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利用者ゼロのバス停

2014-12-10 23:53:04 | 秋田の地理
11月20日放送「ナニコレ珍百景」で、【珍百景No.2051】「田舎のバス停に衝撃の事実が!!」が放送されて認定された。
鹿児島県薩摩川内市にあるJR九州バスの「行奈木(ぎょうなぎ)」というバス停(1日8往復通るようだ)が、35年間、誰にも利用されていない(乗降客がいない)という話。

現役運転士と昔を知る元運転士の話と、「近隣住民によると、かつてバス停付近には3軒の民家があり、60年ほど前にバス停を設置したのだが、50年ほど前に全員が引っ越したため、使われなくなった」ことから導いた結論。

放送のテロップでは「35年利用されていない?バス停」「番組調査では35年利用なし」と、そうではないかもしれない余地を含んだ表現。
運転士全員に聞き取ったわけではないだろうし、運転士が乗降を完璧に記憶しているわけではないから、実際には、35年の間にどこかの誰かが乗り降りしたことがあったかもしれない。
そして、行奈木だけが特異ではなく、全国各地を見れば、似たようなバス停はけっこうあるのではないだろうか。
※利用者がいないのにバス停が存在する意義としては、運賃の境界を示すための場合もあり得る。


利用者がきわめて少ないバス停は、街中にもあるかもしれない。
例えば、通学利用に特化した路線だけが通り、目的となる学校のすぐ近くにあるバス停など。
秋田市では、楢山大回り線の「大町西交差点」、秋田高校-御野場・御所野の路線(この記事参照)「通町橋」、その両路線がだけが通る「原の町(神田線用とは別の位置)」などは該当するかもしれない。
これらは、本数が極端に少なく(平日のみ1本とか)て通学以外にはまず使えないし、近くに本数が多い路線のバス停が別にあるから。
通学とは関係ないが、AAB向かいの臨海経由新屋西線用「臨海十字路」も利用者はいないことだろう。


ところで、秋田市内には、若干ただし書きが付くけれど「絶対に乗り降りする人がいないバス停」が存在する。
秋田市卸町の国道13号線
茨島交差点の東側、卸町と茨島の境目辺りに「茨島(ばらじま)」というバス停がある。そのうち、仁井田方向から茨島交差点方向に向かう車線側のバス停。

2本のポールが置かれる
向かい側も同様だが、羽後交通のバス停と、秋田市営バスから移管された中央交通のバス停が並んでいる。

ポールを見れば、羽後交通のには時刻表が掲出されているが、中央交通のは時刻表がちぎれたように見える。
相変わらず中央交通は時刻表の管理もできなくてけしからんと思ったが、それは間違いだったことが後に分かる。

先に羽後交通に注目。
表示板に「(高速)秋田駅前、八橋市民広場前方面行」とある。羽後交通と中央交通が共同運行している、秋田-横手・湯沢の高速バスのバス停である。
時刻表には5便が掲載されているが、そのすべてが、
「左記降車専用です 乗車できません」
ということで、羽後交通のほうは、乗ることはできないものの、降りることは可能なバス停。
だったら、時刻表を入れないで「降車専用」と表示しておけば済むような気もしますが…
※向かい側は横手・湯沢方面行きの乗車専用。

羽後交通のバス停は、2010年春に廃止された羽後交通単独路線である急行角館線も通っていた。その時はここでは乗降ともできた(はず)。



では、中央交通のほう。
市営バス時代からの記憶に基づけば、ここを通る路線は2つ。
1つは「茨島経由御野場団地線」。
秋田駅から県庁市役所前を経て山王大通りを進み、臨海バイパス~13号線へ入り御野場まで。少々遠回りの経路。
1990年代には朝と夕方に少数が運行され、「山王新町経由秋田駅行き」という系統もあった。移管と前後して、徐々に本数は減っていた。

もう1つが「新港線(しんこうせん)」の一部。
本来の新港線は、飯島北-西部市民サービスセンター(新屋案内所)を新国道経由で結ぶ系統。
派生系統として、西部市民サービスセンターの先の新屋高校まで足を伸ばすものと、新屋へ行かずに茨島交差点で13号線に入って、秋田南高校へ行くものがあった。かなり昔から平日に1日1往復(朝に飯島発、16時00分南高発)。
「茨島」は本系統の経路と分岐して最初/合流する直前の停留所に当たる。

したがって、こちら方向側の中央交通の「茨島」バス停は県庁経由秋田駅行きと新国道経由飯島行きが通っているはず。
現地の時刻表がないので分からないから、ホームページの時刻表検索や路線図を調べると、現在は、この方向は1本も走っていなかった!

茨島経由御野場団地線は、2010年で路線自体が廃止。
南高校発飯島北行きも、時期は不明だがいつの間にか廃止されていた。(飯島北発南高校行きの片方向だけの運行になった)
だから、時刻表を剥がした(引きちぎった?)のか。もうちょっと丁寧に剥がせないものでしょうか…

というわけで、中央交通一般路線用のバス停に限れば、通るバス路線がないのにポールだけが立っているため、絶対に乗り降りできない、つまり絶対に利用者がいないバス停ということになる。(高速バスのほうも、降車客はとても少なそう)


片方向だけだとしても、バス停にバスが通らなくなったら、その側のポールは撤去するのが筋だろう。一時期の南大通りの各バス停はそうだった(循環バス運行開始により再設置)。
「茨島」が残っているのは、いつか運行再開される時に備えているのかもしれないが、昨今の情勢からしてその可能性は少ないだろう。あるいはスクールバスなど一般向けではないバスの停留所として使っていることも考えられなくもないが、それもなさそう。
ポールを片付けるのが面倒なのか、忘れているのか…ってとこでしょうか?

ちなみに、茨島交差点を越えた、茨島経由御野場団地線単独(新港線は通らない)のバス停だった「茨島体育館前」「新川町」などは撤去されている。
それを踏まえると、茨島経由御野場団地線のほうが先に廃止され、同線単独だった各バス停ではポールを撤去。「茨島」は南高校発新港線が通っていたため残され、後の新港線の片道廃止後もそのままにされたと考えられる。※南高校発新港線が単独で使用していたバス停は「茨島」だけ。前後のバス停は他路線も共用しているので、片道廃止時に不要になったのは「茨島」だけ。

高速バスの運行に中央交通も参加しているのだから、かつての市営バスと中央交通のような、共用のポールを設置すればいいようにも思いますが…


路線バスが路線バスであるためには、乗り場に明確な表示がなければならないと、法令で定められているはず。(必ずしもポールでなくても、電柱に巻きつけても、弘南バスに多いように片側にまとめて設置してもいい)
でも、路線がなくなったからと言って、ポールを残しておくことは、別に構わないのだろう。

また、公道上にバス停を設置する時は、道路管理者(ここの場合、国交省秋田河川国道事務所)に道路占有許可をもらわないといけないはず。
公共交通機関だから厳しい審査があるわけではないだろうが、20年くらい前の国道では、占有許可のシールがポールに貼付されていた(この記事後半参照)。現在は省略されたのか見かけない。
道路管理者にしてみれば、不要になったものは撤去してほしいのがホンネだろうけれど、不要になったことに気づいていないのでしょう…


さて、こことは別の場所にも「茨島」バス停が存在するのをご存知でしょうか。
そっちの茨島も、いわくがあるバス停なので、後日。こちらの記事
コメント (7)
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