ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ハイドン/天地創造

2015-06-27 22:43:02 | クラシック(声楽)
1ヶ月以上間が空きましたが、前回に引き続き今回もオラトリオを取り上げます。この「天地創造」は、いわゆる3大オラトリオの一つに数えられ、古今のこのジャンルの中でも最も有名な作品と言われています。物語の内容は旧約聖書の一番最初の部分で、神が7日間でこの世界を造り上げ、最初の人類であるアダムとイブを生み出したところまでが描かれています。聖書の中でも有名な部分なので、話の内容もわかりやすく、前回の「エリヤ」のように宗教的知識は特に必要ありません。音楽も古典派の巨匠であるハイドンだけあって、旋律も歌心にあふれており、場面によって劇的な効果も十分になされています。そのせいか、トータルで約1時間40分のボリュームながら決して重たくはならず、比較的取っつきやすい作品と言えます。曲は独唱によるアリアやレチタティーボと合唱とで構成されており、最初の天地創造の場面はガブリエル(ソプラノ)、ウリエル(テノール)、ラファエル(バス)という3人の天使がそれぞれ語り部となって、神の偉業を讃えます。アダムとイブ誕生後は、2人がそれぞれバスとソプラノで互いへの愛と神への感謝を歌いあげます。(なお、聖書ではイブが禁断のリンゴを口にして、2人は楽園を追われるのですが、このオラトリオではその部分は描かれません。)



CDはヘルムート・コッホ指揮ベルリン放送交響楽団のものです。全34曲、どの場面も聴き応えありますが、特にお薦めは重厚な序曲から天地創造が始まる瞬間、8曲目のガブリエルのアリア「草は地にもえ」、12曲目のウリエルのレチタティーボ「燦然と太陽は輝き」と続く「天は神の栄光を語り」の合唱、18曲目の天使の三重唱「緑の若草がもえ」と続く「神の力は限りなく」の大合唱、29曲目のウリエルのレチタティーボ「ばら色の雲から」と続くアダムとイブの二重唱「神よ、恵みは天地に満ちて」、32曲目のアダムとイブの愛の二重唱「優しい妻よ、あなたのそばにいれば」、そしてフィナーレの「神をたたえて歌え、すべての声よ」等でしょうか。アリアなどはまるでオペラを思わせるメロディアスな曲ばかりで、宗教曲にありがちな堅苦しさはなく、万人が楽しめる傑作だと思います。
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