ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ハイドン/「驚愕」、「軍隊」&「時計」

2015-04-22 12:47:22 | クラシック(交響曲)
本日は“交響曲の父”ことフランツ・ヨーゼフ・ハイドンの作品をご紹介します。交響曲というジャンル自体は18世紀半ばには生まれていたようですが、それを現在のような4楽章形式の楽曲に発展させたのはまさにこのハイドンで、その後モーツァルト、ベートーヴェンに引き継ぐ重要な役目を果たしました。残した交響曲の数はなんと104!ベートーヴェンの9曲は言うに及ばず、モーツァルトの41曲と比べても桁違いの多さです。ただ、今でもよく演奏されるのはごく一部で、特に50代にロンドンに数年滞在した時に書かれたいわゆる“ロンドン交響曲”が人気です。本ブログで取り上げる3曲もそれらの一部です。それぞれタイトルが付いてますが、ハイドン自身が意図して付けたわけではなく、単なるニックネームです。交響曲第94番「驚愕」は第2楽章でオーケストラが急に大音量を鳴らすから、第100番「軍隊」は第2楽章でトルコ軍楽隊の楽器が使われるから、第101番「時計」は第2楽章のリズムが時計のように規則正しいから、とどれも他愛もないこじつけのような理由ばかり。おそらく作品が多すぎて番号順だと訳が分からなくなる、というのが本当の理由でしょう。



肝心の内容ですが、これはもう素晴らしいの一言です。実は私はこのCDを聴くまで、ハイドンをベートーヴェンやモーツァルトより格下に見ていたのですが、いやはやお恥ずかしい限りです。特に「驚愕」の第1楽章の完成度の高さときたら!どことなく宮廷音楽風の華やかさを残しながらも、力強いオーケストレーションでわくわくさせるような旋律が次々と現れ、聴く者を夢中にさせてくれます。同じことは「軍隊」の第1楽章にも言えます。序奏の後に軽やかなマーチ風のメロディが現れ、そこから弦楽アンサンブルが華麗なサウンドを紡いでいく様は圧巻です。思わず口ずさみたくなるような第2楽章、軽やかな舞曲風の第3楽章、急速調の第4楽章も魅力的で、個人的には3曲の中でも最大の傑作と評価します。「時計」は前2曲ほどのインパクトはありませんが、同じく華やかな第1楽章、ややユーモラスな第2楽章とよくまとまった構成。CDですが、ハイドンもモーツァルト同様に古楽器で演奏するのか、現代楽器で演奏するのかという問題があるのですが、私が買ったのはヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルによる現代楽器版です。古楽器にも興味なくはないのですが、聴き比べるのは年を取って時間がたっぷりある時にしたいと思います。
コメント

ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第2番&第3番

2015-04-13 12:48:59 | クラシック(協奏曲)
先日マックス・ブルッフの交響曲第1番&第2番をエントリーしましたが、本日はヴァイオリン協奏曲をご紹介したいと思います。と言っても有名なヴァイオリン協奏曲第1番ではなく、第2番と第3番です。この2曲も交響曲同様残念ながら演奏される機会はほとんどありませんが、どちらもロマン派の王道を行くコンチェルトでなぜもっとメジャーにならなかったのか首をかしげるくらいです。第2番は伝説的なヴァイオリニストであるサラサーテのために作られた曲で、ブルッフ特有のメランコリックな旋律と情熱的なヴァイオリンソロが融合した真の名曲です。第1楽章の泣きのヴァイオリンといい、思わず口ずさみたくなるような第3楽章フィナーレといい、ロマン派音楽が好きなクラシックファンなら100%気に入ること間違いなしです。第3番の方は第2番に比べると最初はやや取っつきにくいですが、聴いてくるうちに味が出てきます。第1楽章は17分を超すボリュームで中盤に出てくる叙情的な旋律が魅力的です。穏やかなアダージョの第2楽章、華やかなロンド形式の第3楽章も悪くないです。



CDは何せレア曲だけにチョイスはほとんどありません。第2番の方はイツァーク・パールマンが「スコットランド幻想曲」と一緒に録音したものがかろうじて出回っていますが、第3番の方は全く見かけませんね。第2番と第3番がセットになったナクソス盤が唯一入手可能なので、アマゾンで購入しました。演奏はヴァイオリンがマクシム・フェドトフ、ドミトリ・ヤブロンスキー指揮ロシア・フィルハーモニー管弦楽団によるものです。ナクソス盤だけあってメンツはマイナーですが、演奏の方は特に問題なしです。チープなジャケットは毎度の事ながら私のセンスに合致しませんが・・・ブルッフの名曲群がなぜ一部を除いて埋もれてしまったのか私には謎ですが、こう言った隠れ名曲を探すのもクラシックファンの楽しみの一つかもしれませんね。
コメント

モーツァルト/戴冠式ミサ

2015-04-08 13:01:32 | クラシック(声楽)
モーツァルトの宗教音楽と言えば先日ご紹介した「レクイエム」が最も有名ですが、死者のための鎮魂曲と言うこともあって全体的に暗く、日常的に聴くにはあまり適しているとは言えません。その点、今日取り上げるミサ曲第14番、またの名は「戴冠式ミサ」はモーツァルトが20代前半の頃に書いたミサ曲で、いかにも青年期らしい明るく輝かしい旋律に全編彩られており、肩肘張らずに楽しめる内容です。1曲目「キリエ」こそミサ曲らしい荘厳な雰囲気ですが、2曲目「グロリア」からこれぞモーツァルトといった感じの生命力にあふれた活き活きとした旋律が次々と現れ、聴いていてワクワクしてきます。3曲目「クレド」、4曲目「サンクトゥス」もこの盛り上がりが続き、落ち着いた四重唱の5曲目「ベネディクトゥス」を挟んで終曲の「アニュス・デイ」へ。この曲の前半はアルト独唱で、まるでオペラのアリアのような美しさです。最後は壮麗な合唱でフィナーレとなります。



CDはヘルベルト・フォン・カラヤンがベルリン・フィルとウィーン学友協会合唱団を指揮したものです。「戴冠式ミサ」は25分ほどの短い曲なので、カップリングでブルックナーの「テ・デウム」が収録されています。モーツァルトと同じオーストリア人ですが、時代も作風も全然違うので正直あまり良い組み合わせとは言えません。この「テ・デウム」も一連の交響曲と並んでブルックナーの代表作に伍されることも多い曲ですが、個人的にはあまり良さがよくわからない。フィナーレの盛り上がりはなかなかのものですが、逆に言うとそれまでが地味です。まあ私はブルックナーの数ある交響曲も7番&8番以外はほぼ聴かないタチなので単に趣味が合わないだけと言えばそれまでですが・・・モーツァルトの宗教曲は他にも「大ミサ曲」「雀のミサ」などがありますが、個人的にはこの「戴冠式ミサ」が一番のお薦めです。
コメント