
そんなティナは他にも3枚のリーダー作を録音しましたが、今日取り上げる「ザ・ウェイティング・ゲーム」を含め全てがお蔵入りとなってしまいました。本盤など内容はとても素晴らしいのになぜ?と思いますが、アルフレッド・ライオン社長の求めるレベルに達しなかったのか、はたまた別の理由か?メンバーが当時のブルーノートにしては比較的地味(トランペットがジョニー・コールズ、ピアノがケニー・ドリュー、ベースがウィルバー・ウェア、ドラムがフィリー・ジョー・ジョーンズ)というのも理由だったのかも???ただ、繰り返しますが曲は本当に良いです。6曲中5曲をティナのオリジナルが占めていて、哀愁漂うマイナーキーのメロディはとりわけ日本のジャズファンの琴線をくすぐること間違いありません。特に“Dhyana”“David The King”は歌謡曲を思わせるベタなメロディながら、一度聴いたら忘れられない独特の魅力があります。「トゥルー・ブルー」もほとんどがティナのオリジナルでしたが、この人の作曲センスには一目置かざるを得ませんね。ファンキーなR&B調の“Talkin' About”、ラストの快調なハードバップ“The Waiting Game”も秀逸です。1曲だけのスタンダードはボロディンのクラシック曲「だったん人の踊り」をアレンジした“Stranger In Paradise”。以前にバリー・ハリスのページでも述べましたが、ジャズとクラシックの素敵なマリアージュです。