ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

モーツァルト/ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲

2018-09-27 12:30:41 | クラシック(協奏曲)
前回に引き続き、本日はモーツァルトのもう一つの協奏交響曲である「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」をご紹介します。管楽器のための協奏交響曲については真偽の論争が未だに続いているようですが、こちらの作品については履歴がはっきりしており、1779年モーツァルトが23歳の時に書かれた作品だそうです。モーツァルトは自身が人気ピアニストだったこともあり、生涯を通じてピアノ協奏曲を書き続けていますが、ヴァイオリン協奏曲については5曲とも全て10代の時に書いています。本作は協奏交響曲と名前が付いていますが、実際はヴァイオリンとヴィオラによる二重協奏曲と言ってよく、モーツァルトが書いた最後のヴァイオリン協奏曲と言ってもよいかもしれません。また、この作品はソリストとして脚光を浴びることの少ないヴィオラ奏者にとっても大変貴重な作品で、今でもヴィオラ奏者の最重要レパートリーとして人気の高い作品となっています。内容についてですが、何せ天才モーツァルトなのでクオリティの高さについてはあらためて述べるまでもありませんね。あえて特徴をあげるなら第2楽章がこの時期のモーツァルトにしては珍しく短調で書かれており、哀しみを感じさせる旋律になっていることでしょうか?第1楽章と第3楽章はいかにもモーツァルトらしい天国的な美しさと明るさに満ち溢れています。特に第1楽章のハーモニーの美しさは絶品ですね。



CDはネヴィル・マリナー指揮アカデミー・オヴ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズのものを買いました。ヴァイオリンはアンネ=ゾフィ・ムッター、ヴィオラはブルーノ・ジュランナです。このCDには協奏交響曲の他にモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第1番とヴァイオリンと管弦楽のためのアダージョが収録されています。ヴァイオリン協奏曲第1番の方はモーツァルト17歳の時に書かれた作品で、その後に書かれた第3番や第5番に比べると目立たない存在ですが、なかなか溌溂とした佳曲だと思います。「アダージョ」の方は7分弱の小品ですが、非常にメロディの美しい作品です。
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モーツァルト/オーボエ、クラリネット、ホルンとファゴットのための協奏交響曲

2018-09-18 09:18:58 | クラシック(協奏曲)
本日はモーツァルトの協奏交響曲をご紹介します。協奏交響曲とはイタリア語のsinfonia concertanteを和訳したものですが、交響曲的な要素はあまりなく、複数の楽器からなる協奏曲形式の作品のことを言います。18世紀にはたくさん作られたそうですが、19世紀以降は廃れ、今でも比較的よく聴かれるのはハイドンの協奏交響曲変ロ長調とモーツァルトの2曲だけと言って良いでしょう。うち本日取り上げるのはモーツァルトが22歳の時に書いたと言われるオーボエ、クラリネット、ホルンとファゴットのための協奏交響曲です。(もう1作のヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲については後日取り上げる予定です)



さて、この曲は色々と曰く付きの曲でして、そもそも本ブログではモーツァルト作としていますが、学術的には真偽不明だそうです。モーツァルトが残した手紙等の記録から、彼が22歳の時に管楽器のための協奏交響曲を書いたのは確かのようですが、肝心の楽譜が残っておらず、長らく幻の曲でした。ところが20世紀初頭にドイツのオットー・ヤーンと言う音楽学者が楽譜を発見。一旦はモーツァルトの真作とされたのですが、その後の色々な研究の結果、楽器の構成や調性等にいくつか疑問点があり、今でも結論が出ていないのだとか。説としては、①モーツァルトの真作、②モーツァルトが書いた作品に後世手が加えられたもの、③他人がモーツァルトの名前で書いた偽作、の3つがあるそうですが、個人的な意見を言わせてもらえれば③はまずないと思います。聴いていただければわかると思いますが本当に魅力的な曲で、こんなクオリティの曲をモーツァルト以外の赤の他人が書けるとはとても思えません。もし、そんな人がいたらとんでもない天才でしょう。なので②か①のどちらかだと思いますが、専門家でもない私にはわかるわけないので、素人の私はあくまでモーツァルトの作品として楽しんでいます。

曲の内容ですが、これが本当に素晴らしく、天国的な明るさと思わず歌いだしたくなるような親しみやすい旋律、と言うモーツァルトの美点が存分に発揮されています。4つある独奏楽器もどれも自己主張し過ぎることなく、滑らかなアンサンブルを奏でながら、バックのオーケストラともうまく融合しています。古今東西管楽器のために書かれた協奏曲の中でも最高の部類に入る作品と言ってもよく、繰り返しになりますがこれをモーツァルト以外の他人が書いたとはとても思えません。実際にこの曲は今でも世界中のオーケストラで頻繁に演奏され、録音もかなりの数に上っています。学術的な議論はともかく、クラシックファンの間ではすっかりモーツァルトの名作として定着していると言っていいでしょう。私が購入したのはカラヤン指揮ベルリン・フィルのもので、モーツァルトのオーボエ協奏曲とセットになったCDです。このオーボエ協奏曲も協奏交響曲とほぼ同時期に書かれた作品で、こちらも同じように長らく楽譜が失われていたようですが、20世紀になって発券され、こちらは正真正銘の真作として認定されているようです。モーツァルトの管楽器のための協奏曲としてはクラリネット協奏曲、フルート協奏曲第1番等があり、それらに比べると若干マイナーですが、それでもモーツァルトらしい明るさと美しさを兼ね備えた傑作だと思います。
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