
久しぶりに新大阪駅へ行くとずいぶんと模様替えされていることにびっくりした。
とりわけびっくりしたのは弁当売場に並ぶそのラインナップの驚くほどの豊富さなのであった。
この日、私は横浜からのお客さんを見送って自宅に帰るべく大阪駅方面の電車に乗ろうと在来線の改札口から中に入った。
もともと新幹線側と比較して殺風景な在来線コンコースであったのが、一変。
何やら賑やかなショッピングとグルメの一大ゾーンに生まれ変わっていたのだった。
中でも目を惹いたのが「弁当売場」。
その種類は100を遥かに超える豊富なバリエーション。
後に知り合いに教えていただいたところによると1個3万円のステーキ弁当なるものも存在するのだという。
もうそれは20メートル先から眺めても陳列ケースに並ぶ弁当の数々は絶景なのであった。
これだけあるとやはり弁当を買おうという人はここに並んでしまう。
実際かなりの人数の行列ができていたのだが、私はこれだけあると何を買うのかかなり悩むのではないかと思った。
そこで思い出したのは米コロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授の著書「選択の科学」。
ここではジャムの売上についての調査が書かれていた。
それはジャムはバリエーションの多いほうが少ないものと比較しすると「売れにくい」ということが語られていたのだ。
選択肢があまりにも多いとかえって消費者は買わなくなるというものなのであった。
その時私は「なるほど」と思った。
書店で本を物色しているときにあまりに多いと買うのが嫌になるときがあるが、ジャンルが絞られ冊数もそれほどではない書店の方が買いやすいと従来から思っていたことと一致したからだった。
ところが新大阪駅の弁当売り場にはそのルールは通用しない。
眺めているだけで楽しくなるような豊富なバリエーション。
どれを食べようか想像していると「思わず買ってみたくなる」そんな世界。
食欲と連携させると「選択の科学」のルールは通用しないのかもしれない。
これひとつづつ毎日食べても半年は掛かりそうなので、それもまた新大阪駅訪問の楽しみになること間違いない。
| Trackback ( 0 )
|
|
|