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管理職の話は面白くないと言われないためのアドバイス・・・野口流「校長先生のお話」の方針

2021年02月28日 | 学校経営
 校長や教頭などの管理職になると、職員や子供達の前で話す機会がある。

 校長になると、かなり多い。

 一般の会社でも、管理職が話をする機会というのは多いのではないだろうか。

 「面白い」「また聴きたい」と思わせる話ができる管理職もいるが、多くの場合、「管理職の話は面白い」というのは、あまり多くはないそうだ。



 自分も管理職なので、「面白い」「また聴きたい」「役に立った」と思われるような話がしたい。

 

 野口芳宏先生の「学校づくりの修業」を読んでいたら、参考になるところがたくさんあった。

 その中の一つを紹介したい。


 これまでに私が見聞きしてきた全校集会の校長の話というのは概して退屈であり、子供にとっては迷惑そうに映っていた。

 そこで私は校長になってから、全校集会については次のような原則を立てて自らの戒めとし、子供にとっても、教師にとっても「次が楽しみ」な「校長先生の話」を演出したいと考えた。

 ◆「校長先生のお話」の方針

1 子供にも、教師にも楽しみにされる話をする。そういう集会にする。

2 担任が話すべき内容は話さない。特に「注意」や「お説教」

3 必ず与えられた時間の中で切り上げる。延ばさない。

4 千篇一律、十年一日を廃し、バラエティーに富んだ内容にする。

5 子供に無理や我慢を強いない。

 1、2は、話の内容に関する問題であり、3、4は話し方の技術に関する問題であり、5は集会の形態に関する問題である。
p.206

 

このあとに、野口流の集会の話も紹介してある。

 例えば、浦島太郎の話をした後、次のように問う。

 「あんなに幸せで、楽しくて、大切にされて、おいしい物を食べて、何不自由ない夢のような竜宮城の生活を、いったいなぜ太郎は捨ててしまったのでしょうか。」

 「竜宮城での生活を捨てて、この暮らしにくい、人間の世の中に、なぜ太郎はわざわざ帰ってきたのでしょうか。」

 「さあ、自分、自分で考えて、作文に書いてきてみて下さい。私はこう思う、僕はこう思う、という考えをできるだけ詳しく作文に書いてみるのです。」

 「宿題ではありません。書いてみたい人だけが書けばいいのです。考えに考える、と言うことは、意外に面白く、楽しいものですよ。では、楽しみに待っています。」

 書いてくる子はいないと思っていたのに、この反響は大変に大きいものになった。p.219


 野口先生の話によって、浦島太郎が人間世界に戻った理由を考えることになり、人間の生き方についても考える機会になったのではないだろうか。




 ちなみに、この話を野口先生が思いついたのは、有田一正先生(社会科授業の名人)から、浦島太郎に関する次の感想を聞いたのがきっかけのようだ。

 「私(有田)の思うには、竜宮城の生活は、やはり与えられた世界であって、そこではやはり本当の自己表現ができなかったのではないか。やはり人間は、汗水垂らして苦労しながら働くところに本物の生きがいが生まれるのではないでしょうかねえ。」
p.218


 与えられるだけの人生、何不自由のない生き方というのは、つらいものなのかもしれない。

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