ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

フランク/交響詩集

2018-03-30 23:52:32 | クラシック(管弦楽作品)
本日はベルギー出身でフランスで活躍した作曲家セザール・フランクの作品をご紹介します。フランクは決して多作とは言えませんが、1曲だけ残した交響曲とヴァイオリン・ソナタが有名で、ディスクも多く出回っています。ただ、逆に言うとその2作品だけ。作品リストを見るとピアノ曲、オルガン曲から室内楽作品、オラトリオやオペラまで残されているのですが、耳にする機会はほとんどありません。そんな中、今日ご紹介するのはアンドレ・クリュイタンス指揮ベルギー国立管弦楽団が1962年に録音したフランクの交響詩集です。指揮者もオケもベルギーつながりということで企画されたのでしょうが、なかなかマニアックなチョイスです。ただ、内容はとても充実していて、フランクの新たな魅力を知ることができました。



フランクは全部で交響詩を6曲残しているそうですが、そのうち本作に収録されているのは4曲。うち冒頭の「呪われた狩人」については比較的有名で、過去に紹介したアンセルメのフランス音楽オムニバスにも収録されていました。教会のミサに出席せず狩りに出かけために神に呪われた伯爵の話が主題となっており、狩りの角笛を模したホルンの響きと重厚なオーケストレーションが印象的な名曲です。それ以外の3曲はほぼ他では聞くことができないレア曲ばかりですが、それぞれ捨てがたい魅力を放っています。2曲目は「アイオリスの人々」。アイオリスとは古代ギリシャの地名だそうで、エーゲ海の風景を思い起こさせるような爽やかな曲調です。3曲目は「ジン」と言う変わった題名ですが、お酒のジン(gin)ではなく、djinnと言ってアラビアンナイト等に出てくるいわゆる“魔人”のことだそうです。この交響詩は珍しくピアノを独奏楽器として大きくフィーチャーしており、変則的なピアノ協奏曲と言った趣もあります。前半は魔人が暴れまわっている描写なのか荒々しい曲調ですが、後半は一転して穏やかな旋律となり、静かに幕を閉じます。最終曲「贖罪」はもともとオラトリオとして作曲されたものを交響詩に編曲したもので、ドイツ古典派を思わせる壮麗な曲です。ブラームスとかが好きな人からしたら気に入ること間違いないと思うのですが、あまり知られていないのがもったいないですね。もっと評価されても良い名曲だと思います。
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ハイドン/戦時のミサ

2018-03-20 12:25:42 | クラシック(声楽)
1ヶ月ぶりの更新です。本日はハイドンのミサ曲を取り上げたいと思います。ハイドンは生涯に100を超える交響曲を作曲し、「交響曲の父」として知られていますが、一方で宗教曲もたくさん残しています。本ブログでも過去にオラトリオの代表作である「天地創造」「四季」をご紹介しましたが、ミサ曲も12曲残しており、そのうち今日ご紹介する「戦時のミサ」は第7番に当たります。「戦時のミサ」と言っても、特に戦争をテーマにしたわけではなく、単に作曲中にオーストリアがナポレオン軍と戦争の真っ最中だったため、ハイドンが楽譜にメモ書きを残したというだけだそうです。ハイドンは交響曲にもそれぞれニックネームが付いていますが、なにせ作品数が膨大なので、覚えやすくするために付けたのでしょうね。



曲の内容ですが、あくまで教会で演奏されるミサ曲ですので、構成はカトリックの典礼に則っています。全体的には荘厳な雰囲気ですが、その中でもハイドンらしい魅力的な旋律がそこかしこに散りばめられており、宗教音楽だからと言って肩肘張らずに楽しめる内容です。特に「グロリア」冒頭の爆発的な盛り上がり、「クレド」終盤の壮麗な合唱、「サンクトゥス」の静謐な美しさ、そして「アニュス・デイ」で感動的なフィナーレを迎えます。CDですが、タワーレコード限定版で発売されているレナード・バーンスタイン指揮バイエルン放送交響楽団&合唱団のものを買いました。ハイドンのミサ曲自体は録音も少ないですが、それだけに20世紀を代表する巨匠が残した本盤は貴重です。曲の長さも45分強で、オラトリオほど長くないのが良いですね。
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