ジャケットにノネット(九重奏団)とあるように、計9人からなる小型ビッグバンドで、ピアソン以外のメンバーはジョニー・コールズ(トランペット)、ジョージ・コールマン(テナー)、ジェイムズ・スポールディング(アルト)、ペッパー・アダムス(バリトン)、ガーネット・ブラウン(トロンボーン)、レス・スパン(フルート)、ボブ・クランショー(ベース)、ミッキー・ローカー(ドラム)となっています。ただし、ソロを取るのは主にピアソン、コールズ、コールマンの3人で後はもっぱら伴奏に徹しています。
内容はピアソンの高い作曲能力を示すように6曲中5曲が自作曲です。当時流行のジャズロック調の“Honeybuns”はやや軽すぎる気もしますが、続く“New Girl”はメロディ、アレンジともに最高にクールな名曲。ブルーノート盤「イントロデューシング・デューク・ピアソンズ・ビッグバンド」でも再演されたピアソンの代表曲です。“Is That So”“Heavy Legs”も同じ流れを組むモーダルなナンバー。一転して美しいバラードの“You Know I Care”はジョー・ヘンダーソンの名演で有名ですが、作曲者によるバージョンもなかなかです。“Our Love”だけはピアソン作ではありませんが、作曲は何とあのチャイコフスキー。幻想序曲「ロメオとジュリエット」のメロディをジャズ風にアレンジしたものらしいです。これがまたうっとりするロマンチックなアレンジで、ピアソンのアレンジャーとしての才能を実感することができます。いかにも60年代チックなポップなジャケットですが、中身は結構充実した1枚です。