力を抜いて、
secret talk69 安穏act.6 ―dead of night
いつものように新宿、いつもどおり途中下車。
でもいつもと違うのは「さよなら」が無い事。
「湯原、」
呼びかけて改札口、君がふりかえる。
喧騒にぎわう行き交う人、でも瞳は君だけ交わす。
長い睫みひらいて見あげて、黒目がちの瞳が映す。
ほら?この自分だけ映して、
「なに…宮田?」
黒目がちの瞳が呼んでくれる、この自分を。
だから欲ばりたくなる。
―名前、呼んでくれたらいいのにな?
名前を呼んで?そうしたらもっと近づける。
そんな願い唇ふるえて、でも違う言葉に微笑んだ。
「昼、なに食べたい?」
たぶんまた同じだろうな?
そんな「また」鼓動あわい真中、君の唇ぼそり言った。
「ラーメン、」
「またかよ湯原?」
笑って、ほら鼓動あわい熱。
やわらかな温かな感覚しみてゆく、これは何だろう?
「宮田が連れて行く店、旨いから…」
ほら呼んでくれた、名字だけれど。
名前じゃない、それでも唇ついほころぶ。
「大体もう行きつくしたぞ、」
「そう?」
あいづちの横顔、頬なめらかに陽ざし照る。
夏の光きらめく肌きれいで、離せなくなる。
―きれいだ、…男なのに俺、どうして、
男が男に「きれいだ」と想う、そんなこと知らない。
でも想ってしまう自分がいる、想い見つめるまま笑いかける。
「そうって湯原、数えてみろよ?俺と一緒にラーメン行くの何度めだよ、」
何度め?そんなこと知っている。
君も知っていたらいい、けれど静かな声ぼそり訊いた。
「…なんどめになる?」
やっぱり知らないんだ?
「そっけないなあ、」
がっかりするな?
でも仕方ない納得に黒目がちの瞳が見あげた。
「そんなつもりないから」
それ、どういう「ないから」だろう?
※校正中
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英二23歳side story追伸@第6話 木洩日
secret talk69 安穏act.6 ―dead of night
いつものように新宿、いつもどおり途中下車。
でもいつもと違うのは「さよなら」が無い事。
「湯原、」
呼びかけて改札口、君がふりかえる。
喧騒にぎわう行き交う人、でも瞳は君だけ交わす。
長い睫みひらいて見あげて、黒目がちの瞳が映す。
ほら?この自分だけ映して、
「なに…宮田?」
黒目がちの瞳が呼んでくれる、この自分を。
だから欲ばりたくなる。
―名前、呼んでくれたらいいのにな?
名前を呼んで?そうしたらもっと近づける。
そんな願い唇ふるえて、でも違う言葉に微笑んだ。
「昼、なに食べたい?」
たぶんまた同じだろうな?
そんな「また」鼓動あわい真中、君の唇ぼそり言った。
「ラーメン、」
「またかよ湯原?」
笑って、ほら鼓動あわい熱。
やわらかな温かな感覚しみてゆく、これは何だろう?
「宮田が連れて行く店、旨いから…」
ほら呼んでくれた、名字だけれど。
名前じゃない、それでも唇ついほころぶ。
「大体もう行きつくしたぞ、」
「そう?」
あいづちの横顔、頬なめらかに陽ざし照る。
夏の光きらめく肌きれいで、離せなくなる。
―きれいだ、…男なのに俺、どうして、
男が男に「きれいだ」と想う、そんなこと知らない。
でも想ってしまう自分がいる、想い見つめるまま笑いかける。
「そうって湯原、数えてみろよ?俺と一緒にラーメン行くの何度めだよ、」
何度め?そんなこと知っている。
君も知っていたらいい、けれど静かな声ぼそり訊いた。
「…なんどめになる?」
やっぱり知らないんだ?
「そっけないなあ、」
がっかりするな?
でも仕方ない納得に黒目がちの瞳が見あげた。
「そんなつもりないから」
それ、どういう「ないから」だろう?
※校正中
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