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東京から来た取引先の部長さんが、
「奈良って大阪から近いね...びっくりしましたよ」
と言われるまで、大阪人である私は地方の人にとって京都と奈良、神戸は大阪から結構距離のあるところという印象が強い場所であることをちっとも知らなかった。
むしろその一言に、
「えっ」
と驚いたのであった。
関西の都市ネットーワークは大阪を中心に西は神戸、東は京都と奈良、南は和歌山と四方八方に伸びている。
和歌山を除いて所要時間は30〜40分程度。
かなり近距離だ。
一方、街の個性は色とりどり。
どの駅を下りても印象がかなり違う。
関東では千葉も埼玉も横浜もどこもかしこもミニ東京になってしまっているが関西では間違っても京都、奈良、神戸、和歌山がミニ大阪になることはない。
そんなことはありえない。
神戸と京都なんかはどちからというと、
「大阪とは別個」
と割り切っており、一緒にされるとむしろ嫌な顔をする。
高校野球のシーズンや阪神タイガースが好調だとテレビやラジオで、
「今日の甲子園、大阪地方は....」
などと放送されると、神戸はおろか全ての兵庫県民が、
「甲子園は兵庫県!」
と訂正する。
京都に至っては今もなお、
「日本の首都は京都」
という信じて疑わない文化があるので1500年も前に一時的に都になっただけの大阪と一緒にされることは神戸にもまして屈辱だと思っている。
「いっしょにせんとおくれやす」
なのだ。
そこへいくと奈良は穏やかである。
奈良が都だったのは、はるか昔なので京都のように首都意識は無い。
さらに奈良県は産業が農業や観光が第一で、多くの県民は日中は大阪へ働きに出ている。
典型的なベッドタウンなのだ。
この至近距離に5つの街があることに目をつけたのが関東の人ではなく外国人。
関西を訪問する外国人旅行者が増加の一途を辿っており、とりわけ大阪滞在の外国人は半端ではなくなった。
このため心斎橋、道頓堀、宗右衛門町、新世界などミナミ方面を中心に、大阪はあたらかもアジアの観光都市といった雰囲気になっている。
正直、大阪人の私としてはウンザリすることもないではないが、街が活気に満ちて商売も繁盛するのであれば歓迎しなければならない現象だ。
彼らの多くは大阪に滞在し日中は京都、奈良に足を運び、大阪で夜遊びするというのがスタイルらしい。
この中でも奈良は京都と比べると地味な雰囲気が濃厚だが、その長き歴史に裏付けされた数多くの神社仏閣を中心にした奥深い文化遺産が主に欧米の旅行客をひきつけ増加させているのだという。
昼間は奈良で大仏さんを参拝し、鹿と戯れ、団子や葛きりに舌鼓を打つ。
で、夜は心斎橋や茶屋町で大騒ぎ。
考えてみれば関西アーバンネットワークはビジネスよりも観光に向いているのかもしれない。
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