地上の炎環、天上の華

長月二十三日、曼珠沙華―reunion
赤い花、そして白い秋。
「今年も咲いたな、」
真紅ゆらす光、ならんだ道にあなたが笑う。
踏みしめる靴底あわい熱、まだ燻る夏が滲みだす。
だってそうだ花、まだ夏の色。
「うん、もう咲いたね…」
応えて鼓動そっと軋む。
もう咲いてしまった、花つらなる道に低い声が笑う。
「秋だな、」
「秋…だね、」
相槌ひそやかに吐息こぼれる、もう咲いたから。
咲いた色は夏の赤、誘う風まだ夏の熱、けれど頬ふれる香が甘い。
「お、金木犀も咲いた?」
ほら、あなたにも香るんだ。
そうして訪れる限りの時、低い声きれいに微笑んだ。
「また帰って来るな、」
また、来る?
その言葉きっと信じていい、いつもそうだから。
だから今夏も訪なう時の涯、約束のまま見送って。

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9月23日誕生花マンジュシャゲ曼珠沙華

長月二十三日、曼珠沙華―reunion
赤い花、そして白い秋。
「今年も咲いたな、」
真紅ゆらす光、ならんだ道にあなたが笑う。
踏みしめる靴底あわい熱、まだ燻る夏が滲みだす。
だってそうだ花、まだ夏の色。
「うん、もう咲いたね…」
応えて鼓動そっと軋む。
もう咲いてしまった、花つらなる道に低い声が笑う。
「秋だな、」
「秋…だね、」
相槌ひそやかに吐息こぼれる、もう咲いたから。
咲いた色は夏の赤、誘う風まだ夏の熱、けれど頬ふれる香が甘い。
「お、金木犀も咲いた?」
ほら、あなたにも香るんだ。
そうして訪れる限りの時、低い声きれいに微笑んだ。
「また帰って来るな、」
また、来る?
その言葉きっと信じていい、いつもそうだから。
だから今夏も訪なう時の涯、約束のまま見送って。

曼珠沙華:マンジュシャゲ、花言葉「情熱、独立、再会、諦め、悲しい思い出、想うはあなた一人、また会う日を楽しみに」
白曼珠沙華「想うはあなた、また会う日を楽しみに」
白曼珠沙華「想うはあなた、また会う日を楽しみに」


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