本日はドヴォルザークの交響曲第5番をご紹介します。ドヴォルザークの交響曲と言えば第9番「新世界」を筆頭に、第8番、第7番までが比較的有名ですね。それより若い番号については余程のドヴォルザーク好きでないとあえて聴かないでしょうが、以前に紹介した第6番も意外に良かったですし、この第5番もなかなか魅力的な作品です。作曲は1875年、ドヴォルザーク34歳の時で、国際的な知名度はまだまだですが、チェコ国内(と言っても当時はオーストリア領でしたが)でようやく活躍が認められ始めた頃の作品です。CDは第6番と同じく、オットマー・スウィートナー指揮シュターツカペッレ・ベルリンの演奏によるものです。
まずは第1楽章。朗らかな木管の響きに導かれるように、オーケストラが春の農村風景を思い起こさせるような牧歌的な調べを奏でていきます。この曲は愛好者たちの間ではドヴォルザークの「田園」とも呼ばれているそうですが、なるほどそんな感じです。第2楽章はやや暗めの緩徐楽章でこの曲の中では一番地味です。第3楽章は冒頭こそ静かですが、途中から舞曲風の軽快な旋律に。ただし、そこまで賑やかな展開ではなく、オーケストラは抑制気味です。第4楽章はその分序盤からエネルギーを爆発させるかのような盛り上がりです。途中で一旦落ち着きますが、フィナーレはフルオケでド派手に締めくくります。なお、CDにはカップリングで序曲「わが家」が収録されています。こちらはチェコの民謡をベースに作曲されたもので、ゆったりした序奏の後、躍動感溢れる旋律が次々と現れてきます。ベートーヴェン的力強さと民俗音楽が融合した名曲です。