CDはクラウディオ・アバド指揮ロンドン交響楽団のものを買いました。「火の鳥」「ペトルーシュカ」とも「春の祭典」とのカップリングが多く、この2曲の組み合わせによるCDは意外と少ないです。「火の鳥」は全曲バレエ版もありますが、ここで演奏されるのは作曲者自身が編曲したコンパクトな組曲版です。名前からして熱く燃え上がる曲を想像しがちですが、激しいのは「カッチェイ王の魔の踊り」ぐらいで、後は優雅な「王女たちのロンド」、輝かしい賛歌風の「終曲」とむしろメロディの美しい曲が多いのが意外ですね。「ペトルーシュカ」は「火の鳥」の翌年、「春の祭典」の2年前に発表された曲で、作風的にもちょうど両者の中間らしい内容です。「火の鳥」に比べるとはるかにリズムは強烈ですが、決して調性を逸脱することはなく、随所に朗らかな旋律も挟まれます。ピアノが全編に渡って活躍するのも特徴ですね。全4幕15曲あり、目まぐるしく曲調が変化していきますが、中でも冒頭の「謝肉祭の日」と第4幕のロシア民謡をベースにした華麗な「乳母の踊り」が秀逸ですね。
CDはクラウディオ・アバド指揮ロンドン交響楽団のものを買いました。「火の鳥」「ペトルーシュカ」とも「春の祭典」とのカップリングが多く、この2曲の組み合わせによるCDは意外と少ないです。「火の鳥」は全曲バレエ版もありますが、ここで演奏されるのは作曲者自身が編曲したコンパクトな組曲版です。名前からして熱く燃え上がる曲を想像しがちですが、激しいのは「カッチェイ王の魔の踊り」ぐらいで、後は優雅な「王女たちのロンド」、輝かしい賛歌風の「終曲」とむしろメロディの美しい曲が多いのが意外ですね。「ペトルーシュカ」は「火の鳥」の翌年、「春の祭典」の2年前に発表された曲で、作風的にもちょうど両者の中間らしい内容です。「火の鳥」に比べるとはるかにリズムは強烈ですが、決して調性を逸脱することはなく、随所に朗らかな旋律も挟まれます。ピアノが全編に渡って活躍するのも特徴ですね。全4幕15曲あり、目まぐるしく曲調が変化していきますが、中でも冒頭の「謝肉祭の日」と第4幕のロシア民謡をベースにした華麗な「乳母の踊り」が秀逸ですね。
本日は久々にピアノ協奏曲です。と言ってもラフマニノフ、グリーグ、チャイコフスキーのような王道ロマン派ではなく、やや変化球でガーシュウィンとラヴェルの作品をご紹介します。それぞれ1920年代と30年代に発表されただけあって、伝統的なピアノ協奏曲とは一線を画し、メロディやリズムにジャズをはじめとした当時の大衆音楽の影響を感じさせます。かと言ってクラシックの範疇を飛び出ることは決してなく、華麗なオーケストラサウンドも十分に堪能できる内容となっています。この20世紀の名ピアノ協奏曲が1枚で楽しめるのがエレーヌ・グリモーのピアノ、デイヴィッド・ジンマン指揮ボルチモア交響楽団のCDです。ジャケットからもわかるように美人ピアニストとして有名な彼女ですが、演奏の方も折り紙付きです。
まず、ガーシュウィンの作品から。曲調は同時期に発表された「ラプソディ・イン・ブルー」に似ていますが、コンチェルトと題されるだけあってこちらの方がピアノ独奏も多く、構成も伝統的な3楽章形式に則っています。第1楽章、出だしはリズミカルですが、その後に現れるメランコリックな主題が素晴らしいですね。第2楽章はややユーモラスな曲調。ここではピアノが打楽器的な使われ方をしています。第3楽章はそれまでに現れた主題が再構築され、エネルギッシュなピアノ独奏とゴージャスなオーケストレーションで盛大にフィナーレを迎えます。どうも評論家からはポピュラー音楽の要素が強すぎるとして高く評価されていないようですが、個人的にはとても魅力的な作品だと思います。
一方のラヴェルの作品は20世紀を代表するピアノ協奏曲として評価も確立されていますね。ラヴェル最晩年の作品で、“管弦楽の魔術師”と呼ばれる彼の卓越したオーケストレーションとヴィルトゥオーゾ的なピアノ演奏が絶妙に融合した名曲です。前述したジャズの要素だけでなく、ラヴェルの故郷であるバスク地方の民謡からも着想を得ているようです。とりわけピシャリ!と言う鞭の一閃から始まる第1楽章はまさしく音の万華鏡とでも言うべききらびやかな音世界が広がります。一転して静謐な美しさをたたえた第2楽章、再び賑わいに満ちた第3楽章も魅力的ですね。私は既にマルタ・アルゲリッチ&クラウディオ・アバド盤も持っていましたが、ここでのグリモー&ジンマンの演奏も十分に素晴らしいと思います。
まず、グリンカの「ルスランとリュドミラ」序曲から。グリンカは“近代ロシア音楽の父”と呼ばれている人で、それまでクラシック不毛の地だったロシアで始めて後世に残る作品を生み出した作曲家だとか。この曲は同名のオペラの序曲ですが、今では本編から独立して単独の管弦楽作品として演奏機会も多いようです。19世紀前半の作品ということでロッシーニをはじめとしたイタリア・オペラの影響を感じさせるエネルギッシュかつ起承転結のはっきりした曲です。続いてアナトーリ・リャードフの「ヨハネ黙示録から」ですが、こちらはめったに収録されることのないレア曲ですね。金管と打楽器を多用したドラマチックな展開の曲ですが、正直さほど魅力的とは思いません。
後半はリムスキー=コルサコフの3作品。「シェエラザード」と前回UPした「スペイン奇想曲」が圧倒的に有名な彼ですが、他も侮るなかれですよ。「ロシアの復活祭」は冒頭不安げな旋律で幕を開け、その後で弦の奏でる幻想的な主題が現れます。それを何度か繰り返した後、フルオーケストラのド迫力の中間部へ。その後、何度か強弱を繰り返し、盛大なフィナーレへ向かいます。続く「五月の夜」はオペラの序曲ですが、一転して穏やかな曲調。特に中間部の素朴な民謡のような旋律が実に美しいです。ほとんど知られていませんが隠れた名曲と言えるのでは?最後の「金鶏」は同名のオペラを25分強の組曲にまとめたもの。こちらも地味な作品ですが、魅力的な旋律があちこちに散らばっています。1曲目の「ドドン王の眠り」の主題、3曲目「シェマハ女王の踊り」「ドドン王の踊り」の主題が特に親しみやすいですね。
まず、ドミトリー・カバレフスキーから。ショスタコーヴィチとほぼ同年代の作曲家で、ソ連の共産主義体制下で大成功を収めた人物です。と書くと何だか構えてしまいがちですが、作風的には平易でわかりやすいのが特徴で、重厚な交響曲を多く残したショスタコーヴィチとは対照的です。組曲「道化師」は彼の代表作で、15分余りの短い作品ですが、その中でテーマごとに10もの小曲が収められています。どれも思わず口ずさむような親しみやすい曲ばかりですが、特に運動会のBGMでも有名な「道化師のギャロップ」、甘美な旋律の「抒情的小シーン」、賑やかな終曲「エピローグ」が秀逸です。
残りは時代が遡って帝政ロシア時代の名作曲家の2つの作品。どちらも南ヨーロッパのイタリアとスペインを題材にした奇想曲(カプリッチョ)です。極寒の国ロシアだと、やはり暖かい南欧の国に憧れるものなんでしょうかね?うちチャイコフスキーの「イタリア奇想曲」は作曲者がイタリア滞在時に着想を得て作られた曲です。前半部分は重々しいですが、中間部は陽気なイタリア民謡風の旋律が次々と現れ、華やかなフィナーレへと進んで行きます。ラテン情緒が色濃いという点でチャイコフスキーにしては異色の作品ですね。一方、「スペイン奇想曲」はリムスキー=コルサコフにとってかの「シェエラザード」と並ぶ代表作ですが、作曲者自身がスペインを訪れたわけではなくイメージだけで作られた曲です。ただ、内容は素晴らしく、活気に満ちた舞曲「アルボラーダ」、ホルンと弦楽合奏があまりにも美しい旋律を奏でる「夕べの踊り」、フラメンコ調のエキゾチックな「ジプシーの歌」、そしてフィナーレを飾る情熱の舞曲「ファンダンゴ」と、15分余りの中に宝石箱のように魅力的な旋律が詰まった名曲中の名曲です。
CDは小澤征爾指揮フランス国立管弦楽団のものを買いました。今ではすっかり白髪がトレードマークとなった世界のオザワですが、本盤では40代後半で脂の乗り切った頃の見事な演奏が収録されています。カップリングされているのは演奏会用序曲「祖国」と組曲「子供の遊び」。後者は以前UPした「アルルの女」にも入っていたので省略します。前者の「祖国」は文字通りビゼーが祖国フランスへの愛を謳った曲。行進曲風の第1主題、勝利の凱歌風の勇壮な第2主題と続き、中間部は一転して陰鬱な展開になりますが、その後牧歌的で美しい旋律が現れ、最後は再び勝利の主題が高らかに鳴り響き華々しいクライマックスを迎えます。こちらも隠れた名曲と言えるでしょう。