竹半スポーツの移転先となったのが、菓子店「くらた秋田店」の跡。
今回はその「くらた」の製品について。
ブランドは「お菓子のくらた」、企業名は「株式会社くらた」。
秋田県内陸南部の湯沢市に本社があり、創業は黒船来航の嘉永6(1853)年。現在は、湯沢、横手、大曲、角館と秋田市に店舗がある。
秋田市には1970年に進出(竹半移転先にあった秋田店が最初)、その後秋田市内に複数の店舗を展開し、秋田市民には地元の店同然に親しまれている。
現在、くらたの商品といえば、県内各蔵元の日本酒をゼリーにした「銘酒物語」や、角館の安藤醸造元の醤油とコラボレーションした和洋菓子がよく知られているようだ。
一方、僕のような古くからくらたの商品を知る人には、それらとは違うお菓子を連想する人も多いはずだ。
別段秋田らしいものではないけれど、名称にインパクトがあって、もちろん味が良く、地元では進物や来客用のお菓子として使われることもあり、親しみを覚えるのではないだろうか。
個人的に印象深いものを挙げてみる。
・ドリーム
一部店舗にあるベーカリーの菓子パンで、帽子形というかUFO形のパン(以前の関連記事)
・おばこナ、ひでこナ
ロングセラーで現在も主力商品の1つ。土産用や詰め合わせ商品にも含まれ、比較的入手しやすいようだ。
知らない人には不思議な商品名は、秋田民謡が由来。かすりの着物をモチーフにした包装が特徴的。
おばこナは黒砂糖あん、ひでこナは白味噌あんを、それぞれカステラ状の甘い生地で包んだ細長いお菓子。アルミホイルで包まれており、開く手間とその時に手がベタベタするのが難。【2020年7月2日追記】歴史は長く、1960年代中頃以前から売られているらしい。
県外のどこかで、よく似たお菓子(あんの味は違う)を食べたことがある。
【3月27日追記】男鹿市船川港船川の「ゴンタロー」の「えぐり舟」という商品も、ほぼ同一(中は白あん?)。この記事にて。
・千秋苑(せんしゅうえん)
山梨の「信玄餅」の黒蜜なし・クルミ入りバージョン(?)。
その名の通り、秋田市の千秋公園が由来ということなので、秋田市進出時(もしくはそれ以降)に登場したのだろうか。
餅を「千秋公園の石垣」に見立てたそうだが、千秋公園(久保田城)に石垣はない…
【2018年5月9日追記】パッケージは、きなこをまぶした餅を、厚手の紙で直接包んで、上部を紙ひもで結んだ構造。開く時に気をつけないと、餅が姿を現すより先に、きなこがこぼれてしまう。
・姉こもさ
これも民謡由来の商品名。
1980年代後半頃だろうか、新発売されたことを記憶しているので、比較的新しい商品。
どんなお菓子だったかは忘れたし、ネット上でもよく分からない。白あんっぽいものが入った、細長い洋風まんじゅうのようなお菓子だったか?
・とっぴんぱらりのぷう
商品名は秋田民話の結びの決まり文句。
姉こもさと同じ頃の新商品のはずで、米も使った薄いクッキーの表面にパフのようなものがついている。
・鳥海サブレ
湯沢方面からもよく見える鳥海山をモチーフにしたサブレー。
多くのお菓子屋でサブレーを作っているが、秋田では古参のサブレーだろう。(秋田市のかおる堂の「かおるサブレ」は昭和末期頃登場のはずだが、それより先にあった)子どもの頃は、サブレーといえば真っ先に鳥海サブレを連想した。
長方形で、鳥海山の輪郭がやや左寄りに描かれている。
かつては濃いピンク色の袋に入っていたが、いつの頃からか黄色い袋に変わった。
現在も発売されているが、「花火サブレ」「犬っこサブレ」といった別のサブレも登場しているらしい。
・クッキー?【2016年5月4日追記】くらたではなく、秋田市の榮太楼の商品かも??
正式名称は忘れたが、チョコとスライスアーモンドが入ったのとか何種類かあって、バラ売りもあった。わりと大きくて厚くて、食べ応えがあった。
現在、ホームページでノンアレルギーと銘打ったクッキーが載っているが、それらとはまったく別物。
鳥海サブレと同時期に、パッケージがリニューアルされているはず。
思い浮かぶのはこんなところ。
他にも、秋田の多くのお菓子屋で製造する「もろこし」や、秋田県内陸南部に多いようかん状のあんこをかけた花見団子なども製造しているはず。
サボテンをモチーフにしたという、蒸しパンのような(?)チョコケーキをホワイトチョコでコーティングして、サクランボの砂糖漬け(マラスキーノ・チェリー)を載せた「メキシカン」なるケーキもある。
さて、個人的にいちばん好きなくらた製品をご紹介したい。
「きいちご」である。
これも鳥海サブレやクッキーと同様、僕が物心ついた頃(1980年代中頃?)には既にあり、後の同時期にパッケージがリニューアルされて現在に至っている。
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袋にフランス語(?)でごちゃごちゃ書いているけど、意味は知らない。
「きいちご」を簡潔に説明すれば、「イチゴジャムをクッキーでサンドした、細長い菓子」。
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もう少し詳しく“部品”ごとに説明する。
皮のクッキーは適度に甘く、軽くしっとりした食感。「サクサク」という感じもするし、若干「スカスカ」した感じもする。手で強く押すと、割れる前にへこんでしまうような柔らかさ。「ソフトクッキー」と称する資料もあるようだ。
「白い恋人」の皮のような「ラング・ド・シャ」にも似ているが、これはずっと厚いし、ずっとしっとりしている。【2021年7月11日追記・喫茶店のアイスクリームに添えられる(ウエハースでなく)クッキーに似た食感。ミスターイトウ(イトウ製菓)のクリームをサンドしたラングドシャ「ラングリー」シリーズのクッキーにも似た感じ。】
皮を分割
ジャムは、ねっとりして粘度が高く、ほぼ固形。わずかに種のつぶつぶ。酸味は低く、イチゴとは違うベリー系のさわやかな味もする。クッキーの中央部にちょこんと塗られている程度で、ちょっと少ない。
台湾土産で「鳳梨酥(オンライソー)」または「パイナップルケーキ」と呼ばれる、サイコロ状のお菓子があるが、なんとなくそれに似ている点があるような気がする。
「きいちご」は軽すぎず重すぎないクッキーが絶妙で独特。他では食べたことがない。
個人的にはジャムよりも皮が好きなので、「きいちご」が好き。「きいちご」という商品名からすればジャムの量は少ないとは思うが、むしろジャムなしの皮だけでも売ってほしいくらい。(上の写真のように、分割して皮だけを食べたものだ)
おぼろげであいまいな記憶なのだが、昔の「きいちご」はもう少し(2回りくらい?)大きかった気がする。
パッケージが変わった時だろうか、小さくなったように思うのだが、実際はどうだろうか。
子どもの頃からの「きいちご」の皮に対する2つの謎。
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・皮の形
クッキーは、単純なカプセル型ではない。ヒョウタンとかナスとか洋ナシのような、上下(上の写真では左右)で幅が違う形。
いつも必ずこの形状だから、たまたま形が崩れたのではなく、何か意味や理由があるのだろうか。ひょっとしたらイチゴの果実の形?!(あくまでも「イチゴ」の形。「キイチゴ」ならば球に近い形=後記も参照)
・皮の重ね方
ジャムを間にして2枚の皮を重ねているわけだが、皮がぴったり重なっていない(ことが多い?)。
短辺方向に数ミリずれて重なっているのだ。
少々「雑」に見えてしまわなくもないけれど、技術的な制約とかだろうか。
ここで根本的なこと。
植物学的には「キイチゴ」と呼ばれる植物のグループがある。
ズバリ「キイチゴ」という種名(標準和名)の植物はなく、バラ科キイチゴ属に属する植物の総称。
日本の山野に自生するものもあるし、「ラズベリー」も含まれる(※)。
※農産統計などでは、桑やスグリなども含めて「ラズベリー類」とする場合があるようだ。この記事では、植物分類学の観点から「バラ科キイチゴ属」の1グループの呼び名として「ラズベリー」を用いています。
ショートケーキに載るような、いわゆる「イチゴ」は「オランダイチゴ」という種名で、バラ科オランダイチゴ属。無縁ではないがキイチゴには含まれない。果実の形も異なる。
くらた「きいちご」のジャムの正体は何か。表示を見る。
名称が和でも洋でもなく「菓子」
原材料名には、4番目に「苺ジャム」が出ている。
一般に「イチゴジャム」といえばキイチゴではなくオランダイチゴのジャムだろう。
そして7番目に「クランベリージャム」!
クランベリーとは、ツツジ科スノキ属の総称。「コケモモ」とか「ツルコケモモ」が含まれる。ベリーではあるが、科が異なるので、イチゴに含めることはできない。これがジャムの味のアクセントになっているのでしょう。
あと9番目に「○○ジュース」が記載されているのだが、不覚にも写真撮影時の確認が不十分で判読できない状態で撮影してしまった。スペースからして「キイチゴジュース」ではなさそうな気がする。
したがって、「『きいちご』のジャムには、イチゴではない果実が含まれている」【3日追記】あるいは「『きいちご』のジャムの味はキイチゴ味ではない」。
さらに、もしかしたら「苺ジャム」がキイチゴジャムを意味するのかもしれないが、実は「『きいちご』にはキイチゴは使われていない」のでした。
※だからと言って、目くじらを立てることはない。「葛餅」の多くがジャガイモのデンプンで作られたり、「わかさいも」に芋が使われていなかったり、「レモン牛乳」が無果汁だったりするのと同じように。
【3日追記】日本ではキイチゴ類の栽培はあまり行われておらず、冷凍の輸入品がケーキの飾りなどに使われる。しかし、近年、南秋田郡五城目町では、キイチゴの栽培に取り組んでいて、地元のお菓子に使われてもいる。大館市田代でも生産組織がある。価格や生産量の問題はあると思われるが、将来、キイチゴを使った『きいちご』が登場するかも。
なお、比較的新しいくらたの商品(僕は今年まで知らなかった)で「苺小町」という商品もあるが、これはまったくの別物。
イチゴあんが入った洋風まんじゅうのようなもの。これはこれでおいしいけれど、キイチゴの代わりにはなり得ない。
いろいろ書いたけれど、個性的でおいしいお菓子が揃うくらたさんなのだが、それが裏目に出てラインナップを知ることや商品入手のしやすさには難がある。湯沢の本店にでも行けばいいのだろうが。
秋田駅ビルトピコの店には、酒ゼリーや醤油コラボ商品がばかりで、昔からある商品ではおばこナ・ひでこナ程度しかなかった。
くらたは秋田市内に複数の店舗があるものの、竹半が入ったビルのように既存店閉店・新規開店が行われており、ほかには保戸野桜町や川尻の店がなくなっている。相対的に場所によっては以前より入手しづらくなっている。
公式のネット販売でも購入できる商品種は多くない。
公式ネットショップでは扱っておらず、商品名の記載すらない「鳥海サブレ」は、楽天市場内の「秋田天国」では購入できたりと、ちぐはく。せっかく通販サイトを持っているのに、商機をのがしている。
きいちごなどは日持ちがするから、秋田駅やネット通販で売るのにも向くだろう。醤油のロールケーキやアイスクリームを売るよりは…
きいちご好きとしては、もう少し秋田市内でも入手しやすくなるとありがたい。
ついでに、他社のお菓子。
慣れ親しんだ地元のお菓子と言っても、自分で買いに行かない人にとっては、商品名だけが記憶され、どこの店で作っているか知らなかったり勘違いしりしていることがある。恥ずかしながら、僕は次の2つもくらたの商品のような気がしてしまっていた。
・長者の山
秋田民謡が由来の商品名だからか、くらた製と勘違いしていた。秋田市の「かおる堂」でした。
円形の粒入りようかんの中に餅が入ったもので、まあ、熊本の「誉の陣太鼓」と同じ。
・おしゃべりっこ
なんとなく勘違い。「さなづら」でおなじみの秋田市の「榮太楼」でした。
カボチャまたはスイカの乾燥させた種を載せて焼いた、レモン風味(だそうです)のごく薄手のクッキー。パッケージの絵が独特。(個人的には葉っぱの葉脈が少々気持ち悪い)
※先月、ロックバンド「BUMP OF CHICKEN」のメンバーが、ツイッターでおしゃべりっこを紹介したそうで、ちょっと注目を集めているらしい。
※榮太楼のお菓子についてはこちら
今回はその「くらた」の製品について。
ブランドは「お菓子のくらた」、企業名は「株式会社くらた」。
秋田県内陸南部の湯沢市に本社があり、創業は黒船来航の嘉永6(1853)年。現在は、湯沢、横手、大曲、角館と秋田市に店舗がある。
秋田市には1970年に進出(竹半移転先にあった秋田店が最初)、その後秋田市内に複数の店舗を展開し、秋田市民には地元の店同然に親しまれている。
現在、くらたの商品といえば、県内各蔵元の日本酒をゼリーにした「銘酒物語」や、角館の安藤醸造元の醤油とコラボレーションした和洋菓子がよく知られているようだ。
一方、僕のような古くからくらたの商品を知る人には、それらとは違うお菓子を連想する人も多いはずだ。
別段秋田らしいものではないけれど、名称にインパクトがあって、もちろん味が良く、地元では進物や来客用のお菓子として使われることもあり、親しみを覚えるのではないだろうか。
個人的に印象深いものを挙げてみる。
・ドリーム
一部店舗にあるベーカリーの菓子パンで、帽子形というかUFO形のパン(以前の関連記事)
・おばこナ、ひでこナ
ロングセラーで現在も主力商品の1つ。土産用や詰め合わせ商品にも含まれ、比較的入手しやすいようだ。
知らない人には不思議な商品名は、秋田民謡が由来。かすりの着物をモチーフにした包装が特徴的。
おばこナは黒砂糖あん、ひでこナは白味噌あんを、それぞれカステラ状の甘い生地で包んだ細長いお菓子。アルミホイルで包まれており、開く手間とその時に手がベタベタするのが難。【2020年7月2日追記】歴史は長く、1960年代中頃以前から売られているらしい。
県外のどこかで、よく似たお菓子(あんの味は違う)を食べたことがある。
【3月27日追記】男鹿市船川港船川の「ゴンタロー」の「えぐり舟」という商品も、ほぼ同一(
・千秋苑(せんしゅうえん)
山梨の「信玄餅」の黒蜜なし・クルミ入りバージョン(?)。
その名の通り、秋田市の千秋公園が由来ということなので、秋田市進出時(もしくはそれ以降)に登場したのだろうか。
餅を「千秋公園の石垣」に見立てたそうだが、千秋公園(久保田城)に石垣はない…
【2018年5月9日追記】パッケージは、きなこをまぶした餅を、厚手の紙で直接包んで、上部を紙ひもで結んだ構造。開く時に気をつけないと、餅が姿を現すより先に、きなこがこぼれてしまう。
・姉こもさ
これも民謡由来の商品名。
1980年代後半頃だろうか、新発売されたことを記憶しているので、比較的新しい商品。
どんなお菓子だったかは忘れたし、ネット上でもよく分からない。白あんっぽいものが入った、細長い洋風まんじゅうのようなお菓子だったか?
・とっぴんぱらりのぷう
商品名は秋田民話の結びの決まり文句。
姉こもさと同じ頃の新商品のはずで、米も使った薄いクッキーの表面にパフのようなものがついている。
・鳥海サブレ
湯沢方面からもよく見える鳥海山をモチーフにしたサブレー。
多くのお菓子屋でサブレーを作っているが、秋田では古参のサブレーだろう。(秋田市のかおる堂の「かおるサブレ」は昭和末期頃登場のはずだが、それより先にあった)子どもの頃は、サブレーといえば真っ先に鳥海サブレを連想した。
長方形で、鳥海山の輪郭がやや左寄りに描かれている。
かつては濃いピンク色の袋に入っていたが、いつの頃からか黄色い袋に変わった。
現在も発売されているが、「花火サブレ」「犬っこサブレ」といった別のサブレも登場しているらしい。
・クッキー?【2016年5月4日追記】くらたではなく、秋田市の榮太楼の商品かも??
正式名称は忘れたが、チョコとスライスアーモンドが入ったのとか何種類かあって、バラ売りもあった。わりと大きくて厚くて、食べ応えがあった。
現在、ホームページでノンアレルギーと銘打ったクッキーが載っているが、それらとはまったく別物。
鳥海サブレと同時期に、パッケージがリニューアルされているはず。
思い浮かぶのはこんなところ。
他にも、秋田の多くのお菓子屋で製造する「もろこし」や、秋田県内陸南部に多いようかん状のあんこをかけた花見団子なども製造しているはず。
サボテンをモチーフにしたという、蒸しパンのような(?)チョコケーキをホワイトチョコでコーティングして、サクランボの砂糖漬け(マラスキーノ・チェリー)を載せた「メキシカン」なるケーキもある。
さて、個人的にいちばん好きなくらた製品をご紹介したい。
「きいちご」である。
これも鳥海サブレやクッキーと同様、僕が物心ついた頃(1980年代中頃?)には既にあり、後の同時期にパッケージがリニューアルされて現在に至っている。
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袋にフランス語(?)でごちゃごちゃ書いているけど、意味は知らない。
「きいちご」を簡潔に説明すれば、「イチゴジャムをクッキーでサンドした、細長い菓子」。
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もう少し詳しく“部品”ごとに説明する。
皮のクッキーは適度に甘く、軽くしっとりした食感。「サクサク」という感じもするし、若干「スカスカ」した感じもする。手で強く押すと、割れる前にへこんでしまうような柔らかさ。「ソフトクッキー」と称する資料もあるようだ。
「白い恋人」の皮のような「ラング・ド・シャ」にも似ているが、これはずっと厚いし、ずっとしっとりしている。【2021年7月11日追記・喫茶店のアイスクリームに添えられる(ウエハースでなく)クッキーに似た食感。ミスターイトウ(イトウ製菓)のクリームをサンドしたラングドシャ「ラングリー」シリーズのクッキーにも似た感じ。】
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ジャムは、ねっとりして粘度が高く、ほぼ固形。わずかに種のつぶつぶ。酸味は低く、イチゴとは違うベリー系のさわやかな味もする。クッキーの中央部にちょこんと塗られている程度で、ちょっと少ない。
台湾土産で「鳳梨酥(オンライソー)」または「パイナップルケーキ」と呼ばれる、サイコロ状のお菓子があるが、なんとなくそれに似ている点があるような気がする。
「きいちご」は軽すぎず重すぎないクッキーが絶妙で独特。他では食べたことがない。
個人的にはジャムよりも皮が好きなので、「きいちご」が好き。「きいちご」という商品名からすればジャムの量は少ないとは思うが、むしろジャムなしの皮だけでも売ってほしいくらい。(上の写真のように、分割して皮だけを食べたものだ)
おぼろげであいまいな記憶なのだが、昔の「きいちご」はもう少し(2回りくらい?)大きかった気がする。
パッケージが変わった時だろうか、小さくなったように思うのだが、実際はどうだろうか。
子どもの頃からの「きいちご」の皮に対する2つの謎。
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・皮の形
クッキーは、単純なカプセル型ではない。ヒョウタンとかナスとか洋ナシのような、上下(上の写真では左右)で幅が違う形。
いつも必ずこの形状だから、たまたま形が崩れたのではなく、何か意味や理由があるのだろうか。ひょっとしたらイチゴの果実の形?!(あくまでも「イチゴ」の形。「キイチゴ」ならば球に近い形=後記も参照)
・皮の重ね方
ジャムを間にして2枚の皮を重ねているわけだが、皮がぴったり重なっていない(ことが多い?)。
短辺方向に数ミリずれて重なっているのだ。
少々「雑」に見えてしまわなくもないけれど、技術的な制約とかだろうか。
ここで根本的なこと。
植物学的には「キイチゴ」と呼ばれる植物のグループがある。
ズバリ「キイチゴ」という種名(標準和名)の植物はなく、バラ科キイチゴ属に属する植物の総称。
日本の山野に自生するものもあるし、「ラズベリー」も含まれる(※)。
※農産統計などでは、桑やスグリなども含めて「ラズベリー類」とする場合があるようだ。この記事では、植物分類学の観点から「バラ科キイチゴ属」の1グループの呼び名として「ラズベリー」を用いています。
ショートケーキに載るような、いわゆる「イチゴ」は「オランダイチゴ」という種名で、バラ科オランダイチゴ属。無縁ではないがキイチゴには含まれない。果実の形も異なる。
くらた「きいちご」のジャムの正体は何か。表示を見る。
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原材料名には、4番目に「苺ジャム」が出ている。
一般に「イチゴジャム」といえばキイチゴではなくオランダイチゴのジャムだろう。
そして7番目に「クランベリージャム」!
クランベリーとは、ツツジ科スノキ属の総称。「コケモモ」とか「ツルコケモモ」が含まれる。ベリーではあるが、科が異なるので、イチゴに含めることはできない。これがジャムの味のアクセントになっているのでしょう。
あと9番目に「○○ジュース」が記載されているのだが、不覚にも写真撮影時の確認が不十分で判読できない状態で撮影してしまった。スペースからして「キイチゴジュース」ではなさそうな気がする。
したがって、「『きいちご』のジャムには、イチゴではない果実が含まれている」【3日追記】あるいは「『きいちご』のジャムの味はキイチゴ味ではない」。
さらに、もしかしたら「苺ジャム」がキイチゴジャムを意味するのかもしれないが、実は「『きいちご』にはキイチゴは使われていない」のでした。
※だからと言って、目くじらを立てることはない。「葛餅」の多くがジャガイモのデンプンで作られたり、「わかさいも」に芋が使われていなかったり、「レモン牛乳」が無果汁だったりするのと同じように。
【3日追記】日本ではキイチゴ類の栽培はあまり行われておらず、冷凍の輸入品がケーキの飾りなどに使われる。しかし、近年、南秋田郡五城目町では、キイチゴの栽培に取り組んでいて、地元のお菓子に使われてもいる。大館市田代でも生産組織がある。価格や生産量の問題はあると思われるが、将来、キイチゴを使った『きいちご』が登場するかも。
なお、比較的新しいくらたの商品(僕は今年まで知らなかった)で「苺小町」という商品もあるが、これはまったくの別物。
イチゴあんが入った洋風まんじゅうのようなもの。これはこれでおいしいけれど、キイチゴの代わりにはなり得ない。
いろいろ書いたけれど、個性的でおいしいお菓子が揃うくらたさんなのだが、それが裏目に出てラインナップを知ることや商品入手のしやすさには難がある。湯沢の本店にでも行けばいいのだろうが。
秋田駅ビルトピコの店には、酒ゼリーや醤油コラボ商品がばかりで、昔からある商品ではおばこナ・ひでこナ程度しかなかった。
くらたは秋田市内に複数の店舗があるものの、竹半が入ったビルのように既存店閉店・新規開店が行われており、ほかには保戸野桜町や川尻の店がなくなっている。相対的に場所によっては以前より入手しづらくなっている。
公式のネット販売でも購入できる商品種は多くない。
公式ネットショップでは扱っておらず、商品名の記載すらない「鳥海サブレ」は、楽天市場内の「秋田天国」では購入できたりと、ちぐはく。せっかく通販サイトを持っているのに、商機をのがしている。
きいちごなどは日持ちがするから、秋田駅やネット通販で売るのにも向くだろう。醤油のロールケーキやアイスクリームを売るよりは…
きいちご好きとしては、もう少し秋田市内でも入手しやすくなるとありがたい。
ついでに、他社のお菓子。
慣れ親しんだ地元のお菓子と言っても、自分で買いに行かない人にとっては、商品名だけが記憶され、どこの店で作っているか知らなかったり勘違いしりしていることがある。恥ずかしながら、僕は次の2つもくらたの商品のような気がしてしまっていた。
・長者の山
秋田民謡が由来の商品名だからか、くらた製と勘違いしていた。秋田市の「かおる堂」でした。
円形の粒入りようかんの中に餅が入ったもので、まあ、熊本の「誉の陣太鼓」と同じ。
・おしゃべりっこ
なんとなく勘違い。「さなづら」でおなじみの秋田市の「榮太楼」でした。
カボチャまたはスイカの乾燥させた種を載せて焼いた、レモン風味(だそうです)のごく薄手のクッキー。パッケージの絵が独特。(個人的には葉っぱの葉脈が少々気持ち悪い)
※先月、ロックバンド「BUMP OF CHICKEN」のメンバーが、ツイッターでおしゃべりっこを紹介したそうで、ちょっと注目を集めているらしい。
※榮太楼のお菓子についてはこちら
1997とありますがかなり古く長く使いまわしたんでしょうか。