7月初めに実家に戻り、掃除をした。
仏壇の下の引き出しから、赤字で雑嚢と書かれた小さな箱(袋ではない)が出てきた。その中に電報が入っていた。
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〇〇〇〇サマ
「ワレ・イチジシケンニゴウカクセリ」〇〇〇〇
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!?!?
大学4年生の時、僕は埼玉県の教員採用試験を受験した。8月中ごろ、1次試験の結果が下宿先に届いた。合格したことを、なぜか電話ではなく、電報で実家に送ったのだ。
・・・忘れていた。
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電報には以下の情報が幅1㎝ほどの紙に印刷されている、それが、日本電信電話公社の電報用のB6サイズほどの台紙に、貼り付けてある。現在の電報とは違い、きわめて事務的なものである。
以下のことが「書かれて」いる。
発信局の情報(下宿先の近所の郵便局から出した。)
宛先住所(実家の住所)
受取人氏名(家にいるはずだからか、母親宛)
電信文(上記のもの)
すべてカタカナ、漢数字のみ。縦書きである。カナ文字のタイプライターで、インクリボンを用いている。テレタイプかもしれない。台紙も電信文等を印刷した紙も普通の紙。もう30年以上経過しているのに、消えずに残っていた。PCで使うレーザープリンタはもちろんのこと、感熱紙もおそらくまだ一般化していない時代のものである。もしもこれらのもので印刷したとして、30年間残るだろうか。レーザープリンタはともかく、感熱紙はまず無理だろう。そんなことを考えた。
・・・情報が残っていることに、おどろいた。
それ以上に、親はそれをとっておいてくれたのだ。
・・・かなり、うれしかった。