ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

プロコフィエフ/古典交響曲、キージェ中尉、3つのオレンジへの恋

2018-06-14 12:28:54 | クラシック(管弦楽作品)
本日はセルゲイ・プロコフィエフの作品をご紹介します。本ブログでは過去に「ロメオとジュリエット」をご紹介したことがありますが、正直言ってそこまで好きな作曲家ではありませんでした。やはり20世紀の作曲家だけあって、かなり現代音楽の要素が強い作品も多く、それらの作品は古典~ロマン派好きの私のストライクゾーンからは外れます。ただ、一方でプロコフィエフは大衆向け(?)の作品も多く残しており、前述の「ロメオとジュリエット」もそうですし、他ではピアノ協奏曲第3番なんかもわりと親しみやすい部類に入るかと思います。本日紹介するシャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団のCDはそんなプロコフィエフの比較的わかりやすい作品ばかりを集めたものです。



まずは交響曲第1番から。「古典交響曲」の名で知られていますが、タイトル通り古典派の巨匠であるハイドンの音楽をプロコフィエフなりに解釈した作品だそうです。27歳の時の作ですが、当時のプロコフィエフは既に新進気鋭の作曲家として名を知られた存在となっており、そんな彼が一転して古風な曲を発表したことに少なからず批判もあったとか。もちろん、プロコフィエフは単なる懐古趣味でこの曲を作ったわけではなく、15分足らずの短い時間の中に管弦楽法のエッセンスを凝縮して詰め込んだ傑作となっています。特に次から次へと魅惑の旋律が繰り出される第1楽章と疾走感にあふれる第4楽章が最高ですね。

「キージェ中尉」はもともと同名の映画のために作られた音楽で、それを後に作曲者自身が組曲に編曲しなおしたものです。もとのお話が帝政ロシア時代の宮廷を舞台にしたシニカルコメディで、曲調もどことなくユーモラスで親しみやすいです。中でも、そりが雪原を疾走する様子を描いた「トロイカ」がお薦めです。

「3つのオレンジへの恋」も同名のオペラのための音楽を組曲にしたもので、プロコフィエフがロシア革命後にアメリカに亡命していた時代に作曲されたものです。前述の2曲と比べると、現代的な響きが多く、ややとっつきにくいですが、第3曲の勇壮な「行進曲」、第5曲のメランコリックな「王子と王女」など随所に魅力的な旋律が散りばめられています。3曲とも短い作品で、全部合わせて50分と聴きやすいので、プロコフィエフの入門編には最適と言える1枚ではないでしょうか?
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チャイコフスキー/交響曲第3番「ポーランド」

2018-06-07 12:28:14 | クラシック(交響曲)
本日はチャイコフスキーの交響曲第3番を取り上げたいと思います。チャイコフスキーの交響曲と言えば、後期のいわゆる3大交響曲(第4番第5番第6番)が圧倒的に有名で、CDも数え切れないほど存在します。一方で1番から3番までは影も薄く、私も今までスルーしてきました。とは言え、そこはチャイコフスキー。この3番も駄作なんてことは全くなく、規模も雄大ですし、チャイコフスキーらしい親しみやすい旋律に溢れた作品となっています。歴史に「もし」は禁物ですが、もしこの後チャイコフスキーがこの後1曲も交響曲を書かなかったとしたら、この曲ももっと人気が出ていたのではないでしょうか?



「ポーランド」の愛称で知られるこの曲ですが、名前自体に特に意味はなく、最終楽章にポーランドの民族舞踊であるポロネーズのリズムが使われているというだけです。とは言え、そもそもロシアもポーランドも同じスラヴ民族ですので、普段のチャイコフスキー節とそんなに違いがあるわけではありません。曲は5楽章からなりますが、うち第2楽章と第4楽章はそれぞれ橋渡し的な印象で、聴き所はずばり第1楽章、第3楽章、そして最終第5楽章です。第1楽章冒頭部分は葬送行進曲風の暗く静かな序奏ですが、3分過ぎから明るく力強い主題が現れます。15分弱とスケールも大きく、これだけで独立した楽曲として成立するぐらい堂々とした内容です。第3楽章アンダンテ・エレジアーコはチャイコフスキーの真骨頂ともいえる甘く切ない旋律。第5番のアンダンテ・カンタービレに通じる世界観です。“ベタ”と評する人もいますが、私は好きです。第5楽章は序盤は前述したとおりポロネーズの軽快なリズムですが、終盤にかけてドラマチックに盛り上がって行き、最後は感動的なフィナーレを迎えます。CDはマイナー曲だけに数も少ないですが、カラヤンのベルリン・フィル盤と並んで定番なのがムスティスラフ・ロストロポーヴィチ指揮ロンドン・フィル盤。20世紀を代表するチェリストとして有名なロストロポーヴィチですが、指揮者としても活躍しており、ロシアもの、中でもチャイコフスキーはお手の物ですね。フィナーレの盛り上げ方が抜群だと思います。
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