考古学者のブレッソンは、“ブレッソンダイアリー”と名付けられた謎を遺(のこ)してこの世を去る。その謎を解き明かした者は巨万の富を得られるといわれていて、第2次世界大戦中にはナチスがその行方を血まなこになって追っていたとか、怪盗ルパン一世でさえ盗めなかったなどとも伝わる秘宝を、ルパン三世が狙う。(MOVIX作品紹介) |
フルCGによるルパン三世アニメ新作、最初に取り上げたのは、5ヶ月ほど前(7/12)である。どんな作品になるか期待していたし、絶対見ようと決めていた。Trailerの印象が何となくだが、「『カリオストロ』かな?」という印象を持ってでかけてきた。
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ストーリー展開については書かないことにする。ただ、公式サイトなどで開示されていることはちょっと書いておこう。
物語の軸となるのは、ルパンの祖父・怪盗アルセーヌ・ルパンが唯一盗み出せなかった因縁のお宝、ブレッソン・ダイアリーの争奪戦。この日記には、ある謎を解き明かす秘密が書かれている。機械仕掛けの日記帳をめぐって、ルパン一味と本作のヒロインのレティシア(CV,広瀬すずさん)との活躍のものがたりである。
ダイアリーの謎を解くと、ものすごいお宝が手に入る。そのお宝は実はとんでもないモノだった。『天空の城』的な。。。
ここまでにしよう。
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雑感
ものがたり世界について
ざっくり一味と書いてしまったが、ルパンの他、次元大介、石川五ェ門、峰不二子が登場する。そして今回も「埼玉県警」の文字の入ったパトカーと、ICPO出向中の銭形警部が登場する。
絵はテレビシリーズのいつの時期を基準にしているか微妙なところだが、フルCGの利点、限界をそれぞれ感じた。ただCVsは全く問題なく、ザ・ルパン一座という感じである。
ルパンとレティシア
二人の関係は、『カリオストロ』でのルパンとクラリスとの関係へのhomageだろう。このこと自体ファンの賛否が真っ二つに分かれるに違いない。
本作は『カリオストロ』リメイクではない。homageとしても、レティシアはクラリスほどには弱くはない。彼女もクラリス同様に逆境にあり、懸命そこから抜け出そうとする。そんな彼女へのルパンの言葉は、どこか『カリオストロ』で見せた「優しいおじさま」の雰囲気がある。ラストの桟橋での別れのシーン、それを追う銭形警部たちのシーンは、あの台詞こそないものの、『カリオストロ』のまんまである。
広瀬すずはよかった
本作のものがたり展開は、「ベタ」だと思う。軽い、予定調和的という批判はあるだろう。でも、ルパンを見にでかけて、どんよりした気持ちで劇場を出たい人はいるのか。答えはNoだろう。万人受けのものがたりだが、安心して結末を待てる。ルパンは軽やか、仲間ともめてもやっぱり最後は一緒。そんなしっかりできあがった一味にヒロインとして登場するのがレティシアで、CVが広瀬さんである。
本作はプレスコ(音声事前録音)で作られている。録音は2年前なので、「打ち上げ花火」の前後だろうか。上手だと思う。事前に彼女がCVである情報は得ていたが、聞いていて何も気にならない。普通に20代女性のキャラクターである。
各キャラクターのデザイン
特に印象的だったのは次元大介が帽子をかぶっていない時。額と両目がこんなにきちんと描かれた次元を見た記憶がない。不二子は肌の描写がきれい。フルCGでここまでできるのかと思った。ルパン、五ェ門、銭形はみんなそれぞれフルCGだとこんな感じ...の印象である。
今回ちょっと気になることに気がついた。僕はCGで描かれたキャラクターの「目」が怖いと感じる時があるようだ。本作のルパンが目を見張るシーンがそうだ。トイストーリーシリーズのウッディの目も妙に気になる。本作の他のキャラクターは何も感じないのに、丸く見開いた目がダメなようだ。理由はわからない。
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やれ「カリオストロ」に似ているとか、「インディー・ジョーンズ」シリーズに似ているとか、いろいろ言われる作品だろう。でも、それはルパンだからこそ。僕は本作は好きだし、楽しい時間を過ごせたと思う。
☆4コはつけていい。