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藤原緋沙子著 「鹿鳴の声」

2024年12月16日 20時54分45秒 | 読書記

図書館から借りていた、藤原緋沙子著 「鹿鳴(はぎ)の声」(廣済堂文庫)を、読み終えた。
本書は、著者の長編時代小説、「隅田川御用帳(すみだがわごようちょう)シリーズ」第12弾の作品で、「第一話 ぬくもり」「第二話 菊形見」「第三話 月の萩」の連作短編3篇が収録されている。
「隅田川御用帳シリーズ」は、縁切り寺「慶光寺」の御用宿「橘屋」の女主人お登勢(おとせに雇われた、元築山藩藩士の浪人塙十四郎(はなわじゅうしろうが、「慶光寺」の寺役人近藤金吾や、橘屋の番頭藤七等と共に、縁切りを求めて「橘屋」に駆け込んでくるいろいろな女達の様々な事情を探り、絡み合う悪事や謎を解明、愛憎乱れる 女と男の深い闇を、人情と剣とで見事に解決していく、悲喜こもごもの物語である。


読んでも読んでも、そのそばから忘れてしまう老脳。
読んだことの有る本を、うっかりまた借りてくるような失態を繰り返さないためにも、
その都度、備忘録として、ブログ・カテゴリー「読書記」に、書き留め置くことにしている。


「第一話 ぬくもり」
▢主な登場人物
 卯之助(八百屋千成屋主)・おてい(元卯之助の女房
 狐火の甚五郎、蟹蔵、
 おまさ(煮売り屋、元山科屋の一人娘おまき)・升之助、
 宗助(紙屋相模屋番頭
 与兵衛(小間物屋里美屋主)・おはつ(与兵衛の女房)・お綱(与兵衛の母親)、

 万寿院、春月尼、
▢あらすじ等
 橘屋に駆け込んできた里美屋与兵衛の女房おはつ、離縁訴えの事情が曖昧、
   お登勢は、大きく溜め息をつくと、
   「駆け込みによる離縁は、他に道のひとつもない人のために有るのですから・・・
    よろしいですね」

   厳しい口調で言った。
 十四郎、藤七が、与兵衛の身辺や里美屋の内情を探索していくが・・・・、
 おはつが恩ある女将というおまさ(実は、おまき)とは・・、
 次第に、これまで一度も登場していなかった、お登勢の忠僕藤七の過去と繋がっていき、
 藤七が、世帯を持たずにいた理由も明らかになる。
 「へー!、そういうことだったのか」となる。
   藤七は、頷くと、もう一度おまきの口に流し込んだ。
   「おいしい・・・、藤七さん、おいしい・・・」
   「おまき・・・、すまなかった」
   藤七は、震える声でおまきに語りかけた。涙声だった。
   お登勢も貰い泣きして袖で目頭を押さえると、その目を十四郎に向けた。
   「・・・・・」
   十四郎は、いたわるような目で、お登勢を見返した。

「第二話 菊形見」
▢主な登場人物
 久米総一郎・知世(ちせ、総一郎の妻女)・舞(総一郎・知世の娘)
 梶平(元総一郎の下男)
 早瀬玄之丞、おくめ、
 巳之助・おかよ、百助、
 伊左衛門(紅問屋丸紅屋主)・伝吉(丸紅屋手代)・助七(丸紅屋手代)
 万吉、長次・風太郎、ごん太、北斗、

▢あらすじ等
 元久米総一郎の屋敷で下男だった梶平が、総一郎の妻女知世の窮地を救って欲しいと、
 橘屋にやってきたが・・・。
   「橘屋のお登勢は、血も涙もない女だったと、言われてしまいそうですね」
   お登勢は、梶平が帰って行くと、ぽつりと言った。
 何やら深い事情が有りそう?、十四郎、藤七が探索開始、
 早瀬玄之丞の正体は?、
 久米総一郎、助七、惨殺事件に絡んだ真相が明らかになり・・・、
   知世は、迎えにきた梶平に付き添われて、見送りに出た十四郎とお登勢に頭を下げた。
   (中略)
   「知世さま,お墓参りにこれを・・・」
   お登勢は手ずから切った庭の白菊数本を、知世の手に握らせた。
   「今度こそお幸せに・・・」

「第三話 月の萩」
▢主な登場人物
 市兵衛(唐物骨董屋伯耆屋主)・おみわ(市兵衛の後妻)・お梅(伯耆屋の女中
 おしな(市兵衛の先妻)
 与次郎(伯耆屋番頭)、仁平(伯耆屋下男)、山科太夫、忠次郎、倉蔵、
 徳蔵(鋳掛屋)、朝吉(摺師)、

 おらく(呉服太物屋山城屋女将)、
 弥助(植木職人)、
 松波孫一郎(北町奉行所与力)・文代(孫一郎の妻女)・吉之助、
▢あらすじ等
 姉御肌で自ら請「お楽講」を組む山城屋女将おらくが、
 伯耆屋の内儀おみわの救いの求める短い文を、橘屋に持ち込んできた。
 押し込み強盗に襲われ、「お楽講」が被害に遭った直後のこと、
 事件との関わりが有るのか無いのか?、十四郎、藤七が、探索開始、
 次第に、真相が明らかになり・・・、
 おしなが殺害され、さらに、仁平が殺害され、お梅もあわや・・、
   十四郎は夕闇せまる道を橘屋に急いだ。
   「お登勢殿は、どこにいるのだ」、
   (中略)
   「十四郎さま・・・・」
   体をねじった拍子に、足元が揺れた。
   お登勢は、十四郎に肩を抱かれたまま、目顔で月の光に照らされた白萩を差した。


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