ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

マーラー/交響曲第2番

2012-02-29 20:34:17 | クラシック(交響曲)
本日はグスタフ・マーラーの交響曲第2番「復活」です。マーラーの交響曲の中でも有名な作品ですが、私自身は1、4、5のみ所有しており、他の交響曲については敬遠しておりました。理由は単純に長すぎるからです。その他の作品はどれも例外なく長大で、2番も3番も6番も7番もCD2枚組なので、どうしても聴く前に身構えてしまうんですよね。

でも、気合いを入れて買ってみたらやはり大正解でした。さすがに名曲と評されるだけあります。全部で80分以上ありますが、決して冗長にならず良い意味での満腹感が味わえます。第1楽章はこれだけで約22分あるんですが、いきなりお腹に響くような重低音の弦楽アンサンブルから始まり、途中天国的な穏やかな曲想を経て最後は重苦しいムードで終わり。第2楽章と第3楽章は牧歌的な曲調でこの大作の中の箸休め的存在と言った感じでしょうか?第4楽章は美しいアルト独唱が入ります。この声楽が入るというのがマーラーの交響曲の特徴ですね。

第5楽章はそれだけで33分もある長大な楽章でなおかつ本作のハイライトともいえる部分です。前半はオーケストラのみ、後半部分は合唱付きという構成ですが、後半静かな女声コーラスに男性コーラスも加わり、フィナーレに向けて徐々に盛り上がっていく所が最高です。特にラストの3分近くはコーラス、オーケストラともに空前の盛り上がりで、ベートーヴェンの第9を彷彿とさせるような宇宙的広がりを感じさせます。曲が終わった瞬間には思わずブラボーと拍手したくなる圧巻のフィナーレですね。



CDは大野和士指揮ベルギー王立歌劇場管弦楽団&合唱団のものを買いました。「復活」ともなれば、過去・現代問わず大指揮者達がたくさん録音を残していますが、2枚組1800円の廉価+日本人指揮者のCDということで選びました。クラシックに一家言ある人からしたら「復活」は○○指揮でなければ、というこだわりがあるのかもしれませんが、私にはこれで十分感動的です。
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サン=サーンス/チェロ協奏曲第1番 & チャイコフスキー/ロココ風の主題による変奏曲 他

2012-02-25 09:58:03 | クラシック(協奏曲)
ヴァイオリンの名曲探しが終わったわけではありませんが、たまには趣向を変えてチェロも聴いてみましょう。と言ってもチェロは曲の絶対数がピアノやヴァイオリンに比べて少ない。一応、3大チェロ協奏曲というのがあって、ドヴォルザーク、ハイドン、シューマンらしいのですが私はドヴォルザークしか持ってませんし・・・



結局、チェロ作品がいっぱい入ってるCDを買いました。選んだのはハンナ・チャンのチェロ、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ指揮ロンドン交響楽団のCDです。このCDはサン=サーンスのチェロ協奏曲第1番、チャイコフスキーの「ロココ風の主題による変奏曲」、フォーレの「エレジー」、ブルッフの「コル・ニドライ」とチェロの名曲が4つも入っていて超お買い得です。

まずサン=サーンスのチェロ協奏曲ですが、19分強の小品ながら叙情性たっぷりの名曲でしょう。特に冒頭に出てくる主題が壮麗で、全編を支配する基調のメロディとなります。軽快なワルツ風の中間部を経て再び冒頭の主題に戻って終わり。

チャイコフスキーの「ロココ風の主題による変奏曲」は、その名のとおり中世のロココ時代をイメージした古風な曲。一般的にイメージするチャイコフスキーのイメージとは異なる明るい曲調です。8つの変奏で急速調からスローなアンダンテまで様々なテンポで演奏されますが、主題となる旋律はほぼ一緒で実に優しいというか可愛らしいメロディです。

次いで「レクイエム」で有名なフォーレが残した「エレジー」。元々ピアノ伴奏用に書かれた作品ですが、ここではオーケストラ付きで演奏されています。elegieの和訳「哀歌」そのままに哀愁たっぷりの旋律が切々と奏でられます。ちと暗いですが、時折ハッとする美しさが感じられます。

最後がブルッフの「コル・ニドライ」。以前彼のヴァイオリン協奏曲と「スコットランド幻想曲」を紹介した際に、そのメロディの美しさを絶賛しましたが、チェロ曲の本作も実に素晴らしい。前半はチェロらしく重苦しいイメージが支配的ですが、後半ハープの伴奏が入ってくるあたりからうっとりするような優美なメロディが最後まで続きます。ブルッフは他に有名な作品がありませんが、それが不思議なくらいこれまで聴いた3曲とも名曲です。

以上のように非常に充実した内容のCDなのですが、さらに驚くのが録音当時のハンナ・チャンの年齢で、なんと13歳だったそうです。愛らしいルックスからは想像もできませんが、深く豊潤なチェロの音色に圧倒されます。
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ヴュータン/ヴァイオリン協奏曲第4番&第5番

2012-02-24 18:42:55 | クラシック(協奏曲)
先日から続いているヴァイオリン協奏曲シリーズですが、今日はアンリ・ヴュータンの作品です。ヴュータンは19世紀に活躍したベルギー出身の作曲家ですが、生前はむしろヴァイオリンの名手として知られていたようです。ヴァイオリニストによる協奏曲と言えばパガニーニのものが有名ですが、あちらはヴァイオリンの超絶技巧をこれでもかと誇示する作品なのに対し、ヴュータンの方はオーケストラとのバランスもよく考えられており、その分協奏曲としてより完成度の高い作品に仕上がっています。

さて、ヴュータンのヴァイオリン協奏曲ですが、一般的には第5番が演奏機会も比較的多く、CDも出回っているようです(と言っても他の有名曲とのセットがほとんどですが)。しかし、私が今回聴いてみてむしろ第4番の方が内容的に優れているのでは?と思いました。

第1楽章、冒頭4分以上もオーケストラが主題を奏でた後、満を持したようにヴァイオリンが哀愁あふれる旋律を奏でます。続く第2楽章アダージョは慈愛に満ちあふれた美しいメロディ。第3楽章は急速調のスケルツォでヴァイオリンの超絶技巧が満載です。第4楽章は勇壮なマーチでフィナーレを迎えます。全編にわたってヴァイオリンの聴かせ所も多く、かつオーケストラもしっかりとした名曲だと思います。

それに比べると第5番は単一楽章形式で演奏時間も20分程度と小ぶりな作品(逆に言うとだからこそ他の曲とカップリングしやすいのかもしれませんが)。曲調は全体的に哀感を帯びており、全編に渡って泣きのヴァイオリン独奏が堪能できます。私的にはちょっと暗すぎるなあという印象ですが・・・



CDはイツァーク・パールマンのヴァイオリン、ダニエル・バレンボイム指揮パリ管弦楽団のものを買いました。作曲家の肖像画がドデーンと載ったジャケットは私のセンスに合いませんが、ヴュータンの4番・5番が揃ったCDはこれぐらいしか出回ってないのではないでしょうか?演奏内容はもちろん現代のヴィルトゥオーゾ、パールマンのものなので文句のつけようがないです。第4番のスケルツォの高速パッセージも難なく弾きこなしてしまうのはさすがですね。
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ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第3番&第4番

2012-02-23 22:16:21 | クラシック(協奏曲)
本日はベートーヴェンのピアノ協奏曲2曲を取り上げたいと思います。多くの人がそうであるように私の中でもベートーヴェンは特別な存在です。「英雄」「運命」「田園」「ベト7」「第九」にヴァイオリン協奏曲、クロイツェル・ソナタなどなどフェイバリットを挙げれば切りがないのですが、ピアノ協奏曲については第5番「皇帝」しか持っていませんでした。理由は何となく地味そうだからというだけなのですが、全くもって浅はかでしたね。第3番、第4番どちらもベートーヴェンの特長が如何なく発揮された素晴らしい作品です。

第3番の方は「英雄」とほぼ同時期に作曲されただけあって全体的に勇壮な仕上がり。冒頭3分半も続く重厚なオーケストラが印象的な第1楽章、第3楽章のフィナーレの盛り上がりも圧巻です。でも、その間に挟まれる第2楽章の夢見るようなロマンチックさこそがベートーヴェンの真の凄味かもしれません。これぞまさに天上の音楽です。

第4番は第3番に比べるとやや落ち着いた曲調。第1楽章冒頭はピアノの独奏から静かに始まり、そこからオーケストラが徐々に加わる形で淡々と盛り上がっていく感じです。第2楽章アンダンテに至っては静謐を通り越して陰鬱なイメージ。ただ、それを振り払うかのように第3楽章はいかにもベートーヴェンらしい明るく力強いロンドで締めくくられます。



CDは内田光子のピアノ、クルト・ザンデルリンク指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団のものを買いました。内田さんはモーツァルトのピアノ協奏曲集が有名ですが、このベートーヴェンも当たり前ですが素晴らしいですね。ベートーヴェンにハズレなし!をあらためて実感した1枚です。
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ホイットニー・ヒューストン/そよ風の贈りもの

2012-02-16 21:51:47 | その他CD
テレビで連日報道されていますが土曜日(2月11日)にホイットニー・ヒューストンが亡くなりました。最近はクラシックやジャズばかり聴いている私ですが、10代から20代前半にかけてはもっぱら洋楽メインでしたので、当時大スターだったホイットニーの死には一抹の寂しさを感じずにおれません。



という訳で今日は追悼も兼ねて彼女の1985年発表のデビューアルバム「そよ風の贈りもの(原題はWhitney Houston)」を紹介したいと思います。連日のニュースでは彼女の代表作として「I Wll Always Love You」が流されることが多いですが、同曲が収録されている「The Bodyguard」のサントラはアルバム全体の出来はイマイチですし、私としては彼女の代表作は本作をおいて他にないだろうと思っております。

このアルバムの魅力ですが、何と言ってもその爽やかさでしょう。80年代半ばのブラックミュージックと言えば、マイケル・ジャクソン、プリンスを筆頭にデバージ、クール&ザ・ギャングなどビートを効かせたサウンドが支配的でしたが、本作は「How Will I Know」などダンサブルな曲もあるものの、全体的にしっとりしたバラードがメインの内容。中でも彼女初の全米No.1ヒットでもある「Saving All My Love For You」は思わず胸がキュンとくる必殺の名バラードです。他にも「Greatest Love Of All」「All At Once」、テディ・ペンダーグラスとのデュエット「Hold Me」など名バラードが目白押しです。

歌姫と形容される彼女ですが、正直歌唱力の点では他の黒人女性シンガー(アレサ・フランクリン、パティ・ラベルなど)より数段落ちると思います。ただ、やや線が細いながらも透明感のあるボーカル、そしてジャケットの水着姿からわかるように元モデルらしい抜群のルックスが彼女をスターダムに押し上げた要因でしょう。最近はヒットにも恵まれず、麻薬絡みのトラブルが続いていたらしいですが、私の中でのホイットニーのイメージはこの頃と同じ爽やかなままです。今回のニュースであらためて聴き直しましたが、いつまでも持っていたい名盤だと思います。
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