萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

山岳点景:標高千七百の花、夏

2015-08-04 22:32:00 | 写真:山岳点景
花山の夏



山岳点景:標高千七百の花、夏

上は浅葱斑、アサギマダラと鵯花ヒヨドリバナです。
標高1,700メートル山梨県某所、この高原は花と蝶の楽園です。



下は緑豹紋ミドリヒョウモンと四葉鵯ヨツバヒヨドリ。
一枚目のヒヨドリバナとヨツバヒヨドリはよく似ています、見分けポイントは葉です。
ヒヨドリバナは葉が対生=二枚向きあい、ヨツバヒヨドリは3~4枚が輪生=茎ぐるりに生えます。



ここは一見したところ緑の草原、
けれど草叢には無数の色彩が花ひらいています。



姫虎の尾ヒメトラノオ、日本固有種で山地の植物です。
蕾は紺色がかった紫、咲くと薄紫やわらかな花になります。



紫で目立つのは靫草ウツボグサ、
シソ科の花ですが確かに兜型+唇型の花は紫蘇の花と似ています。



白いのは薄雪草ウスユキソウ。
地味な花ですが、緑の草叢に白い姿は清楚で惹かれます。



下野シモツケ、初夏から晩夏の山でよく見る花です。
花の形が京鹿の子と似ています、花色は白から濃紅まで濃淡さまざまです。



シモツケと似ているのが下野草シモツケソウ、
よく見ると花がふわふわしたカンジでシモツケの花とはだいぶ違います。



これ↓は立風露タチフウロ、
ハクサンフウロと似ていますが花びらの濃色の脈はタチフウロだと思います。



河原撫子カワラナデシコの薄紅は緑に映え見つけやすいです。



撫子は秋の七草、同じく七草の女郎花オミナエシも優しい黄色を見せてくれます。



黄色つながりで金梅草キンバイソウ(たぶん)
中部と近畿地方の山に咲く高山植物で、栽培種が売られてもいます。



巴草トモエソウも咲いていました。
キンバイソウと似ていますがオトギリソウの一種で、日当たりのよい草地に生えます。



林縁で黄苑キオンを見ました、木洩陽のスポットライトが映えます。



下は丸葉岳蕗マルバダケブキ、ツワブキを巨大化させたような花です。
葉は食用の蕗とよく似ています、が、まったくもってマズイそうです、笑



くるんと丸い花×橙色が特徴的なのは小鬼百合コオニユリ、
低山帯の日当たり好い草原に生えます、よく似た鬼百合との違いは葉の付根にムカゴがありません。



渋いオレンジ色は紅輪花コウリンカ、
レッドデータブック全国版で絶滅危惧II類ですが、この草原で多く見られます。



吾亦紅ワレモコウの花です、これを見ると秋だなと思います、笑



八月は夏なイメージですが旧暦8月の葉月は秋、
その季節は山に咲く秋花たちに見られます。



夏山の植物観察は草薮シーズン=藪漕ぎアリです。
藪漕ぎといえば虫刺され&草によるカブレがつきもの、かならず長袖+パンツで歩いてください。
また藪はクマなど野生獣が隠れるポイントでもあります、熊鈴必携+話し声などでクマに「ここ通るよ」宣言して歩いて下さい。

よく鳥や虫の撮影をしたい人は音が出ることを嫌います、だけど山の住人と遭遇するリスクはヤラカシタ本人だけでは済みません。
写真撮影中など沈黙している時に野生獣が飛びだしてしまう→驚いて襲うなんてコトは常識です、くれぐれ慎重に楽しんでください、笑

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