※念のためR18(露骨な表現は有りません)
無垢のままで、

secret talk9 愛逢月act.2―dead of night
ルームライトの優しい部屋で、周太は鞄に紙袋をしまった。
かちり、鞄の留め金をかける。その音を聴くと英二は長い腕を小柄な体に伸ばした。
「周太、面白がる身体検査するよ?」
笑いかけて抱きしめて、そっと薄紅の頬にキスをする。
キスに黒目がちの瞳は嬉しそうに微笑んで、穏やかな声が訊いてくれた。
「体重計とかいる?洗面室にあるけど、」
まだ普通に身体検査だと思ってる?
そんな無垢な様子に時めきます、色々したくなって困るのに?
可愛くて困りながら抱きしめた腕をほどいて、その胸元に指を伸ばした。
ホリゾンブルーのカーディガンへと指をかけてボタンを外す、その動きに周太の首筋が赤くなりだした。
「あの、身体検査って服ぬぐの?…それならじぶんでするけど、」
「大丈夫だよ、周太。俺が先生で検査するんだからね、言う通りにしてて?」
笑いかけた先、黒目がちの瞳が困ったよう見上げてくれる。
恥ずかしいな?そんな瞳で見つめて、けれど素直なまま頷いてくれた。
「はい…いうとおりにします、せんせい?」
この「せんせい?」ってちょっとヤバいんですけど?
こんな素直に頷いて頬染めて「せんせい?」なんて、やっぱりプレイだ?
こんなことした事は今まで無いけれど今、楽しい。こんなこと喜んでいる自分が可笑しい。
可笑しくてつい笑ってしまいながら恋人からニットを脱がせると、ベルトを外してスラックスのウエストに手を掛けた。
「あ、したもぬぐの?」
「当たり前だろ、周太?身体検査なんだから、」
当たり前じゃないけどね?
そう心で言いながら黒藍の生地を引きおろすと、伸びやかな脚は靴下だけになった。
その姿を眺めた心引っ叩かれて、唇から声がこぼれおちた。
「…かわいい、」
ほんと可愛い、どうしよう?
すこし大きい白いカットソーが腰まで隠して、ボクサーパンツが見え隠れしてチラリズムだ。
体毛の薄い脚は肌がきれい、すらり伸びやかな脚は靴下だけ履いている、それが逆にエロい。
いつも薄暗いなか脱がせて抱いてしまうから、途中経過を見て楽しむことが無かった。
それを今、心底勿体なかったと気付かされて、ほら首筋に熱が昇りだす。
―鼻血出たらどうしよう?
そんな心配を真剣にしたくなる、興奮しすぎないよう気を付けないと?
こんな自分は馬鹿だな?そう思いながらも恋人の今後を思うと「面白がって身体検査」を真面目にやった方が良い。
そんな大義名分も背中を押して、英二はベッドを指さすと可愛い生徒に笑いかけた。
「じゃあ、診察台に座って?」
「はい…」
素直に返事してベッドの縁に腰掛けてくれる、けれど顔はもう赤くなっている。
それでも素直に従っているのは、やっぱり周太はまだ幾分酔っているのかもしれない?
普段ならこの段階で全力で恥ずかしがって、きっと逃げてしまうだろうから。
―でも、この後すぐ逃げようとするかもな?
ひとりごと心に笑って、英二はベッドに向かい合って椅子を置いた。
そこに座り婚約者に向き合うと、赤い貌へと微笑んだ。
「診察を始めるな、俺が言う通りにしてくれる?」
「はい…せんせい?」
また「せんせい?」が出た。
なにこれ可愛い、なんで何度も言ってくれるのかな?
やっぱり周太は酔っぱらってるよね、こんなこと何度も言うなんて?
こんな呼び方なんどもされたら、本当に自分も「せんせい」モードになってしまいそう?
―もう、どっぷり妄想で楽しんじゃおうかな、
心つぶやいて、初めての感情が起きあがる。
シチュエーションプレイは自分も初体験、そんな「初めて」もこの恋人に捧げたいな?
そんな欲求に英二は、自制心が半分まで折られる音を聞いて微笑んだ。
「では湯原くん、胸を拝見しますね。服をあげてくれますか?」
いま「せんせい」なら名字で君づけだろうな?
そんな設定に微笑んだ英二の前で、素直に白いカットソーをたくし上げてくれる。
本当に診察のよう素肌を露わにすると、酔いを残した黒目がちの瞳は恥ずかしげに微笑んだ。
「…どうぞ?」
こんどは「どうぞ?」なんだ?
なにこれ可愛い、なんでそんなに為すがままなの?
それとも身体検査なら周太、いつもこんな感じで受診しているわけ?
だったら医者に診せるのも今度から立ち会いたい、付添って診察室に入れるよね?
それより今、自分が診察できるのが嬉しくて楽しい、微笑んで英二は遠慮なく露わな胸の素肌にふれた。
―これヤバいかも、
なめらかな指先の感触と視界に、心つぶやいてしまう。
ふれる指先の動きに周太の表情が反応する、それが見えて時めいてしまう。
いつも夜のベッドの時もふれている、けれど明るいルームライトの下でこんなシチュエーションは、萌える。
―気の持ちようで違うものなんだ?
こういう触診は山岳救助隊の現場でも受傷状態の確認で行う、けれどこんな萌えたりしない。
なんでも試してみないと解らないな?妙に感心しながら触診を終えると、カットソーを周太はおろした。
その貌が薄紅で可愛い、この赤いのは酔いと羞恥のどちらだろう?
―どっちにしても、もっと恥ずかしがらせちゃうだろな?
ここからが「面白がって身体検査」の本番になる。
きっと恥ずかしがって大変だろうな?暴れちゃったらどうしよう?
それも楽しみになってしまう自分が可笑しい、笑い堪えながら英二は愛しい生徒に微笑んだ。
「では湯原くん、下着を脱いで診察台に横になって下さい、」
言われた言葉に黒目がちの瞳が大きくなる。
そしてカットソーの裾を両手で握りしめて、ぎゅっと引き降ろした。
伸ばした裾に太ももを半分くらいまで隠して、真赤になった貌から黒目がちの瞳が見上げ、かすかに唇が動いた。
「…せんせい?はずかしい…です…」
ばっきり、
自制心がばっくり折られて、英二は鼻から口許を押えた。
そして見た掌に血痕が無いことに安心すると、嫣然と微笑んで可愛い生徒を見つめた。
「湯原くん?これは面白がって身体検査の授業ですよ?言うこと聴いてくれますか?」
この恥ずかしがりで無垢の生徒は、なんて答えてくれるかな?
そう見つめた先で真赤な貌は、カットソーの裾を引き降ろしたまま呟いた。
「…だめ、」
そんな貌で「だめ」って言われたら、こっちこそダメですから?
ばっきり折れた自制心が、粉々に砕けた。
そんなままに英二の長い腕は伸ばされて、小柄な体を抱き抱えるとベッドに横たわらせた。
「はい、身体検査は続行ですよ、湯原くん、」
にっこり笑いかけてカットソーの裾から手を入れると、ボクサーパンツを引き降ろす。
この下着も自分が選んだもの、こんなふうにも自分はマーキングして所有権を主張してしまう。
それを今は外して見つめる腰から下は、露になって明るいルームライトに隈なく無垢のまま。それが嬉しくて嫣然と微笑んだ。
「湯原くんはタンポン持っているけど、やっぱり男性なのかな?これから男性かどうか検査しますね、」
笑いかけ見下ろしながら、ベッドで真赤な貌を覗きこむ。
見つめた黒目がちの瞳は瞬いて見上げる、そして周太は尋ねてくれた。
「あの、…検査ってなにするの?」
まだ身体検査だって本気で思ってるんですか?
どうしよう?こんなに無垢だと罪悪感が湧いてしまう、これでは本当に「性的悪戯」ってやつみたい?
いま見つめてくれる真赤な童顔はどうみても高校生以下、横たわる肢体は鍛えられていても小柄で、華奢な骨格が少年じみている。
こんな姿で横たわられて、無垢のまま見つめられると、プレイじゃなくってもうリアルになってしまう?
―これって本物の「美少年に性のレッスン」だよな?
なんだか今、AVの主人公になった気分?
こんな気分になるなんて思ったこと無かった、こんな初体験をするなんて?
ちょっと甘すぎる体験になりそうで時めく、こんなリアルが合法的に出来ることが幸運だ?
「湯原くんが、男性か女性かの検査をするんですよ?…ここが本物かどうかを、確かめるよ?」
微笑んでカットソーを捲りあげ「検査」でふれる。
こんな嬉しい検査も無いだろう?そんな想いに見つめて動かした瞬間、真赤な貌が喘いだ。
「あっ…や、け、けんさって…ん、」
「周太、これが面白がる身体検査だよ?ほら、ちゃんと見ていて、」
呼び方もいつも通りになって、ベッドに乗り上げる。
かすかにスプリングの軋み音が響いてシーツが沈む、その上でカットソーと靴下を着たままの肢体が身悶えた。
「や…あ、これがしんたいけ、んさ…っ、ぅ、え、いじ…」
「周太、俺は先生じゃなかったの?」
手を動かしながら笑いかける、その視線に艶やな瞳が見つめてくれる。
紅潮した肌をシーツの上に晒して、靴下を履いたままの足が逃げるよう動いた。
「あ、せ、んせ…こんななの…?」
「素直で可愛いね、周太…これが身体検査だよ、ここも見ないとね、」
可愛い声に煽られる、ほら、靴下だけ履いた足が扇情的でそそられる。
艶めかしい姿に見惚れながら、しなやかなラインの脚を抱え込んで開かせて、見たい所を英二は視線で姦した。
「あ、の…な、んでそんなとこみたりする、の?」
「ここに穴があったら、女の子だからね?ちゃんと検査しないと…見たところは無いけど、触診しないとね、」
視線に指先を加えふれていく、その動きにカットソーを着た体がゆらいだ。
逃れるよう動く肌からカットソーが捲れ上がる、それが艶めかしくて目が離せない。
こんなふうに人は「癖になる」なら自分はちょっと危ないことになっている?
「やぁ、っ…ぁ、な、なにしてる、の」
「周太が女の子じゃないか、身体検査しているんだよ?…うん、やっぱり無いみたいだな、」
黒目がちの瞳に笑いかけながら、指先すべらせ狭間に潜らせる。
指ふれた窄まりが緊張するよう閉じかけて、けれど指はゆっくり押し入った。
「あっ…」
真赤な貌の唇から上がる声は、驚きにも艶めく。
こんな艶っぽい声が可愛い貌から零れるなんて、時めいてしまう。
もっと聴きたいまま指挿し入れて、英二は誘いと質問で微笑んだ。
「周太、答えて?…ここは、男女関係なく同じだと思う?」
問いかけて見つめた稚い貌は、困惑の眉間に艶が深い。
この23歳の少年は何て応えるかな?解答予想をしながら眺める赤い貌は、消え入りそうな声で答えてくれた。
「…お、おもいます…」
ほら、やっぱり周太は解かっていなかった。
こんなふうに性差も解かっていなかったら、セクシャルな冗談なんて解りっこないだろう。
そんな無知の無垢が可愛くて愛しくて、自分だけに染めてしまいたくて、隈なく教えたいまま指を動かした。
「ここ、気持良いだろ?周太…ほら、ここだよ?前立腺って言うんだ」
「っ、あぁ…やっ…ぁあ」
挿し入れた指に触れられて、少年の体が喘ぎだす。
無垢な少年の驚きと快楽への羞恥が目の前にある、こんな貌で見つめられると変になりそう?
「周太?ここはね、男にしかないんだよ?…女のと似ているけれど、ここが違う…こんなに気持ちいいのは男だけ、解かった?」
「っ、あ…はい、ぁあ…っ、や、」
「こうすると気持ちいいだろ?こういうのは男同士だと解りやすいんだ…だから男同士のセックスの方が気持ち良いっても言うよ、」
「…そ、そうなの?っ、あ…だめ、へんにな、っ…」
捩る体から白いカットソーが捲れて、素肌がルームライトに艶みせる。
瑞々しい肌に視線とめられる、その視界に愛しい体の中心が誘うよう露こぼした。
あふれだす、その予兆ふるえる中心を長い指に絡めとると、途惑う黒目がちの瞳に艶然と微笑みかけた。
「周太はここも可愛いね、こんなに素直に感じて…でも、ここを握って締めると、ね?」
長い指を絡め、元を強く握りこむ。
指に脈動がふれて途惑いだす、その感触に微笑んで無垢の少年に問いかけた。
「ほら、出せなくなるだろ?…どう、周太?」
「…あ、いや、ぁ…だめ…あ、は、はなして」
カットソー着た体がしなって、掌はシーツを握りしめる。
解放されない快楽に身悶えて、芯は華奢なままの体が撓んで艶こぼれだす。
こんな姿は他には見せたくない、ずっと自分だけのものにしたい、そんな願いのまま英二は自分の少年に囁いた。
「ね…周太、お願いしてみて?出させて、って、おねだりしてよ…ほら、」
「…っあ、いや、そんなのっ…は、ずか…っ、あぁっ」
「じゃあずっとこのままでいいの?…ずっとここ、出ないようにしちゃうよ?…このまま、ずっと悶えていたい?」
やらかく握りこんで微笑みかける、その先で黒目がちの瞳に途惑いと熱がゆらぐ。
こんなふうに自分の体の事すら周太は知らない、そんな無垢のまま快楽に呑まれて瞳が漲りだした。
「あっ…お、おねがい…たすけてえいじ」
瞳から涙ひとつ、零れ落ちて心ほどかれる。
黒目がちの瞳から零れだす涙、それは快楽の涙か苦悶の涙か、それとも違う涙?
そして今告げてくれた「たすけて」は、深い意味に捉えてしまえば、ずっと離さずにいる赦し?
―救けてって言ってほしい、頼ってほしい、俺に甘えて泣いてほしい、
この願いに涙と言葉を見つめてしまう。
今日、周太は幾度も涙を堪えていた、そう本当は気づいている。
もう泣くことはしないと周太は決めている、それが周太の誇りだと解っている、けれど自分だけには甘えてよ?
「俺に救けてほしいの?周太…俺に頼って、甘えて、今すぐ楽になりたい?」
どうか「Yes」って言ってよ?今だけでも良いから。
こんな情事すら利用している、君に甘えられて必要とされていると実感したくて。
こんなとき無垢な君は俺に頼るしかない、そう解っているから今も理由を見つけて君を追詰める。
本当は此処までする必要なかったのに、頼られたくて甘えられたくて、君の「たすけて」を聴きたくて。
ほら、俺を必要だと言って?
「えいじ、に、たすけてほしい…っあ、…やっ、あ、あまえさせて、たすけってっあぁ!」
名前を呼んで求めてくれた、自分のこと。
このまま甘えていてほしい、ずっと救けてと言ってよ?
「周太、」
名前を呼んで、握りこんだまま唇つけて、口の中へと納めこむ。
こんなふうに全身を自分で包んで、周りから隠して密やかに愛撫していられたら、どんなに良いだろう?
そんな愚かな願い思いながら唇に舌に愛撫する、そっと掌を緩め吸いあげて、そのまま素直に少年の潮は甘く吐露された。
「…っぁ…あっ、……ぅ、っ、ん…っ、」
無垢な肌が波打つままに、愛しい声の喘ぎが響いていく。
口のなか鼓動がふるえて潮あふれていく、あまく熱いまま愛しさと飲み下す。
抱きしめた腰が震えている、挿し入れた指にも鼓動がふれて今、この愛しい体を自分が支配していると思えてしまう。
ふれる肌に愛しくて、この体が作りだす熱あふれ飲みこむことが嬉しくて、何もかもを自分が愛しめる今が幸せになる。
「周太、いっぱい出しちゃったね…かわいい、」
「…っ……ごめんなさい、」
「あやまらないでよ?おいしかったんだから…ごちそうさま、周太、」
「…ばか……でも…うれ、し、」
羞んだ表情は可愛くて、カットソー肌蹴たまま貌を赤くしている。
その目許は涙がまだ滲む、けれど拭うことも忘れたまま雫伝わせて、細やかな腰にも力は入らない。
紅潮した素肌も、快楽にじんだ艶めく貌も、隠していた涙すら晒して為すがまま、全てを自分に委ね見せてくれる。
こんな愛しい姿を晒されて「美少年に性のレッスン」の虜になりそう?そんな自分に困りながら英二は、愛しい体を抱きあげた。
「周太?こんな身体検査、俺以外にさせたらダメだよ?いつも、よく気を付けてくれな?」
「ん…はい、」
真赤な貌が素直に頷いて、涙の瞳が見つめてくれる。
こんな貌するから余計に色々したくなる、こういう感想を抱くのは自分以外にもいるかもしれない。
そんな可能性が100%無いなんて自分には言えない、以前は自分も男を抱くつもりは無かったのに今はこうだから。
だからこそ心配に英二は、無垢な婚約者に説得を始めた。
「周太は喧嘩も強いけど、機動隊って体力馬鹿だろ?冗談でも身体検査とかされたら困るから、寮の部屋を行き来するのは気を付けて?」
「…そういうじょうだんするの?男同士って普通はえっちなことしないんでしょ?」
「いろんなヤツがいるよ、周太?男なら妊娠しないから遠慮はいらない、って考えるヤツもいる、」
「そうなの?…すきじゃなくてもするの?すこしも好きじゃ無い相手でも…男同士でも、同僚とかでもするの?」
訊いてくる声も貌も哀しそうになってしまう。
快楽だけが目的のセックス、それを同僚や仲間同士で「冗談」にしてしまう。
そんな現実にショックを受けている、そういう哀しみが純情を傷ませて今、英二を見つめている。
周太の性愛経験は唯ひとり、英二だけしかいない。
初恋相手の光一とはキスを一度くらいしたと思う、けれど体交わすことは拒んで許さない。
ずっと生涯を共にする婚約者だけに体を赦す、そういう潔癖な純愛には快楽目的のセックスは有得ないだろう。
―こんなこと教えないで済むのなら、良いのにな
ずっと自分の手元に隠して護れたら、こんなこと教えないで済む。
人間の快楽への歪んだ欲望、そういうことに無垢な心と体を触れさせたくない。
けれど、誇りの為に周太は独り歪んだ世界にも挑むと決めた、それなら現実は受けとめる必要がある。
だから今、自分が世界を教えて受けとめさせたい、独りでも自身を守る術を教えることで、護りたい。
その願いのままに英二は、無垢な婚約者に世界の現実を告げた。
「相手を好きじゃなくても、体が気持ち良くなることが目的でセックスしたいヤツもいる。だから気を付けて、周太?」
これは現実の一部、歪な欲求すら世界を構成する一要素。
こんな歪な肉体的欲望は、周太からは遠い異世界に思えてしまうだろう。けれど、英二も以前はその世界の住人だった。
自分の立場と都合には男同士より女性相手の方が便利だっただけ、愛情の欠片も無く快楽に遊んで気晴らしと暇潰しにしていた。
こんな自分が無垢な恋人を心配して護ろうとする、それが赦されるのか解らない、けれど護りたい。
だからどうか言うこと聴いてほしい、気を付けて?
「ん…わかりました、きをつけます」
素直に頷いてくれる様子は、青年より少年。どこまでも無垢な純情まばゆい勇気が、静かに羞んでいる。
そんな姿に傷んでしまう、こんな周太がより歪な世界に向かうことになるなんて?
その哀しみ心にこみあげる、それでも微笑んで英二は部屋の扉を開いた。
「このまま風呂に行こう?周太、俺が洗ってあげる、」
「…いいです、じぶんでします…はずかし、から」
真赤な貌のまま俯いて、けれど長い睫をあげて瞳は見上げてくれる。その睫がまだ濡れてた。
こんな貌に切なくなって、愛しくて、扇情されてしまう。そんな想いのまま英二は微笑んだ。
「ダメだよ、周太?風呂で洗うのも、身体検査の内だから。ちゃんと俺の言うこと聴いて、俺に任せて?」
本当に言うこと聴いて、全てを任せてくれたらいいのに?
(to be continued)
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