面影、あなたへ香る
あわく燈る、あなたへの時間。
「香らないのね…」
こぼれた想い唇かすめて、けれど花は香らない。
あわく純白きらめく花、まるで匂いたつ清雅、そのくせ香らないのは止まったから?
『匂いやかな花って僕は想うんだ…凛として、優しくて、まるで』
ほら、なつかしい声が笑ってくれる。
あなたの声だ。
『まるで…みゆきさんみたいで』
恥ずかしがりな声、穏やかで慎ましくて、そのくせ透るテノール。
まるで少年のようだった、あなたの方こそと幾度なんど想ったろう?
「ロマンチストなんだから、ほんと…」
声こぼれて追憶が微笑む、もう戻らない瞬間。
もう帰られない、変えられない、あの幸福の時。
「ほんと…すきよ、あなた、」
微笑んで花こぼれる、夕闇あわく抱こめる。
もう香らない、けれど褪せることない想いの貌、なつかしい愛おしい夫婦の時。
『すきだよ、』
ほら追憶が微笑む、あなたの声、瞳。
それから唇かすめて香る、あなたの好きな夕闇ひそやかな風。
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10月7日誕生花シュウメイギク秋明菊
大月七日、秋明菊―twilight
あわく燈る、あなたへの時間。
「香らないのね…」
こぼれた想い唇かすめて、けれど花は香らない。
あわく純白きらめく花、まるで匂いたつ清雅、そのくせ香らないのは止まったから?
『匂いやかな花って僕は想うんだ…凛として、優しくて、まるで』
ほら、なつかしい声が笑ってくれる。
あなたの声だ。
『まるで…みゆきさんみたいで』
恥ずかしがりな声、穏やかで慎ましくて、そのくせ透るテノール。
まるで少年のようだった、あなたの方こそと幾度なんど想ったろう?
「ロマンチストなんだから、ほんと…」
声こぼれて追憶が微笑む、もう戻らない瞬間。
もう帰られない、変えられない、あの幸福の時。
「ほんと…すきよ、あなた、」
微笑んで花こぼれる、夕闇あわく抱こめる。
もう香らない、けれど褪せることない想いの貌、なつかしい愛おしい夫婦の時。
『すきだよ、』
ほら追憶が微笑む、あなたの声、瞳。
それから唇かすめて香る、あなたの好きな夕闇ひそやかな風。
秋明菊:シュウメイギク、花言葉「忍耐、耐え忍ぶ恋、薄れゆく愛、褪せていく愛、多感な時、淡い思い」
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