全英連参加者のブログ

全英連参加者の、言葉やその他諸々についての雑感... 不定期更新です。

あの頃、君を追いかけた

2018-10-28 04:00:00 | 全英連参加者 2018

「あの頃、君を追いかけた」ポスターイメージ 地方都市の高校生・水島浩介(山田裕貴)は、仲間たちと馬鹿騒ぎを繰り返す気ままな生活を送っていた。ある日、彼の悪ふざけで授業がストップしてしまう。激昂した先生は、浩介の監視役にクラスで一番の優等生である早瀬真愛(齋藤飛鳥)を任命。真面目を絵に描いたような真愛の言動をうっとうしく思う一方、中学から憧れの存在でもあった彼女に心が揺れ動く浩介。教科書を忘れた真愛を浩介が助けたことから……。
 MOVIXの作品紹介である。

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 オリジナルの台湾映画の存在は知っている。日本公開は2013年。かなり見たかった作品だが、チャンスがなかった。本作はそのリメーク作品、ものがたりの舞台を2000年代の地方都市におきかえている。
 主役キャストの山田裕貴さん、申し訳ないがほとんど存じ上げない。ヒロイン役の齋藤飛鳥さんは乃木坂の人という程度の知識。二人が、どんなものがたりを見せてくれるか、楽しみにしていた。
 20日のムービックスデーに、いつものMOVIXさいたまに出かけた。午前中に川口で作品を見たあとで、食事をして午後からである。

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 ひとことで言うことが難しい作品だが、あえてなら、

 「思い」はすれちがう。
  「願い」はかなわない。
   「時間」だけは過ぎていく。
    若者は否応なく「大人」にならなければいけない。

 そんな18歳の男女7人の10年間のものがたり。

 、、、である。

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 齋藤飛鳥さんありきといわれるだろうが、事実だから致し方ない。
 高校時代の姿も、医大生になったところも存在感ばっちりである。彼女の実年齢(20、撮影時は19歳)相応の、存在感がいい。

 設定にはややむりなところもある。
 彼女の演じた真愛だけではないが、登場人物が全体的に、現実の日本の高校生は、ここまでキャラ立ちしてはいないと思う。でも、台湾映画ベースなので、多少のずれ、違和感は目をつぶろう。大事なのは、作品のメッセージだから。

 本作のメッセージ、高校教師の僕が感じたこと。
 当たり前のように過ぎていく日々が、5年後10年後一人一人の人生の基礎になる。将来に否応なくつながり、それを左右する。
 ある瞬間に何の役に立つかわからないことも、それが受験に関係ない数学Ⅲでも、いつか必ず実を結ぶ。だからこそ現在この瞬間を大事にしなくちゃいけないんだ。作品全体を通してそんなメッセージを僕は感じることが出来た。

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 嫌なことだが、職業病が顔を出してしまった。
 7人が通う高校の生徒指導の様子。時代が違う感じがした。

 卒業式~国公立大入試~試験後の海辺の7人~合否発表~大学生になるまでは、映像の季節感がややおかしい。主人公が東京に旅立つシーン、どう見ても初夏である。
 ここはなんとかしてほしかった。

 台湾のシーン
 印象的なシーンだが、真愛と浩介は友だち以上恋人未満では?
 やや唐突感を感じた。

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 ラストの評価が高い作品である。
 不器用で自分の想いを伝えられずにいた浩介、そんな彼の想いを期待し続けた真愛。ラストは本当に切ない。でも、それもこれもすべて5年前10年前があればこそ。あのときを大事に生きたから、もがきながらも、懸命に過ごしたから。切ないけれどそれが現実。つらくても、認めなければ未来へは進めない。そう思えた。

 これは、生徒に薦めようと思う。


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