図書館から借りていた 田中澄江著 「夫の始末」(大活字本)を 読み終えました。
表題「夫の始末」には 一瞬 ギョッとしてしまいますが 個性強く、パワフル、有る面 自己中心的な考えの持ち主 劇作家・小説家 絹の 生き様を描いた 4作品が収められている書です。
絹は 著者 田中澄江自身であること自明であり 著者自身の赤裸々な生き様を描いた 自伝的小説ということになるんでしょうか。
母親から 「結婚すると 女は不幸になる。一生独身でいるのが良い」と言われていた絹が 敢然と結婚。
やはり 個性の強い夫(著者の夫 田中千壬夫であること自明ですが) 動と静、葛藤、衝突、次々重なる不幸な事態、
「どこまでつづくぬかるみぞ」の結婚生活、それを逞しく乗り越えようとする姿が 描かれています。
著者 田中澄江は 随筆集「花の百名山」でも 知られている通り 山に対する憧憬は深く 登頂踏破 800座に及んだようですが 物語の随所に その山行の顛末等も 書かれています。
夫婦の在り方について 主人公 絹は 揺れながらも 夫と 張り合って 晩年を迎えますが 「夫の病気」の最後の文章で 夫は 「黙ってその痩せて背骨の見える背中を 絹の手に任せていた」 とあり、著者 田中澄江 と 田中千壬夫 夫婦の姿だったに違い有りません。
田中千壬夫は 1995年11月に 90歳で亡くなり 著者 田中澄江も その4年後に 92歳で亡くなっています。
「骨の始末」
「花の始末」
「夫の始末」
「夫の病気」