード→セベスキー→ハンプトンの順でソロを取ります。セベスキーと言えばアレンジャーの印象しかないですが、なかなか力強いトロンボーンを聴かせてくれます。以上、曲良し演奏良しの内容で、ズバリ名盤と言って差し支えないでしょう。メイナードのハイノートは正直あまり好きではない私ですが、バンドリーダーとしては評価したいと思います。メイナードのビッグバンドにはもう1枚「ア・メッセージ・フロム・バードランド」というアルバムが数年前にCD化されていますが、そちらも負けず劣らずの名盤です。
そんなメイナードですが、1950年代の後半から60年代半ばまで自身がリーダーとなったビッグバンド、その名もバードランド・ドリーム・バンドを結成していました。ここでもメイナードはソロではお得意のハイノートを存分に披露しますが、単に自分が目立つだけでなく、サックス、トロンボーン、リズムセクションも一体となったサウンドを追求しており、なかなか質の高いビッグバンドジャズを聴かせてくれます。メンバーの中に後に自らもビッグバンドを結成するスライド・ハンプトン、後に名アレンジャーとして名を馳せるドン・セベスキーらを擁していたのもこのバンドの強みかもしれません。本作「ア・メッセージ・フロム・ニューポート」は1958年にルーレット・レーベルから発売された作品で、そんなメイナード・ファーガソン楽団の代表作です。メンバーは総勢13名。トランペットがリーダーのメイナードに加え、ビル・チェイス、クライド・リージンガー、トム・スレイニー、トロンボーンがスライド・ハンプトン、ドン・セベスキー、サックスがウィリー・メイデン&カーメン・レッギオ(テナー)、ジミー・フォード(アルト)、ジェイ・キャメロン(バリトン)、リズムセクションがジョン・バンチ(ピアノ)、ジミー・ラウザー(ベース)、ジェイク・ハナ(ドラム)です。ハンプトン、セベスキー、メイデンの3名は交代でアレンジャーも務め、作曲・編曲もしています。
全9曲、いわゆるスタンダード曲は一つもなく、全てオリジナル曲です。どの曲も標準以上の出来ですが、特に4曲目以降が全て名曲揃いです。まず、4曲目の“Tag Team”はサックスのウィリー・メイデンの書いた曲で、ドライブ感あふれる快適なナンバー。ハンプトン、メイデン、メイナードの順でソロを取りますが、ここでのメイナードはお得意のハイノートではなく、ヴァルヴトロンボーンを吹いています。続く“And We Listened”はアレンジャーのボブ・フリードマン作曲でベイシー楽団を思い起こさせるようなスローなグルーヴの名曲です。ここではジミー・フォードのアルトとメイナードのハイノートがソロでフィーチャーされます。6曲目“Slide's Derangement”は「スライドの発狂」と言う意味で、題名通りスライド・ハンプトンが作曲・編曲していますが、彼自身はソロを取らず、もっぱらアレンジに徹しています。「発狂」というだけあって、爆発するような強力なホーンアンサンブルをバックに、メイデン→フォード→レッギオのサックス陣、続いてメイナードが脳天を突き刺すようなハイノートを聴かせます。最後のジェイク・ハナのドラムソロも圧巻ですね。7曲目“Frame For The Blues”もハンプトンのペンによるものですが、こちらは一転して美しいバラード。静かに燃え上がるアンサンブルをバックに、レッギオ→メイナード→セベスキーが情熱的なソロを取ります。このあたりの「動」から「静」への切り替わりも見事ですね。8曲目“Humbug”はドン・セベスキー作編曲の急速調のナンバー。バンド全体が前のめりにスイングする中、メイナードが最初はトロンボーン、続いてハイノートでパワフルなソロを取ります。メイデン、フォードのサックス陣も短いながら切れ味鋭いソロを聴かせます。ラストの“Three Little Foxes”はトロンボーン3人の競演で、メイナード→セベスキー→ハンプトンの順でソロを取ります。セベスキーと言えばアレンジャーの印象しかないですが、なかなか力強いトロンボーンを聴かせてくれます。以上、曲良し演奏良しの内容で、ズバリ名盤と言って差し支えないでしょう。メイナードのハイノートは正直あまり好きではない私ですが、バンドリーダーとしては評価したいと思います。メイナードのビッグバンドにはもう1枚「ア・メッセージ・フロム・バードランド」というアルバムが数年前にCD化されていますが、そちらも負けず劣らずの名盤です。