世界の紛争地帯を飛び回るアメリカ軍特殊部隊のクラヴィス・シェパード大尉に、ジョン・ポールという謎のアメリカ人を追跡せよとのミッションが課せられる。 世界各所で起こる紛争や虐殺の影には、優秀な言語学者だったというジョンの影がちらついていたが、いつも忽然と姿を消してしまうという。 |
ジョンがチェコに潜伏しているという情報を得たクラヴィスは、追跡を開始するが......(映画.com)
公開までの紆余曲折等はネットのそこここに出ているので、あえて取り上げない。絵のことと、軍事技術(ギミック)について書こうと思う。
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登場人物、ジョン・ポールの顔が、とても無機質に見える時がある。人間らしさを感じない、無感動で感情のぶれがないキャラクターだ。
・・・これは、かなり気味が悪く、印象的だった。
ものがたりの舞台は、2001年のアメリカ同時多発テロ事件、そして手製核爆弾によるサラエボ消失を経た後の世界である。その世界のテクノロジーとして、当然のように存在する人工筋肉は目を引いた。だが、最も目につき、印象に残ったのは特殊部隊の兵士たちへの戦闘能力向上(エンハンスメント)である。
戦闘時の感情を調整することや、痛覚のマスキング(「痛みを感じること」)等は、現実世界でも、薬物を用いて一部実施されていると言える。ひょっとしたら、この作品のようなことを、形を変えて研究しているのではと思えるものだった。兵士の目に点眼薬のように装着するナノディスプレイ、攻殻機動隊に出てくる光学迷彩とは理由付けがやや異なるが、環境追随迷彩などもおもしろいなあと思った。
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映画評のサイトなどを見ると、本作は「原作読了」でないとわかりにくいという批評があるようだ。
この作品、映画化の情報を得たのはかなり前である。僕は映画を見る時、原作が有名であっても、「本」と「映画」は別ものと考える傾向がある。原作を読んでから映画館でむことは少ない。本作もそうだ。
見おわって感じたことだが、原作読了でないとわかりにくいか否か、正直わからないと思った。単独の近未来SFとして、充分楽しめる作品だと思う。ただし、生徒にはすすめないかな。