ボーナス2曲を含めて全7曲。有名スタンダードは“The Nearness Of You”だけで、後は馴染みのない曲ばかりですがどれも小粋なアレンジが施された軽快なミディアムチューンです。クインシー・ジョーンズのペンによるスインギーな“The Golen Touch”、ハードバピッシュな“The Donkey Serenade”、これもクインシーの手によるソウルフルな“Moody's Blues Again”、タイトルチューンにもなっている14分の大作“Wail Moody, Wail”、そして美しいバラード“Sinner Kissed An Angel”と捨て曲のない充実した構成です。ムーディは曲によってテナーとアルトを使い分けますが、クセのない滑らかなトーンで豊かなメロディを紡ぎ出しています。他のメンバーではデイヴ・バーンズのトランペットが大きくフィーチャーされています。彼もまた過小評価されたジャズメンだと思うのですが、ブリリアントなソロはもっとスポットライトが当たってもいいのではないでしょうか?他はピー・ウィー・ムーアが時折ソロを取るくらいで後はアンサンブル要員です。ラージコンボをまとめるムーディのアレンジャーとしての能力の高さも感じられる作品ですね。
ボーナス2曲を含めて全7曲。有名スタンダードは“The Nearness Of You”だけで、後は馴染みのない曲ばかりですがどれも小粋なアレンジが施された軽快なミディアムチューンです。クインシー・ジョーンズのペンによるスインギーな“The Golen Touch”、ハードバピッシュな“The Donkey Serenade”、これもクインシーの手によるソウルフルな“Moody's Blues Again”、タイトルチューンにもなっている14分の大作“Wail Moody, Wail”、そして美しいバラード“Sinner Kissed An Angel”と捨て曲のない充実した構成です。ムーディは曲によってテナーとアルトを使い分けますが、クセのない滑らかなトーンで豊かなメロディを紡ぎ出しています。他のメンバーではデイヴ・バーンズのトランペットが大きくフィーチャーされています。彼もまた過小評価されたジャズメンだと思うのですが、ブリリアントなソロはもっとスポットライトが当たってもいいのではないでしょうか?他はピー・ウィー・ムーアが時折ソロを取るくらいで後はアンサンブル要員です。ラージコンボをまとめるムーディのアレンジャーとしての能力の高さも感じられる作品ですね。
とかく日本のジャズファンから過小評価されがちのウェストコーストジャズですが、それでもアート・ペッパー、チェット・ベイカー、バド・シャンクは知名度もありますし、評価も確立しているような気がします。次に来るコンテ・カンドリ、フランク・ロソリーノ、リッチー・カミューカ、ハーブ・ゲラーあたりも玄人筋には評価が高いですね。ただ、西海岸には他にも実力派のジャズメンがたくさんいます。今日ご紹介するベツレヘムのオムニバス企画盤「ジャズ・シティ・ワークショップ」はそんなマイナーな面々の痛快な演奏が収められた1枚です。1955年録音でメンバーはハービー・ハーパー(トロンボーン)、ラリー・バンカー(ヴァイブ)、マーティ・ペイチ(ピアノ)、カーティス・カウンス(ベース)、フランク・キャップ(ドラム)、ジャック・コスタンゾ(ボンゴ)の6人。正直名前だけで「おっ?」と思わせるプレイヤーは1人もいませんね。アレンジャーとして有名なペイチもピアノの評価はそこまで高くないですし、バンカーもヴァイブよりドラマーの印象が強く、ハーパーはモードにリーダー作がありますが、逆に言うとそれぐらいしか聴いたことがない。でも、内容は期待を大きく上回る出来でした。
全8曲。スタンダード曲が中心ですが、アップテンポとバラードがうまく組み合わされて非常に聴きやすい構成です。特に1曲目の“Zing! Went The Strings Of My Heart”、ラストの“Them There Eyes”などアップテンポの曲では、アレンジ重視でアドリブが弱いというウェストコーストジャズへの偏見を吹き飛ばすようなパワフルな演奏が繰り広げられます。ペイチの自作曲“The Natives Are Restless Tonight”ではさらにジャック・コスタンゾのラテン・パーカッションが大きくフィーチャーされ、野性的なリズムで曲を盛り上げます。他ではいかにもウェストコーストらしい明るく健康的な“Serenade In Blue”、トロンボーンによるバラード演奏が美しい“Laura”、そして1曲だけミッキー・リンという女性シンガーが加わったスインギーな“That Old Black Magic”など名演ぞろいです。ウェストコーストジャズの隠れ名盤として自信を持ってお薦めしたいと思います。
全6曲。いわゆる有名スタンダードは“Alone Together”ぐらいしかありませんが、魅力的な楽曲に溢れています。1曲目は“Meat Wave”はいわゆるジャズロックですね。R&B出身のタレンタインらしいノリノリの演奏が聴けますが、じっくり鑑賞するには不向きです。私のイチ押しは2~4曲目。“They All Say That I'm The Biggest Fool”はバディ・ジョンソンという人が作ったR&Bバラード。男臭さがムンムン漂うタレンタインのバラードプレイにしびれます。続く“Yours Is My Heart Alone”はなんとフランツ・レハールのオペラ曲らしいですが、そんなことは微塵も感じさせない軽快なミディアムチューンに仕上がっています。マッコイ・タイナーのモーダルなピアノソロが演奏を盛り上げます。タイトル曲でもある“Easy Walker”はビリー・テイラーの作曲。ゆったりしたテンポの中にもグルーブを感じさせる佳曲です。他では当時のヒット曲でもあるバート・バカラックの“What The World Needs Now Is Love”も入っていますが、これはまあまあかな。
なお、今回発売されたCDには翌1967年に収録された2曲がボーナストラックとして入っており、これがなかなかの出来。“You Want Me To Stop Loving You”はデューク・ピアソンのアレンジによる8人編成のミニオーケストラをバックにタレンタインが豪快に吹きまくる趣向。曲も無名ながらキャッチーなメロディが印象的です。もう一つは有名スタンダード“A Foggy Day”で、本編同様マッコイ・タイナーのピアノトリオをバックにタレンタインが豪快に吹きまくります。どちらもお蔵入りさせておくにはもったいない名演です。
ブルーノート時代のミッチェルと言えば何と言ってもホレス・シルヴァーの諸作品におけるジュニア・クック(テナー)との名コンビがあまりにも有名。グループ脱退後もクックと行動を共にし、1964年にはチック・コリアと組み名盤「ザ・シング・トゥ・ドゥ」を発表しています。ブルーノート3作目の本作でもクックとのコンビは相変わらず健在。リズムセクションはハロルド・メイバーン(ピアノ)、ジーン・テイラー(ベース)、ビリー・ヒギンス(ドラム)です。アルバムは60年代後半のジャズシーンを凝縮したような内容で、色々なスタイルが混在しています。冒頭の“Bring It Home To Me”は典型的なジャズロック、続く“Blues 3 For 1”はミッチェル自作のブルース、3曲目“Porto Rico Rock”はラテン調のナンバー、4曲目“Gingerbread Boy”はモーダルな雰囲気も漂うファンキージャズ、5曲目“Portrait Of Jennie”は美しいバラード、6曲目“Blue's Theme”はご機嫌なハードバップチューン、と言った具合です。私のお気に入りは何だかんだ言ってラストの2曲。やっぱり正統派が好きみたいです。