ズート・シムズには自身の名前を冠したアルバムが2つあります。1つは先日ご紹介したリヴァーサイド盤「ズート!」で、もう1つが今日ご紹介するアーゴ盤「ズート」です。違いは!があるかないかだけですね。録音時期も近く、リヴァーサイド盤が1956年12月、本作がその少し前の10月です。ワンホーンカルテットでリズムセクションはジョン・ウィリアムズ(ピアノ)、ノビー・トター(ベース)、ガス・ジョンソン(ドラム)です。内容的にはリヴァーサイド盤がかなりスイング色の強いオールドファッションな内容だったのに対し、本作はオスカー・ペティフォードやディジー・ガレスピーの作品を取り上げるなど、バップ色の強い曲も含まれています。ただ、ハードバップかと言うとそうでもない。ズートの音楽スタイルは、スイングジャズをベースにそこにバップのエッセンスを加えたものですが、なかなかジャンル分けが難しいですね。本ブログでは一応クールジャズにカテゴライズしていますがそれもなんか違う気がします。まあ、ジャンル分けはあくまで参考ということで・・・
全8曲。うち歌ものスタンダード3曲、メンバーのオリジナル2曲、他のジャズマンのカバーが3曲という割合です。スタンダードはガーシュウィンの”The Man I Love”、ロジャース&ハートの”Blue Room”、チェット・ベイカーの歌で有名な”That Old Feeling”で、ズートのまろやかなトーンのテナーと歌心溢れるアドリブが堪能できます。オリジナル2曲はズート作のスインギーな”55th And State"とドラムのガス・ジョンソンの"Gus's Blues"ですが、出来はまあまあと言ったところ。おススメは他のジャズマンのカバー3曲ですね。まずは冒頭の"9:20 Special"。1940年代のベイシー楽団のアルト奏者アール・ウォーレンの曲をノリノリで演奏します。やはりズートはこういうスイング調の曲が一番合っていますね。オスカー・ペティフォードの”Bohemia After Dark”では、ズートが珍しくアルトで急速調のソロを吹いています。ラストのディジー・ガレスピーの”Woody'n You”はマイルス、ビル・エヴァンス、MJQ、レッド・ガーランドらも名演を残していますが、本作もそれらと比べても引けを取らない素晴らしい演奏です。スイングだろうがブルースだろうがバップだろうが、どんなスタイルでも悠々とブロウするズートがカッコいいですね。
いつも貴ブログを拝見しています。ジャズのアルバムを様々取り上げられ、ハードバップ中心に僕の好きなアルバムが多く登場するので、楽しみに読んでいます。
ズート・シムズも好きな演奏者で、このアルバムは愛聴盤です。お話のように、ややアップテンポでスイングしている曲が良いですが、「The Man I Love」といったバラードも捨てがたいです。
いろいろなアルバムが登場し、僕が聴いたことがないものも多数あり、参考になります。引き続き、楽しみにしています。
いつも当ブログをご覧いただきありがとうございます。最近は新譜購入はご無沙汰ですが、昔買ったCDをリストに残しており、順番に聴き直している毎日です。
azumino様のブログも拝見しました。マーティ・ぺイチやロレツ・アレキサンドリアは私も持っております。とても良いですよね。また、そのうち当ブログで取り上げることがあるかもしれません。今後ともよろしくお願いいたします。