ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ダイナ・ワシントン・ウィズ・クリフォード・ブラウン

2025-01-29 19:24:02 | ジャズ(ヴォーカル)

本日はダイナ・ワシントンです。彼女は”ブルースの女王”の称号で呼ばれていることからもわかるように、純粋なジャズシンガーと言うよりブルースやR&Bを含めた広義の黒人音楽の世界で足跡を残した人です。1963年に薬物の過剰摂取で39歳で亡くなりますが、それまでにマーキュリー/エマーシー系列の看板スターとして大量の録音を残しています。その中でもジャズファンの中で評価が高いのが1954年に吹き込んだ「ダイナ・ワシントン・ウィズ・クリフォード・ブラウン」です。ただ、この作品、原題はシンプルにDinah Jamsとなっており、クリフォード・ブラウンの名前が特にフィーチャーされているわけではありません。ご承知のとおりブラウンはこの2年後に25歳の若さで事故死し、神格化された存在となっていきますので、後に邦題を付けるときに彼の名を冠したのでしょう。ブラウンは他にヘレン・メリルやサラ・ヴォーンの歌伴を務めていますが、同じように日本盤は全て「~ウィズ・クリフォード・ブラウン」のタイトルが付いています。

本作に参加しているミュージシャンは合計10人。全員が当時エマーシーに所属していたジャズマン達です。録音はLAで行われ、当時西海岸で活動していたブラウン=ローチ・クインテット、すなわちブラウン(トランペット)、マックス・ローチ(ドラム)、ハロルド・ランド(ピアノ)、リッチー・パウエル(ピアノ)、ジョージ・モロウ(ベース)が全員加わっています。それに加えてダイナの歌伴を務めていたジュニア・マンス(ピアノ)とキーター・ベッツ(ベース)、さらにはトランペットにクラーク・テリーとメイナード・ファーガソン、白人アルトのハーブ・ゲラーも加わっています。トランペットが3人いるのも多いですが、ピアノとベースが2人ずつと言うのが異例ですね。何でもこのセッションは長時間のマラソン形式で行われたらしく、交代しながらでないと体が持たなかったのかもしれません(ドラムはローチ1人ですが)。なお、このセッションの模様は他に「ジャム・セッション」「ジャムズ2」と言うタイトルでも発売されています。

全5曲。どれも有名スタンダードばかりですが、ダイナの迫力満点のヴォーカルと一流ジャズマン達の華やかなソロのおかげで聴き応えのある作品に仕上がっています。ただし、この一連のセッションはスタジオ録音なのになぜか観客を入れて行われたらしく、拍手や歓声がしょっちゅう入ります。それも曲の終わりとかなら良いのですが、ご丁寧に誰かのソロの順番が終わるたびに拍手喝采するものですから正直耳障りでしかない。一体なぜこんな趣向にしたのか謎ですが、せっかくの素晴らしい演奏に水を差していると個人的には思います。

1曲目は"Lover Come Back To Me”。10分近い長尺の演奏でまずダイナがパンチ力抜群のヴォーカルを聴かせ、続いてクラーク・テリー→ハロルド・ランド→クリフォード・ブラウン→ベースソロ→ハーブ・ゲラー→メイナード・ファーガソン→マックス・ローチ→ピアノソロと続きます。最後のピアノはジュニア・マンスとリッチー・パウエルが2人同時に弾いているようです。トランペットが3人いますが、聴き分けはそんなに難しくなく、ややオールドファッションなテリー、ハイノートを連発するファーガソン、そしていつもながらブリリアントなブラウンと言う感じです。テリーもファーガソンもかなりの実力者ですが、やはりフレージングの滑らかさ、巧みさでブラウンが頭一つ抜きん出ていますね。

2曲目はメドレーでハロルド・ランドが”Alone Together"、ファーガソンが”Summertime"、ダイナが”Come Rain Or Come Shine"をそれぞれ受け持ちます。続くバラードの”No More"はダイナがピアノトリオをバックに歌います。ここら辺は2~3分程度のわりと軽めの演奏です。3曲目”I've Got You Under My Skin"はダイナとトランペット3人の競演です。テリー→ファーガソン→ブラウンの順でソロを取りますが、スタイルは多少違えど音の力強さは全員共通しています。何より彼らに負けないダイナのパワフルな歌声がさすがですね。

4曲目”There Is No Greater Love"は2分ほどの短いバラードで、箸休めでしょうか?ラストが11分を超す大曲”You Go To My Head”で、まず最初の2分はダイナがピアノをバックにじっくり聴かせ、3分過ぎから管楽器奏者達も加わりテンポアップします。ソロはハーブ・ゲラーが先頭でパーカー直系のアルトソロを披露し、その後はマンス→テリー→ランド→ブラウン→キーター・ベッツと受け渡し、最後はダイナが強烈なシャウトでビシッと締めます。

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ロレツ・アレキサンドリア/ザ・グレイト

2025-01-28 19:31:05 | ジャズ(ヴォーカル)

本日は黒人女性歌手ロレツ・アレキサンドリアをご紹介します。エラ、サラ、カーメンら大御所と呼ばれる人達ほどの知名度はないですが、なかなかの実力者でそれなりに固定ファンもいる存在です。出身はシカゴでもともとはゴスペルを歌っていたようですが、50年代後半にジャズ歌手としてでデビュー。シカゴの名門アーゴ・レコードに4枚の作品を発表した後、1964年にインパルスに吹き込んだのが今日ご紹介する「ザ・グレイト」です。なお、タイトルですがジャケットにはLorez Alexandria The Greatと続けて書かれており、おそらく有名な古代マケドニアのアレクサンドロス大王(英語だとAlexander The Great)に引っかけたものと思われます。

セッションは3つに分かれており、10曲中3曲がビル・マークスというあまり良く知らない人がアレンジャーを務めたビッグバンドが伴奏を務めています。パーソネルを見るとバド・シャンクやヴィクター・フェルドマンら大物も加わっているようですが、ソロは取らないので存在感が希薄です。他は10曲中4曲がウィントン・ケリー(ピアノ)、アル・マッキボン(ベース)、ジミー・コブ(ドラム)のトリオがバックを務め、さらに残りの3曲で上記のトリオにポール・ホーン(アルト&フルート)とレイ・クロフォード(ギター)が加わったクインテットによる伴奏です。ただしうち2曲はアル・マッキボンではなくポール・チェンバースがベースを弾いています。

アルバムはビル・マークスのアレンジによる"Show Me"から始まります。人気ミュージカル「マイ・フェア・レディ」からの選曲で、ちょうどこの年にオードリー・ヘップバーンによる映画も公開され、話題になっていたのでしょう。マークス絡みは全てこの「マイ・フェア・レディ」からで、他に"Get Me To The Church On Time""I've Grown Accustomed To His Face"が選ばれています。ロレツはハスキーがかった独特の声質でゴスペル仕込みのパンチの効いたソウルフルなヴォーカルを聴かせます。中でも静かなイントロから後半に向けて徐々にビッグバンドで盛り上がる"Get Me To The Church On Time"が秀逸です。

2曲目"I've Never Been In Love Before"はウィントン・ケリー・トリオをバックにした演奏で、途中でケリーのスインギーなソロも挟まれます。他はバラードの”Over The Rainbow”、拳を利かせて歌う”The Best Is Yet To Come"、軽快な”Give Me The Simple Life"もケリー・トリオを従えた曲です。ただ、個人的にはポール・ホーンとレイ・クロフォードを加えたクインテット入りの曲がお気に入りです。エリントンの名曲"Satin Doll"ではクロフォードのギター、ホーンのアルトソロを挟んでロレツが独特のリズム感で歌います。ホーンのフルートをフィーチャーした"My One And Only Love"はまずまずですが、ラストの”I'm Through With Love"が本作のベストトラックと言って良い素晴らしい出来。恋の終わりを歌った切ないバラードをロレツがエモーショナルに歌い切ります。クロフォードのギター、ホーンのフルートも彼女の名唱に彩りを添えています。ロレツはインパルスにもう1枚本作の続編と言うべき「モア・オヴ・ザ・グレイト」も残しており、そちらもなかなかおススメです。

 

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ザ・クール・ヴォイス・オヴ・リタ・ライス

2025-01-27 19:09:42 | ジャズ(ヴォーカル)

本日はリタ・ライスを取り上げたいと思います。彼女についてはかなり前にも「ジャズ・ピクチャーズ」と言う作品を一度ご紹介しました。オランダ出身ながらアメリカのジャズシーンでも活躍し、その後に登場したアン・バートンやカーリン・クローグらヨーロッパ出身の女性ジャズシンガーの走りとなった存在です。その貢献度の高さから"ヨーロッパズ・ファースト・レディ・オヴ・ジャズ"と称されているとか。本作「ザ・クール・ヴォイス・オヴ・リタ・ライス」は1956年に発表された彼女のアメリカデビューとなる作品で、オランダのフィリップス・レコードに吹き込まれ、アメリカでは大手のコロンビア・レコードから発売された作品です。この時点では器楽奏者を含めてもヨーロッパのジャズミュージシャンはほとんどアメリカでは知られていませんでしたから、かなり大々的な売り出し方だったことがわかります。

彼女の期待への高さは共演者の質の高さからもわかります。全12曲中前半の6曲は1955年にオランダで録音された地元ミュージシャンとのセッションで、当時の夫だったドラマーのヴェッセル・イルケンを中心とするコンボとのセッションです(ちなみに彼女は後にピアノのピム・ヤコブスと再婚します)が、後半の6曲は何とアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズをバックに従えています。録音は1956年5月3日に行われ、同時期の「ニカズ・ドリーム」と同じメンバー、すなわちブレイキー(ドラム)、ドナルド・バード(トランペット)、ハンク・モブレー(テナー)、ホレス・シルヴァー(ピアノ)、ダグ・ワトキンス(ベース)です。なお、2曲だけ6月25日の録音でメンバーも若干代わっており、モブレーの代わりにアイラ・サリヴァン、シルヴァーの代わりにケニー・ドリュー、ワトキンスの代わりにウィルバー・ウェアが入っていますがそれでも十分豪華ですよね。この組み合わせが一体どういう経緯で実現したのかわかりませんが、ジャズ・メッセンジャーズが歌伴を務めること自体も稀ですので、色々な意味で貴重な録音です。

全12曲、全て良く知られたスタンダード曲ばかりで、選曲としては面白みがありません。ただ、リタの少しハスキーがかった魅力的な歌声とバックの演奏の質の高さのおかげで聴き応えある作品となっています。前半はオランダのミュージシャンをバックに"It's All Right With Me""But Not For Me""There Will Never Be Another You"等を歌いますが、曲によってジェリー・ヴァン・ローエン(トランペット)、トーン・ヴァン・フリート(テナー)、ハーマン・スクンダ―ヴァルト(バリトン)、ロブ・マドナ(ピアノ)ら聞いたことないメンバー達がソロを取ります。

彼らの演奏も決して悪くはないですが、やはり注目は後半ですよね。嬉しいことにどの曲でもジャズ・メッセンジャーズの面々が短いながらもきちんとソロを取ってくれますので、ドナルド・バードのイキのいいトランペット、ハンク・モブレーの歌心あふれるテナー、ホレス・シルヴァーのスインギーなピアノをしっかり味わうことができます。ボスのブレイキーもソロこそ取りませんが、お得意のドラムロールを随所で披露してくれます。"I Cried For You""You'd Be So Nice To Come Home To""That Old Black Magic""Taking A Chance On Love"どれも良いですね。もちろん主役はあくまでリタで、ハードバップの俊英達をバックに見事に歌い切っています。

"My One And Only Love”と”Spring Will Be A Little Late This Year"の2曲だけは上述のように少しメンバーチェンジがありますが、こちらも良いです。アイラ・サリヴァンは知名度はそこまで高くないですが、シカゴ出身の白人でトランペットとサックスどちらも吹く二刀流。本作ではテナーを吹いています。特に素晴らしいのが”Spring Will Be A Little Late This Year"で、リタの情感たっぷりのヴォーカルに続き、サリヴァンがメロディアスなテナーを聴かせ、続いてドナルド・バードが高らかにトランペットを響かせます。本作の中でもベストトラックと言って良いでしょう。リタ・ライスは他にもオリヴァー・ネルソンと組んだビッグバンド作品も残しており、そちらも素晴らしい出来ですのでまたの機会に取り上げたいと思います。

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メル・トーメ・シングス・フレッド・アステア

2025-01-25 21:21:58 | ジャズ(ヴォーカル)

本日はメル・トーメです。本ブログでもたびたび取り上げていますが、男性歌手の中では私が一番好きな存在です。知名度と言う点ではシナトラやトニー・ベネットに劣りますが、ポップスター的な側面もある彼らに対し、メル・トーメはより職人肌のジャズシンガーと言う感じがします。特に50年代後半に名アレンジャーのマーティ・ペイチと組んだ一連の作品群はウェストコーストのトップミュージシャン達が伴奏に回っていることもあり、歌だけでなくバックの演奏も含めて楽しめる傑作揃いです。

今日ご紹介する「メル・トーメ・シングス・フレッド・アステア」は1956年11月にベツレヘムに吹き込まれだ1枚。時系列的には「ウィズ・ザ・マーティ・ペイチ・デクテット」の次、ライブ盤の「アット・ザ・クレッシェンド」の前に当たります。それらの作品と同じく本作もマーティ・ペイチ率いるデクテット(10人編成のミニオーケストラ)が伴奏を務めています。全員列挙はしませんが、ドン・ファガーキスト(トランペット)、ジャック・モントローズ(テナー)、ハーブ・ゲラー(アルト)、ボブ・エネヴォルセン(ヴァルヴトロンボーン)らが随所で短いソロを取り、演奏を盛り上げます。

本作はタイトル通り全てフレッド・アステアが出演したミュージカル映画からの選曲です。フレッド・アステアと言えばタップダンスで有名な往年のハリウッドスターで、歌って踊って演技もできる総合エンターテイナーとしてアメリカのショービズ界を代表する存在でした。あのマイケル・ジャクソンがアステアの大ファンで彼を真似てダンスを始めたと言うのは有名な話です。全盛期は1930〜40年代でその頃の映画はさすがに古すぎて私は知りませんが、オードリー・ヘップバーンと共演した「パリの恋人」(1957年)は見たことがあります。アステアはこの時点で58歳で、28歳のオードリーの恋人役としてはいささか年を取りすぎの気がしますが、随所で見せる華麗なダンスと甘い歌声はさすが大スターの貫禄です。

全12曲のうちジョージ・ガーシュウィンの"Nice Work If You Can Get It""A Foggy Day""They Can't Take That Away From Me"、ジェローム・カーンの"The Way You Look Tonight"、アーヴィング・バーリンの"Cheek To Cheek""Let's The Face The Music And Dance"はすっかりジャズ・スタンダードとしてお馴染みの曲で、むしろこれらの曲が全てアステアのミュージカル映画のために書かれた曲だと言うことを知ってビックリです。一方、"Top Hat, White Tie And Tails"や"The Piccolino"等のように他ではあまり聞かない曲もあります。トーメはトレードマークのヴェルヴェット・ヴォイスでそれらの曲を歌い上げて行きますが、特にバラードが素晴らしく、童謡の「ロンドン橋落ちた」をアドリブで挟みながらじっくり歌う"A Foggy Day"、ジェローム・カーンの名曲"A Fine Romance"が絶品です。

一方、マーティ・ペイチのアレンジによるウェストコーストの俊英達の演奏も素晴らしく、"A Fine Romance"ではハーブ・ゲラー、”Top Hat, White Tie And Tails”ではドン・ファガーキスト、"The Way You Look Tonight"ではボブ・エネヴォルセン&ハーブ・ゲラー、"They Can't Take That Away From Me"ではボブ・エネヴォルセン、"Cheek To Cheek"ではハーブ・ゲラー&ジャック・モントローズが短いながらもキラリと光るソロを取り、演奏に華を添えてくれます。

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アニタ・オデイ/アニタ・シングス・ザ・モースト

2025-01-22 19:28:55 | ジャズ(ヴォーカル)

本日は3大白人女性ヴォ―カルの1人、アニタ・オデイを取り上げます。残りの2人はジューン・クリスティとクリス・コナーで、レコード会社で言うとアニタがヴァーヴ、ジューンがキャピトル、クリスがアトランティックのそれぞれ看板シンガーと言うことになります。この3人は色々と共通点があり、まず全員がスタン・ケントン楽団出身のいわゆる”ケントン・ガールズ”であること、全員がハスキー・ヴォイスであること、そしてこれは失礼かもしれませんがいわゆる美人女性歌手ではなく歌一本で勝負した生粋のジャズシンガーであることです。(この頃はローズマリー・クルーニー、ドリス・デイ、ジュリー・ロンドン、ダイナ・ショア等美貌を売りにした歌手兼女優の人が多くいました)

さて、アニタ・オデイと言えば映画「真夏の夜のジャズ」ですよね。1958年のニューポート・ジャズ・フェスティヴァルの様子を収めたこの映画、色々なジャズマンが登場していますが、アニタがスキャットを交えながら"Tea For Two"を歌う場面、とりわけバックのミュージシャンとのアドリブの掛け合いは映画の中でも最も印象に残る場面の1つでしょう。アニタは決して声量抜群でもないし、特に美声とも思わないですが、映画のシーンに代表されるように独特の"間"や気の利いたアドリブで聴衆を魅了するタイプですね。後はyoutubeに上がっている1963年に来日時に"Four Brothers"を歌う動画もおススメです。当時の日本人ビッグバンドをバックにユーモラスな仕草を交えながら全編スキャットで歌い切るアニタが最高です。

本作「アニタ・シングス・ザ・モースト」は1957年1月にヴァーヴに吹き込まれた1枚。「ジス・イズ・アニタ」「シングス・ザ・ウィナーズ」と並んで彼女の代表作です。この作品、共演者が注目で、アニタと同じくヴァーヴの顔であったオスカー・ピーターソン・トリオがバックを務めています。ただし、ドラムのエド・シグペン入りの第二期のトリオではなく、ギターのハーブ・エリスがいた頃の第一期ピーターソン・トリオです。このトリオには通常ドラムはいませんでしたので、本作ではジョン・プールが追加のドラマーで入っています。ベースはもちろんレイ・ブラウンです。

全11曲。全て有名スタンダードばかりで、選曲的にはあまり面白みがないと言えばないですが、それでもアニタの歌とピーターソン・トリオの演奏のおかげで水準以上の出来に仕上がっています。主役はあくまでアニタで、ピーターソンは長々とソロを取るわけではないですが、それでも”’S Wonderful"等で見せる高速ソロはさすがの一言。一転して"I've Got The World On A String"等のバラード曲ではロマンチックなピアノを聴かせてくれます。"Old Devil Moon"ではハーブ・エリスのギターソロも聴けます。

一方、アニタも独特のハスキーヴォイスと彼女ならではの"崩し"でおなじみのスタンダードを料理していきますが、真骨頂はやはりスキャットですよね。”Taking A Chance On Love"でも中間部で軽くスキャットを挟みますが、"Them There Eyes"では最初と最後に早口で歌詞を歌う以外は基本スキャットで歌い、後半はドラムとスリリングな掛け合いを披露します。ピーターソン&エリスの高速ソロも素晴らしく、個人的には本作のベストトラックですね。その他では、ミディアムスローでじっくり歌う"You Turned The Tables On Me"、ピーターソンの美しいピアノをバックに情感たっぷりに聴かせるラストの"Bewitched"もおススメです。

 

 

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