「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

若菜摘みの歌 2006・03・02

2006-03-02 06:30:00 | Weblog
 今日の「お気に入り」は、「閑吟集」から若菜摘みの歌。

 ・いくたびも摘め 生田の若菜 君も千代を積むべし

 ・菜を摘まば 沢に根芹や 峰に虎杖(いたどり) 鹿の立ち隠れ


 ・木の芽春雨降るとても 木の芽春雨降るとても なほ消え難きこの野辺の 
  雪の下なる若菜をば 今幾日(いくか)ありて摘ままし 春立つと言ふばかり
  にや三吉野の 山も霞みて白雪の 消えし跡こそ道となれ 消えし跡こそ道となれ

  ( 木の芽が萌え出る春雨が降っても、まだ消えにくいこの野辺の雪に
   埋もれている若菜を、あと幾日たったなら摘めるだろう。でも、
   さすがに春が来たというだけで、吉野の山々に霞がかかり、
   白雪も何時しか消えて、その跡に黒々とした道が現われていることだよ。)

  浅野建二校注「閑吟集」(ワイド版 岩波文庫)所収
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