本日は女流オルガン奏者シャーリー・スコットのインパルス盤をご紹介します。本ブログでも夫であるスタンリー・タレンタインのページ(「ディアリー・ビラヴド」「ネヴァー・レット・ミー・ゴー」)で取り上げましたね。1950年代後半から名門プレスティッジに多くの録音を残し、リーダー作だけでも20枚を超える売れっ子でした。オルガン奏者としては性別の括りを超えてジミー・スミスに次ぐ人気だったと言っても過言ではないでしょう。デビュー当初はエディ・ロックジョー・デイヴィスと共演することが多かったですが、1960年にタレンタインと結婚してからは夫婦で多くの共演作を残しています。契約の関係もありブルーノートから発売されるものはタレンタイン名義、プレスティッジとインパルスから発売されるものはスコット名義ですが実質は2人の共同リーダー作と言って差し支えないと思います。本作は1964年12月にニュージャージー州にあるクラブで録音されたライブ盤です。メンバーはスコット(オルガン)、タレンタイン(テナー)、ボブ・クランショー(ベース)、オーティス・フィンチ(ドラム)です。
曲は全5曲。ただし、最後の”The Theme”は1分だけのエピローグのようなもので実質は4曲です。1曲目はスタンダード”Just In Time”でのっけからタレンタインのテナーが絶好調です。ライブと言うこともあってかいつも以上にブリブリ吹きまくっているのですが、決して野暮ったくはならずメロディのツボはしっかり押さえています。スコットのオルガンソロも充実しているのですが、どちらかと言うとアルバム全体を通じてタレンタインの目立ち度の方が高い気がしますね。2曲目はエリントン・ナンバーの”Just Squeeze Me”でこちらは落ち着いたバラード演奏で、出来はまずまずと言ったところ。3曲目の”Rapid Shave”は他では聞いたことがない曲ですがおそらくはR&Bナンバーでしょう。これぞソウルジャズと言ったノリノリのナンバーです。4曲目”That's For Me”はロジャース&ハマースタインのミュージカル曲。どちらかと言うとマイナーな曲ですが、ここではミディアムテンポで料理されています。タレンタインの歌心あふれるマイルドなテナーとスコットのオルガンが醸し出す快適なグルーブ感が最高です。以上、スコットのリーダー作ではありますが、タレンタインのファンも必聴の1枚です。