本日はカミーユ・サン=サーンスの初期のピアノ協奏曲をご紹介したいと思います。サン=サーンスは生涯に5曲のピアノ協奏曲を作曲しましたが、そのうち4番と5番については過去ブログでもご紹介しました。いずれも作曲者が名声を確立した40代以降の作品で、特に「エジプト風」の副題を持つ第5番は円熟味あふれる傑作と思います。今日ご紹介する1番から3番までの3曲は20代から30代前半までに書かれた初期の作品で、それだけにまだ作風に“青さ”が残るものの、一方で青年期ならではの瑞々しさにあふれた作品となっています。CDはナクソスから出ているマルク・スーストロ指揮マルメ交響楽団のサン=サーンス作品集を購入しました。ピアノはロマン・デシャルムというフランスの中堅ピアニストです。
まず第1番から。サン=サーンス23歳の時に書かれた作品で彼のキャリアの中でも最も初期の作品です。第1楽章はホルンの奏でる印象的な主題で始まり、続いてロマンティックな第2主題に。以降はその繰り返しですが、12分近くあるためかやや冗長なのは否めません。続く第2楽章はオーケストラは伴奏程度でピアノがほぼ独奏に近い形で幻想的な旋律を奏でてゆきます。第3楽章は一転してきらびやかな音の洪水。ピアノとオーケストラが一体となってフィナーレに向けて突き進んでいきます。全体的な完成度はイマイチですが、最後の盛り上がりはなかなかのものです。
続いで第2番。第1番の10年後に書かれた作品で、その間に作曲者として大きな成長を遂げたのか完成度の高い作品となっています。特に第1楽章が素晴らしく、メランコリックな旋律とドラマチックなオーケストレーションが融合した真の名曲と言ってよいでしょう。続く第2楽章は一転して軽やかなスケルツォ。中間部の夢見るような第2主題が印象的です。第3楽章は再びメランコリックな旋律で、フィナーレに向けてドラマチックに盛り上がって行きます。全体で25分ほどの小品ですが、短い中に聴きどころがギュッと詰まっており、文句なしの傑作と言っていいでしょう。実際、この曲はコンサートでも取り上げられる機会も多く、後期の傑作である第5番と並んでサン=サーンスのピアノ協奏曲の中で最も人気の作品となっています。
最後に第3番。第2番の1年後に書かれた作品です。第2番があまりにも良かったので、聴く方も期待が高まりますが、実際はそうでもないと言うのが正直なところ。第1楽章は交響曲的なスケールで迫る雄大な作風ですが、若干くどいと言えばくどい。第2楽章は静謐なアンダンテですが、これもややインパクトが弱いか。第3番は華やかな楽章で、最後にようやく盛り上がりを見せます。ただ、全体的には地味な印象は拭えません。う~ん、決して悪くはないんですけどね。あえて繰り返し聴こうとは思わないかな。
ナクソス盤全集にはこの3曲の他に、ピアノと管弦楽のための作品が4曲(「アレグロ・アッパショナート」「オーヴェルニュ狂詩曲」「アフリカ幻想曲」「ウェディング・ケーキ」)収録されています。どれもサン=サーンスらしいツボを押さえた曲作りですが、個人的には「オーヴェルニュ狂詩曲」が無名ながらもお薦めです。前半の叙情的な旋律と後半のエネルギッシュな展開が聴きモノです。この中で比較的有名な「アフリカ幻想曲」はタイトルから想像するのとは違ってアラブ風の旋律が随所に挟まれます。アフリカと言ってもいわゆるブラックアフリカではなく当時フランスの植民地だったアルジェリア、チュニジア等の北アフリカのことで、サン=サーンスが当地をたびたび訪れていたことが背景にあるようです。
まず第1番から。サン=サーンス23歳の時に書かれた作品で彼のキャリアの中でも最も初期の作品です。第1楽章はホルンの奏でる印象的な主題で始まり、続いてロマンティックな第2主題に。以降はその繰り返しですが、12分近くあるためかやや冗長なのは否めません。続く第2楽章はオーケストラは伴奏程度でピアノがほぼ独奏に近い形で幻想的な旋律を奏でてゆきます。第3楽章は一転してきらびやかな音の洪水。ピアノとオーケストラが一体となってフィナーレに向けて突き進んでいきます。全体的な完成度はイマイチですが、最後の盛り上がりはなかなかのものです。
続いで第2番。第1番の10年後に書かれた作品で、その間に作曲者として大きな成長を遂げたのか完成度の高い作品となっています。特に第1楽章が素晴らしく、メランコリックな旋律とドラマチックなオーケストレーションが融合した真の名曲と言ってよいでしょう。続く第2楽章は一転して軽やかなスケルツォ。中間部の夢見るような第2主題が印象的です。第3楽章は再びメランコリックな旋律で、フィナーレに向けてドラマチックに盛り上がって行きます。全体で25分ほどの小品ですが、短い中に聴きどころがギュッと詰まっており、文句なしの傑作と言っていいでしょう。実際、この曲はコンサートでも取り上げられる機会も多く、後期の傑作である第5番と並んでサン=サーンスのピアノ協奏曲の中で最も人気の作品となっています。
最後に第3番。第2番の1年後に書かれた作品です。第2番があまりにも良かったので、聴く方も期待が高まりますが、実際はそうでもないと言うのが正直なところ。第1楽章は交響曲的なスケールで迫る雄大な作風ですが、若干くどいと言えばくどい。第2楽章は静謐なアンダンテですが、これもややインパクトが弱いか。第3番は華やかな楽章で、最後にようやく盛り上がりを見せます。ただ、全体的には地味な印象は拭えません。う~ん、決して悪くはないんですけどね。あえて繰り返し聴こうとは思わないかな。
ナクソス盤全集にはこの3曲の他に、ピアノと管弦楽のための作品が4曲(「アレグロ・アッパショナート」「オーヴェルニュ狂詩曲」「アフリカ幻想曲」「ウェディング・ケーキ」)収録されています。どれもサン=サーンスらしいツボを押さえた曲作りですが、個人的には「オーヴェルニュ狂詩曲」が無名ながらもお薦めです。前半の叙情的な旋律と後半のエネルギッシュな展開が聴きモノです。この中で比較的有名な「アフリカ幻想曲」はタイトルから想像するのとは違ってアラブ風の旋律が随所に挟まれます。アフリカと言ってもいわゆるブラックアフリカではなく当時フランスの植民地だったアルジェリア、チュニジア等の北アフリカのことで、サン=サーンスが当地をたびたび訪れていたことが背景にあるようです。