ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

チャーリー・パーカー・10th・メモリアル・コンサート

2020-12-19 07:22:31 | ジャズ(その他)

本日はちょっと変わったところで、チャーリー・パーカーの没後10年の1965年にニューヨークのカーネギーホールで行われた記念コンサートの模様を収めたオムニバス形式のCDをご紹介します。発売元はマーキュリーの傍系レーベルであるライムライト・レコード。リーダーは特におらず計14人ものジャズマンが入れ代わり立ち代わり演奏する形式です。メンバーの中にはディジー・ガレスピー、トミー・ポッター、ロイ・ヘインズ等パーカーと多くの演奏をともにした盟友と呼べる人達もいますが、一方でスイング世代の大御所であるコールマン・ホーキンスやロイ・エルドリッジ、パーカーと同世代ながらクール派でスタイルの異なるリー・コニッツ、当時まだ21歳だったポストバップ世代のケニー・バロン、さらにはスキャットの名人デイヴ・ランバートとパーカーとあまり縁のなさそうなジャズマンも多く、良く言えばバラエティ豊か、悪く言えば良く分からない人選の寄せ集めセッションです。1965年当時ならパーカー直系とも言えるハードバップ世代の俊英達がたくさんいたと思うのですが、あえて外したのか、意図せずたまたまなのか・・・演奏や録音の質もバッチリとは言い難いですが、個人的にはいろんなメンバーの演奏が聴けて楽しい1枚ではあります。

曲は全9曲。うち前半4曲はディジー・ガレスピー率いるクインテットによる演奏です。メンバーはガレスピー(トランペット)、ジェイムズ・ムーディ(テナー)、ケニー・バロン(ピアノ)、クリス・ホワイト(ベース)、ルディ・コリンズ(ドラム)です。1曲目”Um-Hmm!(Ode To Yard)”はパーカーに捧げたケニー・バロンの自作曲でなかなかの佳曲です。ただ、2曲目以降は”Groovin' High””Blues From Gillespiana””A Night In Tunisia”とどれもガレスピー自身の持ち曲で、あまりパーカーとは関係ありません。コンサートの趣旨からするとどうなの?とも思いますが、演奏自体は良くまとまっています。ガレスピーのトランペットもまだまだ健在ですし、陰の実力者ムーディ、当時まだ21歳だったバロンも熱のこもった演奏を聴かせてくれます。

後半はメンバーが流動的で、5曲目はパーカーの代表曲”Now's The Time”をホーキンス(テナー)、エルドリッジ(トランペット)、J・J・ジョンソン(トロンボーン)、ビリー・テイラー(ピアノ)、トミー・ポッター(ベース)、ロイ・ヘインズ(ドラム)のセクステットで演奏します。全体的に年齢層高めで特にホーキンスとエルドリッジの演奏が聴いていてちょっとしんどいかも。続く”Donna Lee”と”Cherokee”は上記のリズムセクションをバックにデイヴ・ランバートがスキャットを披露します。♪ドゥビドゥバドゥビ~とおそらくパーカーのソロを声で模しているのでしょうか?なかなかユニークな企画です。8曲目”Blues For Bird”はなんとリー・コニッツ(アルト)の無伴奏ソロによる即興演奏。コニッツとパーカーは同じアルト奏者とは言え、片や白人クール派、片や黒人バップ派とあまり共通点はなさそうですが、生前は交流があったのでしょうかね?演奏はまあコニッツ好きにはたまらないのかもしれませんが、私はイマイチです。(そもそも誰の演奏であれ無伴奏ソロってのはあまり好きでない)ラストの”Bird Watcher-Disorder At The Border”はコニッツ、J・J、ガレスピーにこの曲だけケニー・ドーハム(トランペット)が加わり、テイラー、ポッター、ヘインズのリズム・セクションをバックにアドリブ大会を繰り広げます。ただ、これもドーハムの演奏がヘロヘロで、コニッツとガレスピーは可もなく不可もなく、J・Jとビリー・テイラーが貫録のソロを聴かせると言ったところでしょうか?以上、特に後半は演奏の質も玉石混交ですが、まあいろんなメンバーが楽しそうにワイワイやってる雰囲気は伝わってくるので、まあこれはこれで良いのではないでしょうか?

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