萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚377

2016-06-08 09:20:28 | 雑談寓話
結婚の覚悟なんて解らねーよ、家族って俺よく解んないし。

なんて言っちゃう御曹司クンと酒はさんだ深夜、
ラストオーダーの一杯はやっぱり泣き顔になられた。

「…はー…、」

ってカンジの泣き顔は言葉ナニか喋るわけでもない。
ただタダ飲みながら、でもグラスなかなか空けはしない。
ソンナ態度&顔に、

あー、コイツほんと困ったな?

って思いながら自分はさっさと飲み干した、笑
だって今ここで長引かせたら何にもならない、だからグラス空けて財布だした。

「割り勘で置いてくよ?笑」

ラストオーダー同時に伝票はきている、
その1/2ざっくり置いたテーブル、泣き顔が言った。

「俺も行く、」

財布だして立ち上がり着いてくる。
で、会計を済まして出た外は終電に急ぐ人波で、
足早に歩きだしながらも隣から涙っぽい声が言った、

「なあ、また会ってくれんの?」

会わない、
なんて言ったらドウナルンダロウ?

泣くのだろうか?
無理に家まで付いてくるだろうか?
それともXXXXXに駆け込んじゃうんだろうか?

ソンナコト脳ミソぐるり考えて言ってみた、

「会うべきなら会うことになるだろ?笑」

ようするに運マカセだ、
良いも悪いもない、自分の意志も挟んじゃいない、
そんな返答に御曹司クンはちょっと笑った、

「じゃーさ、会えたら会おうな?」

寂しい顔、でも笑っている。
ソンナ笑顔と歩いて駅、ごった返す改札で訊かれた。

「おまえどーやって帰んの?」

正直に答えたらメンドイだろうな?
って思って、思いつきソノママ言ってみた、

「迎えがくるから、笑」

たしかに・呼べば来てくれるアテはあるし?笑
だけどコンナ真夜中ソンナコトスルワケナイ、
それでも御曹司クンは凹んだ、

「もしかして、さー…引っ越したのって、どーせーするため?」

ちょっと予想外の反応だ?笑

なんだかヤヤ斜め上に来てくれた、
こういう発想あいかわらずで、おかしくて笑った。

「同棲みたいなもんかもな?猫とだけど、笑」

正しくは同居だろう?笑
ソンナ回答に御曹司クンは瞬きひとつ言った、

「おまえはさ、誰かと一緒にいたいとか思わないわけ?…ほんとの同棲とか、おまえなら相手いっぱいいそーじゃん、」

この質問、どーゆう意味だろな?
なんて考えながらも言ってやった、

「一緒に住むほどの相手なら結婚するし、笑」

結婚する、そこから人生一緒に泣き笑いする。
そういう相手じゃなかったら一緒に暮らせない、息苦しくなるだけだ。
そんな回答に御曹司クンはちょっと考えこんで、それから笑った、

「だよなーおまえはソウイウヤツだよな?」
「ソウイウヤツだよ、じゃ、笑」

笑って踵返して駅コンコース歩きだす、
ずっと歩いて別の改札、ふりむいたけど御曹司クンはいなかった。
ねえ、ちょっと聞いてよ22ブログトーナメント
ちょっと書いたのでUPします、
移動中の車内ですけど取急ぎトリアエズ、笑

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山岳点景:初夏ふる森に―June.2016小田代ヶ原

2016-06-07 23:46:01 | 写真:山岳点景
標高1,400の森で



山岳点景:初夏ふる森に―June.2016小田代ヶ原

ワタスゲの戦場ヶ原より奥、山道すこし越えると木道になります。
小田代ヶ原の道です。



小田代ヶ原ぐるりは森、大きな木ゆたかに繁ります。



新緑の落葉松は針葉樹だけど柔らかなんですよ?笑



切られた枝からは樹液の雫、



やわらかな緑に山躑躅ヤマツツジの朱色が映えます。



褄取草ツマトリソウは直径2cmほど、



緑の底、白い小花は星っぽく見えます。



菫もまだ咲いていました、



起伏ゆるい山道もありますが木道はフラット、歩きやすいので年配の方も多く見かけます。
冬の積雪期はケッコウ雪深いので体力+装備必須ですが、初夏この時季は水分補給さえ気をつければ気楽に歩けます。



ソンナワケで年配ハイカーをよく見かけますが、さりげないペアルックがカッコイイご夫婦も多いです。
寄りそう笑顔はすれ違うこっちも楽しくなります、やっぱり共白髪ってイイもんだなあと、笑



〆は小田代ヶ原らしいワンシーン、
多彩な湿原のまんなか一本木、貴婦人と呼ばれる白樺です。


撮影地:小田代ヶ原@栃木県日光市

小田代ヶ原は林間コースです、特に小田代ヶ原→しゃくなげ橋は林間コース=クマや野生獣の生息地でもあります。
そのため熊鈴はつけて無難です、フラットなコースとはいえ標高1,400メートルの山間部に見合った装備で。

休憩合間ちょっと息抜きになれたなら、笑
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第84話 整音 act.25-side story「陽はまた昇る」

2016-06-07 22:33:29 | 陽はまた昇るside story
And my tears, make a heavenly Lethean flood, 涙よ道に
英二24歳3月



第84話 整音 act.25-side story「陽はまた昇る」

登らせたい、

その一言まっすぐ見つめてくるのは初老の瞳。
独り畳の正座むかってくるスーツ姿、この官僚は今なにを想う?

―テーブルの前で正座なんか土下座と同じだ、それでも輪倉さんは今、

想い椅子から見おろす先、端坐まっすぐ見あげてくる。
背筋きれいに伸ばす半白の髪、その年齢とキャリアに英二は微笑んだ。

「輪倉さん、こちらの席に座りませんか?話し難いでしょう、」

自分の父より年長かもしれない、そんな男が土下座する。
そこにある感情を見つめるまま山ヤの官僚は言った。

「ありがとう宮田くん、でも今はここでいいんだ。それだけのことをしにきたんです、」

おだやかな口もと微笑んでいる、けれど視線は揺るがない。
ひたむきな真摯まっすぐテーブルを見あげて、口を開いた。

「堀内検事長、まずプライベートなお席にあがりこんだ無礼をお詫びします、申し訳ありません、」

静かな声が低く座敷を徹る。
この来訪者に祖父の書生だった男は言った。

「総務省の輪倉さんでしたね、こうしたことは公務にある者として危険だと思いませんか?」
「思います、ですから同じテーブルには就きません、」

畳から声ひたむきに見つめてくる。
テーブルはるか低い視線、その背すじ凛と官僚は続けた。

「検事長に直訴など反則だと解っています、まして私は官僚の身であり許されざることです。それでも参上した声を聴いて頂けませんか?」

端坐おだやかに声が見あげる。
まっすぐ見つめて逸らさない、その目元ふかい皺に英二は微笑んだ。

「それなら俺も同じですね?失礼します、」

笑いかけて一礼、椅子から立ちあがる。
席むこう見あげた旧知に微笑んで、そのまま畳に正座した。

「英二くん?君まで正座するのかい、」

訊いてくれる微笑のテーブル、白磁に活けたパンジーが赤い。
花越し問いかける眼ざしに想ったまま笑いかけた。

「輪倉さんと俺は同じことをしにきたんです、だから同じ場所に座らせてください、」

同じ目的で自分も来た、それなら同じ席に就けばいい。
想ったまま笑った隣、初老のスーツ姿かすかに首を振った。

「いけないよ宮田くん、君は私の勝手を聴いてくれただけなんだ。テーブルに戻ってください、」
「いいえ、私こそ礼儀を通すべき立場なんです、」

微笑んで畳の膝さらり整える。
端坐したスラックスを畳目が透かす、この席に本音を笑った。

「堀内さん、今は警察官と検事長の立場で話をしてくれませんか?輪倉さんは同じ山ヤ仲間として隣に座らせて下さい、」

山ヤの警察官、それが今の自分だ。
今この等身大から話せたらいい、そんな想いに検察官の瞳が笑った。

「だから英二くん、赤いパンジーを活けさせたのかい?」

赤いパンジー、深紅の三色菫。
この花寄せる共鳴に英二はきれいに笑った。

「はい、俺が祖父の姿を忘れないために、」

あの祖父のように生きたい。

Both of them speak of something that is gone: 
The Pansy at my feet
Doth the same tale repeat:
Wither is fled the visionary gleam?
Where is it now, the glory and the dream?

足もとの花に繰り言を、そう謳って祖父は微笑んだ。
あの眼ざし大好きだった、あの貌になりたかった、そして今もなりたい聲とくちずさんだ。

「The Pansy at my feet、足もとに今ある命を見ろ、そこに自分の心があると祖父は教えてくれました。だから俺は今、輪倉さんの隣に座るんです、」

だから祖父はあの詩を愛した、この赤い花を見ていた。
あの眼ざし自分も欲しくて、けれど歩めなかった道へ微笑んだ。

「堀内さん、俺が警察官になったのは親への反抗心からでした。でも今は良かったと想います、だって山はたくさんの花が足もとに咲くんですよ?」

祖父と同じ道ではない今の道、でもだからこそ自分は見つけられた。

『きれいだね…』

ほら君が笑う、君の瞳に花が映ったからだ。

『北岳草を見せて?』

ただ一輪の花に君が笑う、そこに偽りなんて欠片もない。
あの眼ざしに声に自分は信じられた、その場所から祖父の俤を仰いだ。

「山は危険だらけで、たった一歩が命の分岐点になります。そういう山だからこそ俺は足もとの花に気づけたんです、」

山だからこそ自分は見つめられた、足もとの花の意味。
だから今も願ってしまう、求めている、その原点まっすぐ声にした。

「警察学校の山岳訓練で俺は初めて命の重さを知りました、一歩の分岐点を知って祖父の言葉に気づけたんです。だから輪倉さんをここに呼びました、」

この男を呼んだのは自分の意志、誰の為でもない。
ただ自分の願い叶えるために呼んだ、そして叶えられる男が訊いた。

「それは英二くん、君も輪倉さんと同じ責任を覚悟しているってことかな?」
「そうです、三年目の警察官と官房審議官では同じと言うのはおこがましいですけど、」

肯き笑った頬に視線が熱い。
並んで座る男は何を想う?そんな眼ざしの隣で微笑んだ。

「警察官として願うことは罪の自覚です、今回の事件はたくさんの人を雪山の危険にさらしました、その罪を自覚させるためにも登らせたいと思いませんか?」

犯した罪、その同等に場所を与えること。
こんな論法はハイリスクかもしれない、それでも告げた真中で検事は笑った。

「うまい誘導だ、でも保釈したところで実質どうする?」

椅子から言葉ふってくる。
問いかけに隣から穏やかなトーン答えた。

「保釈の身ではエベレストなど無理と解かっています、でも山に登らせることはできます、」


(to be continued)

【引用詩文:John Donne「HOLY SONNETS:DIVINE MEDITATIONS」/William Wordsworth「Intimations of Immortality from Recollections of Early Childhood」】

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山岳点景:初夏ゆく湿原―June.2016戦場ヶ原

2016-06-06 14:17:03 | 写真:山岳点景
標高1,400の薫風



山岳点景:初夏ゆく湿原―June.2016戦場ヶ原

戦場ヶ原は今、ワタスゲが白くゆれます。



この時季の奥日光は千手ヶ浜のクリンソウが有名ですけど、個人的にはワタスゲで、笑



ワタスゲの原と逆サイドは湯川、鉱泉をふくむため時々で色が異なります。



この日の湯川はすこし濁った青緑、
翡翠を溶かしこんだような潺に黄色の鳥が映えます。



黄鶺鴒キセキレイ、渓流の水辺によくいる小鳥です。
かわいいなーって見ていたら求愛ダンスが始まりました、笑



朝ゴハン中のもいます、



まだ枯草もめだつ湿原の6月、それでも空は夏雲へ。



水辺ゆく白い花弁の上、ズミの花がまだ残っていました。



水も木々も緑あざやかな初夏の戦場ヶ原です。


撮影地:戦場ヶ原@栃木県日光市

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花木点景:Prince's Garden

2016-06-05 23:51:15 | 写真:花木点景
物語の庭で



花木点景:Prince's Garden

昨日の山帰り、バラ咲きほこる庭に寄りました。



どんな庭かっていうと↓ここです、



サン・テグジュペリ『星の王子様』をテーマにした庭、



どこにあるかっていうとパーキング・エリアにあります。



この季節に咲く花は欧州原産、



なので名前ちょっと分からないけど、笑



でも、きれいです、



カシワバアジサイの白×面白い葉、



6月の初め、バラの終わる季、



散り始めもあるけれど、夕暮れに鮮明な色、



※続きまだ貼ります

撮影地:寄居PA@埼玉県

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山岳点景:わたすげの原

2016-06-05 00:02:43 | 写真:山岳点景
初夏の白



山岳点景:わたすげの原

綿菅ワタスゲが咲いていた今日の戦場ヶ原。


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撮影地:戦場ヶ原@栃木県日光市

もっと写真あるけど眠すぎるのでまた後ほど、笑
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深夜雑談@初夏の山味

2016-06-01 23:20:12 | 雑談


深夜雑談@初夏の山味

先日、奥多摩の山は針槐が花盛りでした。
そんな奥多摩湖=小河内ダムの食堂で昼ごはんしたんですけど、
川魚の天ぷらがついた定食をオーダーして、小鉢も味噌汁もちゃんと美味しくて、

あーいい昼ごはんだなー

なんて想いながら箸はこんだ山菜らしき天ぷらが、
初めての味・かつ・一度は食べてみたかったヤツでびっくり→美味しいっていう幸せ、笑
で、ソレなんの食材だよ?っていうと↓コレ、



針槐の花って食べられるんですよ?
ワインや日本酒など漬けて花酒にしたりするんですけど、
天ぷらも美味しいんだよってことは聴いてはいたんですよね、

で、初めて食べたんですけど歯ざわり+香が美味しかったです。

花の時季だけしか食べられない、
だから来年また食べられたら良いなーと、笑

書いてる合間雑談ですが↓花天ご興味でたら、
第24回 ☆旨いもん!☆ブログトーナメント

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