ハードバピッシュ&アレグロな日々

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カルウォヴィチ/交響曲「復活」

2019-04-04 12:28:15 | クラシック(交響曲)
ナクソスのマイナー作曲家シリーズ第4弾は前回に引き続きポーランドの作曲家でミェチスワフ・カルウォヴィチです。カルウォヴィチについては当ブログでも7年前にヴァイオリン協奏曲を紹介しており、そこにも書いたように19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したものの、32歳の若さで事故死した悲運の作曲家です。本作は彼が残した唯一の交響曲で「復活」という題名が付いています。マーラーの有名な第二番も「復活」ですが、あっちは英語にすればresurrection、こちらはrebirthなので「復活」というより「再生」の方がより原題の意味に近いかもしれません。



肝心の内容ですが、これはもう素晴らしいの一言。カルウォヴィチ25歳の時に書かれた曲ですが、そんなことが信じられないほどの完成度です。作風的にはポロネーズやマズルカと言ったポーランドの民族音楽的な要素はあまりなく、むしろ同時代のリヒャルト・シュトラウスやマーラーら後期ロマン派の王道に近いです。第1楽章はオープニングを飾るにふさわしい重厚な作りの曲で、やや不安を帯びた始まりの後に勇壮な第1主題、続いてロマンチックな第2主題が現れます。ボリュームも18分超でこれだけで1つの楽曲として成立します。第2楽章は一転して美しいアンダンテで、哀愁を帯びたチェロ独奏が印象的です。第3楽章は序盤は珍しく舞曲風の展開ですが、その後で甘美な旋律が現れます。再び舞曲風の旋律に戻って、途切れることなく第4楽章へ。こちらはフィナーレを飾るにふさわしいドラマチックな曲で、力強い序盤に引き続き中間部にまるでエルガーの「威風堂々」を思わせるような栄光に満ち溢れた旋律が現れます。フィナーレの盛り上がりも見事で、終わった後は思わず「ブラボー!」と拍手したくなります。CDは前回のパデレフスキに引き続きアントニ・ヴィト指揮ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団の演奏です。ナクソスではすっかりお馴染みのコンビですね。このCDにはもう一曲「ビアンカ・ダ・モレナ」という曲が収録されています。が、こちらもいかにもカルウォヴィチらしい甘美な旋律に彩られた美しい曲です。素晴らしい楽曲を残しながらも若死にしたこともあり本国以外では無名の存在だったカルウォヴィチ。ただ、日本でもこうやってナクソス盤が発売されるなど再評価の兆しがあるのは喜ばしいことです。このブログを読んで1人でも多くの人が耳にしていただければ嬉しい限りです。
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