![]() |
連邦政府から19もの州が離脱したアメリカ。テキサスとカリフォルニアの同盟からなる西部勢力(WF)と政府軍の間で内戦が勃発し、各地で激しい武力衝突が繰り広げられていた。 「国民の皆さん、我々は歴史的勝利に近づいている---。 |
就任 “3期目” に突入した権威主義的な大統領はテレビ演説で力強く訴えるが、ワシントンD.C.の陥落は目前に迫っていた。ニューヨークに滞在していた4人のジャーナリストは、14ヶ月一度も取材を受けていないという大統領に単独インタビューを行うため、ホワイトハウスへと向かう。だが戦場と化した旅路を行く中で、内戦の恐怖と狂気に呑み込まれていくー
+++++ +++++
米国合衆国憲法[1787年成立](「アメリカンセンターJAPAN」より引用)
第3条[新州および連邦財産条項]
[第1項]連邦議会は、新しい州がこの連邦へ加入することを認めることができる。但し、連邦議会および関係する州の立法部の同意なしに、既存の州の領域内に新州を形成し、または2つ以上の州もしくはその一部を合併して1つの州を形成することはできない。
修正第10条[州と国民に留保された権限][1791年成立]
この憲法が合衆国に委任していない権限または州に対して禁止していない権限は、各々の州または国民に留保される。
+++++ +++++
合衆国憲法には新州が連邦に加盟する場合の規定がある。離脱についての規定はない。州について禁止されているのは、既存の州内に新しい州を作ることと、複数の州が合併して新州を作ること。この二つだけ。それも「連邦議会および関係する州の立法部の同意なしに」と規定されている。
既存の州の連邦からの離脱を禁止した条項はない。南部11州が1861年に連邦を離脱した時、南部人たちは、連邦加盟時と同様、脱盟(離脱)も州議会決議と州民投票で決定できるものと信じていたという。現在では連邦最高裁の判例で「できないこと」とされている。しかし、本作のように力ずくでとなると...
+++++ +++++
感想
期待(予想)より、内戦勃発にまで崩れた政治、社会の描き方が薄い感じがした。
本作はニューヨークにいたジャーナリストのジョエル、フォトジャーナリストのリー、メンターのサミー。リーにあこがれるフォトジャーナリストを目指すジェシーの四人が、ニューヨークからワシントンD.C.に出向き、(憲法を改正して?)3期目をつとめる大統領を取材に行くものがたり。
どういう経緯で大統領三期が可能になったのか、カリフォルニア州、テキサス州がWFを結成したいきさつ、実際の内戦の様子もそれほどには描かれない。「もうそうなっている」という感じである。内戦で多くの国民が死んでいる。そんな中FRESSのビブス着用して旅と取材を続ける四人。彼等は行く先々で危険な目に遭う。
最後はWFがワシントンD.C.を落とし、ものがたりが終わる。何か「もやもや」とした終わり方だと思います。内乱の勃発理由も最後までハッキリしない。この戦争は、明白な大義がそもそも見出しにくい。ひねくれた見方をすれば、こんな終わり方もありなのかもしれません。
ジェシーを演じたケイリー・スピーニーは実年齢(26)よりも若い(23)の設定ですが、それよりも幼く見える感じ。修羅場を潜り抜け、雰囲気が変わりますが、少々苦しい感じです。
なお、本作の監督アレックス・ガーランド(Alex Garland)は「エクス・マキナ」の監督です。