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秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

甲府駅の特急ふじかわ

2022-11-25 23:36:12 | 旅行記
JR東日本パスの旅。乗り換え時間で甲府駅周辺を見た後、JR東日本エリアを出て、身延(みのぶ)線の特急へ。
ここからは、別途購入した乗車券・指定席特急券を使うので、JR東日本パスは翌日までお休み。
昼食は車内で。甲府駅を拠点とする駅弁業者はなく、小淵沢駅の「丸政」の売店「MASAICHI」が改札内にあると聞いていた。この時は看板商品「高原野菜とカツの弁当」はなく(甲府では売らないのか。これのおかず部分だけは新宿で売っていた)、あんまりパッとしないのでやめておく。
改札内にNewDaysもあった。秋田や青森のNewDaysでは、輸送網の関係か、おにぎりやサンドイッチは、NewDaysブランドでなく地元メーカーの商品が置かれる。甲府ではもちろん自社商品なので、どれも目新しい。パンと野菜を食べたくて、価格と緑色に惹かれてBLTサンドを購入。Tが苦手なトマトであることを忘れて(でもおいしかった)。

乗るのは、甲府始発、身延線経由静岡行きの特急「ふじかわ8号」。
身延線は、地理や鉄道に詳しくない人にはマイナーな存在かもしれない。富士山の西側、富士川(「ふじがわ」ではなく、列車名の通り濁らない「ふじかわ」のほうが一般的らしい)沿いを通って、静岡県富士市の富士と甲府を結ぶ、88.4キロのJR東海の路線。
沿線には、日蓮宗の総本山・身延山久遠寺のある山梨県身延町、富士山と焼きそばの街・静岡県富士宮市がある。
特急ふじかわは、富士から静岡までは東海道本線に入って(富士川を渡って)、静岡~甲府間122.4キロを結ぶ。
首都圏を経由せずに甲府と静岡を結ぶ点、あまりイメージがない富士山西側一帯を通る点で、興味深い路線であり列車であった。これまで、静岡県側で普通列車本数が多い、富士~富士宮では何度か乗ったことがあった(2010年の記事)が、山梨側まで乗り通す機会はなかった。
JR東日本パスのおかげで、ついに乗ることができた。JR東日本のサービスで安く移動できた分で、JR東海を儲けさせてしまうことになるけれど…

特急ふじかわは、1日7往復(3両編成)も運行されている。競合する高速バスもある(新型コロナで変則運行中)。
秋田~青森という地方県庁所在地間には、高速バスはなく、特急「つがる」は1日たった3往復(4両編成)なのと比べると、人の行き来が活発なのかと思った。
ふじかわは、普通車指定席が1両、自由席が2両、グリーン車なし。指定を取るかどうか。ネット上では「指定席より自由席のほうが空いている」という声も、「自由席が満席だった」という声もある。おそらく、曜日や時間帯、それに区間によって、差が激しいのだと思う。昔、富士→富士宮のわずかな区間だけ自由席に乗った時も、同じように短距離利用の人で、ほぼ満席だった。
そうそうない乗車機会だから、今回は指定席。えきねっとでは、シートマップ(座席表)で空席状況を確かめつつ予約できるのだが、JR東海の列車は(実は東海道新幹線も)対象外。「窓際限定」と指定して、進行方向左側・D席が取れた。


甲府駅は1~3番線が中央本線。身延線は、1番線の奥にある、行き止まりの4・5番線。
甲府駅自体はJR東日本の管轄。そこにJR東海の身延線が間借りして、隔離されたような構造。秋田駅の1番線、酒田駅の0番線みたいに似た構造のホームはちらほらあるが、国鉄時代からそうだったのだろうか。
1番線から身延線ホームへ向かう途中
9月30日で発売が終わった普通回数券についての告知。
2社分が並ぶ
↑JR東海のほうに「ご不明な点は駅係員まで」と書いてあるが、甲府駅だとJR東日本に押し付けることになる。ちなみに、甲府市内、身延線の南甲府駅には、JR東海の駅員がいる。

JR東海といえば、オレンジ色のラインが入り、国鉄時代からの流れを汲む「すみ丸ゴシック」「JNR-L」で記された、ホームの駅名標。甲府駅身延線ホームのは、
違う
薄型横長でモリサワ「新ゴ」で記された、JR東日本の駅名標の、ラインだけJR東海色に変えたもの。
同じく境界駅である熱海駅在来線ホームでは、JR東海の気配が一切ない駅名標だが、これはホームを2社で分けていないという事情もありそう。甲府駅では、ホームを明確に分けていることもあって、JR東海に多少配慮して、この駅名標なのだろう。
なお、飯田線との境界である、長野県の辰野駅では、JR東日本仕様の駅名標で、隣の駅名表記の飯田線側だけ、線をオレンジ色にしている(興味があれば「辰野駅 駅名標」で画像検索を)。


12時05分着ふじかわ3号の折り返しかと思われるが、発車15分以上前の12時20分頃の時点で車内整備も済んでいて、乗ることができた。
指定席1号車は、いちばん後ろ・改札口寄り。予約した席の通路をはさんだ隣では、すでに座席を向かい合わせて会話に興じている、年配女性グループ。これはうるさい旅になるなと思ったら、その席の指定券を持つ年配ご夫婦が現れた。グループ客は、全車自由席だと思いこんでいたのだった。

指定席は、窓際の席が半分以上埋まる程度の乗車率で、終点までそんな感じ。乗車率としては、さっきの「あずさ」と同じくらい。途中乗降よりも乗り通す人のほうが多かったはず。旅行客もいれば、用務客というのか身軽な地元在住っぽい人もいた。いろんな人が甲府と静岡を行き来するようだ。
自由席のほうは2両とも、甲府時点ではかなり空いていた。
373系電車 特急「ふじかわ」
ふじかわの車両は373系電車。
急行列車の置き換えとして1995年から投入されていて、現在はふじかわのほか、飯田線の特急「伊那路」、東海道本線・静岡県内のホームライナーなどに使用。かつては、夜行快速「ムーンラントながら」や特急「東海」にも使われ、東京駅にも来ていた。
特急から普通列車まで、幅広く使える汎用性のある車両。
373系とE353系。20年の差
JR東海の在来線車両は、どれもステンレスボディにオレンジ色のラインが入った外観だし、373系はそういう存在意義のためか普通列車の電車にも似ている。でも、それなりにデザインされていて、好き。先頭部は、丸みを帯びながら引き締まった凛々しさもあり、国鉄の特急用気動車キハ80やキハ181にも似た顔つき。積雪地でもないのに、前照灯が上にも2灯あるのが珍しい。
今では昔のアイテムとなってしまった、イラスト入りトレインマークがあるのが、特急らしさ。
小さな側面方向幕は国鉄書体
乗降ドアが両開きだったり、デッキとの仕切りのドアがなかったりするのは、普通列車運用を考慮している。
車内
客席は、赤紫色というか小豆色の座席が重々しく、落ち着いてどっしりとした雰囲気。
最近のカジュアルなJR東日本の特急とは大違いだし、1990年代の他の車両ともまた違うと思う。今見ても、そんなに古さはないかとも思ったが、後述の通り細かく見れば…

JR東日本のあずさや新幹線と比べると、荷棚の位置が高い。
2席で1枚の横長窓だが、真ん中の席(1号車では7番席)だけ、1席1枚の小窓。小窓が車端でないのが珍しい。
これは2号車
2022年3月まで、JR東海では在来線特急の各車両・各列車を「ワイドビュー車両」と呼んでいた。この列車も正式には「(ワイドビュー)ふじかわ」だった。
窓下のシールは、座席下の暖房装置の注意書き
座席の座り心地も、どっしり。座面が若干ふかっとした感触で、いいと思う。これまで短時間座ったことはあったが、今回の長時間乗車でも、別段気になる点はなかった。
座席に詳しいかたのサイトを見ると、普通列車兼用だけに、座り心地はそれなりと評価されていることもあるが、そうとも言えないと思う。

前の座席背もたれには網袋だけ。テーブルは肘掛けの中に収納された、インアームテーブル。面積が狭いのと、初めてだとテーブルがないと勘違いしそうなのが難。
跳ね上げ(跳ね下げ?)式フットレストも装備。E3系こまちの後期製造分に付いていたのと同型だと思う。固定機能があるという情報もあるが、それがヘタったのか足を載せていないと戻ってしまう。これは、小さくてあまり意味がない上、元に戻る時に、前の席の人に振動が伝わる(子どもが遊んでガチャガチャして迷惑だった経験あり)のが難。
当然、充電用コンセントはない。
気になったのはこの程度。

落ち着いた雰囲気で座り心地が良いと言っても、やっぱり2022年の感覚では「ちょっと古い列車」の雰囲気は否めないかも。上記のほか、荷棚の下がルーバーになっていたり、窓枠の造りとか。
373系は、目立った改造やリニューアルはされていないはずだが、まもなく30年。何らかの手が入る頃かもしれない。

自動放送は搭載。
東海道新幹線や東日本の新幹線ではカットされた、英語放送の「Ladies and Gentlemen」、それに最後の「Thank you」は、「あずさ」同様残っていた。
日本語放送は、首都圏の私鉄で多く起用されている西村文江さんという人の声。加藤みどりさんがサザエさんっぽくなくしゃべっているような(?)雰囲気がある。

最近は、同じような場所ばかり旅していたから、「初めて乗る路線(区間)」を「初めて乗る在来線特急で」乗るのは久しぶり【26日言い訳・富士宮~富士間に限れば、上記の通り乗車経験がありました…】。どんな所を通って、どんな車窓が見られるか。続く
コメント (2)
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