たいそう評判がいい。6年前の「カメラを止めるな!」のような評判である。
これまでの映画鑑賞計画では、一切触れていない。当初は単館公開。その後も県内の劇場では、1日1,2回の上演、なかなか時間がとれず、鑑賞できなかった。10月31日Movixさいたまで鑑賞できた。
まず最初に。。。この作品大変面白い!
ものがたりの大事なポイントは避けて感想を書くことにしたい。
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主人公:新左衛門(山口馬木也)
もしも自分が未来に飛ばされたら...大変だなあ。どうなるんだろう。見ながらそう考えた。
山口の演じる新左衛門は会津なまりが抜けず、言葉遣いも現代人とはやや違う。周囲の人は本物のまげを結い、身なりは武士の彼を、撮影所での事故が原因で一時的記憶喪失状態の大部屋役者と見ている。しかし新左衛門は、自分が140年前から現代に飛ばされてきたことを自覚している。そのことを住職夫妻にも、助監督の「優子どの」にも明かしていない。
新左衛門がまじめにものごとに取り組めば、その分おかしさ、面白さがじわじわと伝わる。
山口は結構ベテラン俳優。フィルモグラフィーを見ても出演作多数。でも、僕は初注目の俳優さんである。
山本優子:沙倉ゆうの
ものがたりのヒロインで助監督役である。このものがたりの進行役。
「優子ちゃん」(周囲の呼び方)、「優子どの」(新左衛門の呼び方)は沙倉ゆうのさん。全く初めましての女優さん。本作が映画出演4作目。
山本がスクリーンに出てくると、パッと場面が明るくなる。沙倉さんなかなか光る人物である。
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ものがたりは、後半往年の時代劇スター風見恭一郎が「時代劇復活」を目指し、映画制作を発表するところから大きく動き始める。彼は斬られ役の新左衛門に目を付ける。新左衛門は準主役の大抜擢である。
風見恭一郎...実は(ここまで)
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殺陣ではない
命のやりとりを描くフィナーレ
岡田准一主演の「散り椿」を’18年に見たとき、僕はこんなことを書いている。
岡田さんの演技、殺陣は必見である。身のこなしの早さ。(中略)榊原采女とのまさに真剣勝負。二人の距離の近さは怖さを感じるほどで、背景に映り込んでいる散り椿、足下の花びらのきれいさとの対比が目を引いた。
本作にも殺陣のシーンがある。新左衛門と恭一郎のそれは、まさに命のやりとり。殺しあいそのもの。すさまじい映像である。
ここはホントにビックリした。
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「カメ止め」の時にも書いたことだが、映画はホントにプロットだと思う。《制作費2,600万円》ということが注目されているが、この金額でもこんな面白いものができる。
令和6年下半期。面白い作品に出会えた。楽しい。お薦めである。(文中敬称略)